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意外と大事な感覚
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先輩冒険者たちに愚痴を吐いた後、ティールとラストは予定通り、防具を売っている店を見て回った。
(う~~~~ん……あんまり大きくて頑丈な防具は俺に合わないからな)
ティールの売りは見かけによらないパワーや、個体によってはその一撃だけで終わらせてしまう投擲力も武器の一つだが、肝心なのはそのスピード。
ブラッディ―タイガーやスカーレットリザードマンもパワーだけでは到底倒せない強者。
相手の動きについて行けるだけの脚力と反応速度がなければ、攻撃を当てるのすら難しい。
(とはいっても、少しぐらい防御面を強化した方が良いよな)
決して紙屑的な防御力という訳ではないが、やや頼りない面はある。
奪取≪スナッチ≫で奪ったスキルをフルに使用すればなんとかなるかもしれないが、それでもあまり人前では使えない手段。
(素手で殴ったりもするんだし、ガントレットぐらいは装備すべきか……)
そう思いながら店内に置かれているガントレットを見回すが、あまりティールが気に入る物はない。
(この店にはなさそうだな……せめて、皮鎧ぐらいは身に着けるべきか?)
頑丈な鎧ではなく、スピード重視のタイプにも合う皮鎧。
皮鎧であれば、身に着けても良いと思える。
それは薄々考えていたので、ティールは店に置かれている皮鎧を一通り見るが……お目に敵う物はなかった。
(ん~~~~……やっぱり、まだこのままで現状のままで良いかな。確かに防御力は不安だけど……いっそ、攻撃を受け流すことに力を入れてみるか?)
持っている武器に関しては上等な物を持っているので、そこら辺の防具ではティールがその気になることはなかった。
故に、いっそ自身に向けられた攻撃を受け流せるようになれば良いのではという発想に至ってしまった。
(反応速度はそれなりに良い方だと思うし……頑張ってみる価値はあるかもしれないな)
それなりに器用なタイプではあるので、決して不可能ではないのだが……どんどん敵の攻撃を防御するという考えが薄れてしまっている。
「ラスト、良い防具は見つかったか?」
「……いや、ない。質が悪いという訳ではないが……俺に合う物はないと思う」
意識的に気遣った訳ではないが、店の評判を落とす様な言い方はしなかった。
店員もラストとティールがここ最近、ヤドラスで名を広めている冒険者だと知っているので、店に置いてある武器や防具にいったいどんな評価を付けるのか。
心臓がバクバクと止まらず、二人が店に入った時から緊張し続けていた。
「マスターの方はどうなんだ? 合いそうな防具は見つかったか?」
「俺も何というか……自分がスピードを重視したタイプというのを自覚してるから、やっぱり直ぐにはピッタリの
防具ってのは見つからないね」
「ふむ、確かにそうかもしれないな」
ラストもティールほどではないが、機動力はあるタイプ。
完全なタンクや、強力な一撃に懸けて戦うタイプではないので、あまり重装備をする気にならない。
一先ず二人は良い防具がなかったということで、店から出て他の店へと向かった。
「中々これといった物は見つからないな~」
「そうだな……マスターの場合、そこら辺の相手では触れられない速さを持っている。やはり必要ないか?」
「そう思わなくもないけど……ほら、スカーレットリザードマンと戦った時、腕をバッサリと斬られただろ」
「……あぁ、そうだったな」
ティールのことを尊敬しているラストにとって、あの光景はかなりの衝撃を受けた。
それと同時に、もう少し早くリザードマンジェネラルを倒してあの斬撃をガード出来ていたら……と、ほんの少しだけ思っていた。
マスターが一対一で戦うと決めた勝負に、基本的に水を差すつもりはない。
だが、あの瞬間だけは間に入れたらという悔しさがあった。
「であれば、やはりガントレットを身に着けるべきだな」
「俺も同じことを思ってさ、店に置いてあるガントレットをザっと見たんだけど……これだって物がなかったんだよね」
「それは仕方ないな。そういう部分は意外と大事だと思う」
ラストもそう感じる物が置いてなかったからこそ、ティールにこれを買ってほしいと頼むことはなかった。
(う~~~~ん……あんまり大きくて頑丈な防具は俺に合わないからな)
ティールの売りは見かけによらないパワーや、個体によってはその一撃だけで終わらせてしまう投擲力も武器の一つだが、肝心なのはそのスピード。
ブラッディ―タイガーやスカーレットリザードマンもパワーだけでは到底倒せない強者。
相手の動きについて行けるだけの脚力と反応速度がなければ、攻撃を当てるのすら難しい。
(とはいっても、少しぐらい防御面を強化した方が良いよな)
決して紙屑的な防御力という訳ではないが、やや頼りない面はある。
奪取≪スナッチ≫で奪ったスキルをフルに使用すればなんとかなるかもしれないが、それでもあまり人前では使えない手段。
(素手で殴ったりもするんだし、ガントレットぐらいは装備すべきか……)
そう思いながら店内に置かれているガントレットを見回すが、あまりティールが気に入る物はない。
(この店にはなさそうだな……せめて、皮鎧ぐらいは身に着けるべきか?)
頑丈な鎧ではなく、スピード重視のタイプにも合う皮鎧。
皮鎧であれば、身に着けても良いと思える。
それは薄々考えていたので、ティールは店に置かれている皮鎧を一通り見るが……お目に敵う物はなかった。
(ん~~~~……やっぱり、まだこのままで現状のままで良いかな。確かに防御力は不安だけど……いっそ、攻撃を受け流すことに力を入れてみるか?)
持っている武器に関しては上等な物を持っているので、そこら辺の防具ではティールがその気になることはなかった。
故に、いっそ自身に向けられた攻撃を受け流せるようになれば良いのではという発想に至ってしまった。
(反応速度はそれなりに良い方だと思うし……頑張ってみる価値はあるかもしれないな)
それなりに器用なタイプではあるので、決して不可能ではないのだが……どんどん敵の攻撃を防御するという考えが薄れてしまっている。
「ラスト、良い防具は見つかったか?」
「……いや、ない。質が悪いという訳ではないが……俺に合う物はないと思う」
意識的に気遣った訳ではないが、店の評判を落とす様な言い方はしなかった。
店員もラストとティールがここ最近、ヤドラスで名を広めている冒険者だと知っているので、店に置いてある武器や防具にいったいどんな評価を付けるのか。
心臓がバクバクと止まらず、二人が店に入った時から緊張し続けていた。
「マスターの方はどうなんだ? 合いそうな防具は見つかったか?」
「俺も何というか……自分がスピードを重視したタイプというのを自覚してるから、やっぱり直ぐにはピッタリの
防具ってのは見つからないね」
「ふむ、確かにそうかもしれないな」
ラストもティールほどではないが、機動力はあるタイプ。
完全なタンクや、強力な一撃に懸けて戦うタイプではないので、あまり重装備をする気にならない。
一先ず二人は良い防具がなかったということで、店から出て他の店へと向かった。
「中々これといった物は見つからないな~」
「そうだな……マスターの場合、そこら辺の相手では触れられない速さを持っている。やはり必要ないか?」
「そう思わなくもないけど……ほら、スカーレットリザードマンと戦った時、腕をバッサリと斬られただろ」
「……あぁ、そうだったな」
ティールのことを尊敬しているラストにとって、あの光景はかなりの衝撃を受けた。
それと同時に、もう少し早くリザードマンジェネラルを倒してあの斬撃をガード出来ていたら……と、ほんの少しだけ思っていた。
マスターが一対一で戦うと決めた勝負に、基本的に水を差すつもりはない。
だが、あの瞬間だけは間に入れたらという悔しさがあった。
「であれば、やはりガントレットを身に着けるべきだな」
「俺も同じことを思ってさ、店に置いてあるガントレットをザっと見たんだけど……これだって物がなかったんだよね」
「それは仕方ないな。そういう部分は意外と大事だと思う」
ラストもそう感じる物が置いてなかったからこそ、ティールにこれを買ってほしいと頼むことはなかった。
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