あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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何人も実力者が語る

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「こちらが今回の報酬となります」

「…………ありがとうございます」

解体場から戻ってきたティールの目の前には数枚の白金貨と大量の金貨が置かれていた。

(分かってはいたけど、Bランクのモンスターを売らずともかなりの大金が入ってきたな)

ティールの場合、全ての死体を持って帰れたという部分が大きく、本来であれば必要場部分だけを持って帰って他の素材は捨てていく。

空間収納やアイテムバッグ、ポーチを持っていない者たちはこの様にして、売却する素材や受けた依頼を達成する為に必要な素材を持って帰る。

空間収納やアイテムバッグを持っている冒険者であっても、容量によって持って帰られる量は決まっている。
だが、ティールの空間集はあたまおかしいので、そんなの関係無しに全て持って帰って解体士たちに解体してもらった。

ティールとラストが倒したモンスターがかなり多かったということもあり、目の前の金額が買い取り額として手に入るのはごく自然なことだった。

「おいおい、マジかよ。羨ましいぜ」

「だよな。ありゃいったい金貨何枚あるんだ?」

「良く見りゃ白金貨まであるな。ルーキーのくせにとんでもねぇな」

「あれだけ金がありゃ、浴びるほど美味い酒を呑めそうだぜ」

昼間からギルドの酒場で酒を呑み、休日を楽しんでいる冒険者たちはティールとラストの前に置かれた金額を見て、少し酔いが覚めた。

昼間からのんびりしている。
それは彼らが冒険者としてそれなりに成功している証。

しかし、そんな彼らからしても二人が受け取った金額は相当なもの。
二人よりランクも年齢も上だが、心の底から羨ましいと思った。

「Bランクのモンスターを二人ずつ倒したんだってよ」

「確かリザードマンジェネラルとスカーレットリザードマンだったか? 災難すぎるだろ」

「でも、その災難を倒したんだろ。しかも一人で」

「そこも含めて、羨ましいねぇ~~」

そして酒場に居た冒険者たちは、二人が本物だと信じているからこそ……アホな自信過剰冒険者たちみたいに、下手に絡もうとしない。

(あっちの少年は確かに強そうには思えねぇけど、イグラスやニーナたちが手放しで褒めてたからな……多分、本当に天才ってやつなんだろうな)

ラストは見た目からしても強い雰囲気が感じ取れるが、ティールに関しては彼らもBランクのモンスターを一人で倒したように思えない。

だが、他のCランクの冒険者たちがティールとラストがどれだけ凄いのか、自慢気に語っているのだ。

そこら辺の冒険者が一人だけ話しているのであれば、見間違いだろと一蹴されるかもしれないが、冒険者の中でもプロと呼ばれる位置に立つ者たちが複数人……二人がいなければ自分たちは死んでいたと語っている。

彼らが現状の生活に満足しているということもあり、二人にウザ絡みすることはなかった。

「大金が入ったな……どうする?」

「どうすると聞かれても困るな。その大金はマスターの物だ」

「……立場上そうかもしれないけど、ラストが倒したモンスターの素材を換金した分も入ってるんだ。お前が何かに金を使いたいって意見する権利は十分あるぞ」

「ふむ……なら、やはり装備に使いたいない。というより、マスターもしっかりとした防具を身に着けるべきだ」

武器に関しては現在装備している大剣に不満は無く、いざという時はティールから斬馬刀を借りれる。
というわけで、ラストとしては金を使うのであれば新しい防具が欲しい。

そして……是非ともマスターであるティールにも防具を買ってほしい。

「お、俺か?」

「そうだ。確かにマスターはスピードを重視する戦闘スタイルではあるが、それでももう少し防御に力を入れても良い筈だ」

ラストの声が聞こえていた冒険者達もうんうんと頷いていた。

遠目から見たティールの依頼に向かう姿を思いだすと、確かに防御力が薄い。
受付嬢たちもそれを知っているので、ティールと目が合うと苦笑いして軽く頷き、ラストの考えに同意した。

ラスト以外の者たちからも防御力が足りないと思われてると気付き、それについては真面目に検討しようと決めた。

「ん? あれは……」

ラストに街の防具屋に向かおうと言おうとした時、一人の冒険者がギルドに入ってきた。
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