あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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理由には納得

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「それで、是非君たちに受けてほしい依頼があるんだよ」

「俺たちに受けてほしい依頼、ですか?」

自身の強さがランクに収まらないということは自覚している。
ただ、前の街でブラッディ―タイガーを倒し、ヤドラスに来てからラストが倒した分も入れて三体のBランクモンスターを倒した。

とはいっても、冒険者としての知名度はそこまで上がっていない……と、ティールは考えていた。

「俺たちに指名依頼……ということですか」

「ん~~~~、指名依頼とはちょっと違うかな。まずはこれを読んでほしい」

ディッシュから一枚の紙を受け取り、ラストも立ったまま紙に書かれている内容を読む。

「……俺たちに、ヤドラスの遺跡を調べる学生の護衛をしてほしい。ってことですね」

「その通り。拘束期間は二週間。報酬金額は金貨二十枚……中々悪くない依頼だと思うんだけど、どうかな」

中々悪くない依頼。
それはティールも分かる。

二週間と、それなりに拘束期間は長いが報酬金額は決して低くない。
二人にとってはCランクのモンスターを狩ればサクッと稼げる金額ではあるが、誰かを護衛するという仕事は冒険者として活動していれば、いずれ受ける内容。

遅かれ早かれという問題なので、今回受けてみるのも悪くない。
ただ……まず一つ、ティールは心配に感じる内容が頭に浮かんだ。

「良い依頼だとは思います……けど、まず一つお聞きしたいんですけど、その生徒たち……四人は俺たち冒険者を嫌ったり見下したりはしていませんか?」

自分の方が上に見られたい、などとは思っていない。

普通に接してくれれば嬉しいが、見下すような態度を取られるのであれば二週間の間……永遠とフラストレーションが溜まることになる。

いや、まだ溜まるだけなら良いかもしれない。
仮にティールが侮辱される様な言葉をぶつけられれば、ラストはストレスを溜めることなくその場で発散しようとする……かもしれない。

ラストにも仕事として守るべき人物を攻撃してはならないという理性はある。
だが、もし最初の方は溜め込むことが出来たとしても……いったい、いつ爆発するか分からない。

(どう考えても爆発する可能性の方が高いよな)

そんなことを心配しているティールだが、ラストが侮辱されたらそれはそれでティールのドロップキックが炸裂する。

「あぁ、その辺りは大丈夫だよ。冒険者が嫌いだったら、そもそも冒険者に護衛を頼んだりしないから」

「そうですか……でも、向こうが喧嘩腰だったらそれなりの対処を行っても大丈夫ですか」

冒険者が嫌いであっても、仕方なく利用する者は存在する。
まだそういった存在には遭遇したことがないティールが、体験例としてジンからそんな面倒な奴らがいるという話を聞いていた。

「ま、まぁ……そう、だね。それはそれで仕方ないかな。ただ、あまりやり過ぎないでくれよ」

「それは分かってます。それでは二つ目なんですけど、なんで俺たちにその依頼を受けてほしいんですか」

鉄拳制裁ぐらいであれば行っても良いと許可は貰えたが、まだ受けるとは決めていない。

もう受けてくれると勘違いしていたディッシュは一瞬驚くが、直ぐに気を取り直して二人に受けてほしい理由を説明した。

「そうだね……まず、君達の冒険者歴が短いという部分は関係無い。強敵を倒す実力は十分に持っている。そして学生達と年齢が近い。報酬額を考えると、Dランクの二人がピッタリだから……受けてほしい理由はこんなところだね」

「……なるほど」

どれも納得出来る理由だった。

後ろで立っているラストは一つの経験として受けるのはありだと思っており、ティールも護衛依頼を受けることに抵抗はない。

ただ……何か一つ、モヤモヤする部分が残っている。

「ディッシュさん、何か俺に隠してませんか」
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