あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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忘れてた……

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「…………」

「ラスト……もしかして、ちょっと酔ってるか?」

宴会が終わり、宿屋に帰る途中でティールは頬をほんのり赤くして無言のラストに気になり、酔っているのかと尋ねた。

「いや、酔っていない。これからでもモンスターと戦えるぐらい、コンディションは問題無い」

「そ、そうか」

多分ちょっと酔っているとティールは思った。

若干顔が赤いというのもあるが、ティールのといにたいする返しがいつものラストらしくないと感じたのだ。

(俺が呑んでも良いって言ったから、それなりに吞んでたからな……でも、今からでもモンスターと戦えるってのは嘘じゃなさそうだ)

頬が赤いのは赤いが、それでもフラフラと歩くことなく真っすぐ立っている。

「……マスター、俺は……マスターの腕が切り落とされた時、その……少し心配しました」

「え? あぁ、あの時か。あれはまぁ……うん、俺もビックリしたよ。超痛かったし」

雷の分身である雲雷にスカーレットリザードマンが触れ、雷によって痺れた瞬間を狙って背後から首を刎ねる。
それが当初の予定だったが、野生の本能で剣の軌道を無理矢理変え、雲雷を回避。
そして体を回転させながら背後に回ったティールを切り裂こうとしたが、ティールもティールでギリギリ反応して片腕だけ斬り飛ばされるという結果になった。

(過信は禁物だな。優れた能力だと思うが、それを使えば何とかなると思うのは良くない……雲雷を使ってからもう一手、二手続ける攻撃方法を考えないとな)

ティールも結果、根性で疾風瞬閃を振り上げてスカーレットリザードマンを倒すことに成功したが、一歩動けなければ自分が同じように斬り裂かれていた可能性がある。

それを考えると、いくらルーキー離れした身体能力とスキル数を持っていたとしても、一つの能力に頼って油断することは出来ない。

「まぁ、片腕を斬り飛ばされても大丈夫と言えば大丈夫なんだけどさ」

ブラッディ―タイガーを倒した際、神から授かったギフト、奪取≪スナッチ≫によって再生のスキルを奪った。

(再生のスキルを持っていたから何とかなったけど、多分アクアヒールだけじゃ本当にくっつけられなかっただろうな……消し飛んだ訳じゃないから教会で金を払えばなんとかなったと思うけど……そう考えると、本当に再生って有難いスキルだな)

奪取≪スナッチ≫によって奪ったスキル様々だ……なんて思っていると、今回の討伐の件で一つ……ティールは重要な事を思い出した。

「……あっ」

重要な事を思い出した瞬間、ティールは膝から崩れ落ちて両手を地面に付いた。

「だ、大丈夫かマスター! 食べ過ぎたか?」

「い、いや。大丈夫だ……食べ過ぎたとは思うが、そういう問題じゃない」

先輩たちの奢りということでがっつりと、普段以上に夕食を食べたティールだが、それでも膝から崩れ落ちたのは夕食を食べ過ぎたからではない。

そう…………奪取≪スナッチ≫を使い、スカーレットリザードマンからスキルを奪うのを忘れていたのだ。

(や、やってしまった……ギリギリ勝ったという喜びで気が緩んで、あいつからスキルを奪うのを忘れてた~~~~~!!!!)

魔力をそれなりに消耗してしまう能力、雲雷を使用したとはいえ、ティールにはまだ奪取≪スナッチ≫を使う余力が残っていた。

だが、片腕を斬り飛ばされながらもなんとか勝利し、斬り飛ばされた腕を急いでくっつけた。
奪取≪スナッチ≫でスキルを奪うよりもやることが先にあり、疲労感もあってすっかり頭から抜け落ちてしまっていた。

(はぁ~~~~~~~~~~~~…………し、仕方ないよな。うん、仕方ない。そういうこともある)

もう終わってしまったことは仕方ない。
これ以上グダグダ考えても仕方ないと思い、力がいきなり抜けてしまった体を無理矢理起こした。

「ほ、本当に大丈夫か?」

「あぁ、大丈夫だ……もう、大丈夫だ」

体を起こし、無事宿に戻ることは出来た。
しかし、いざベッドに入って寝ようとしたとき……もしかしたらの可能性が頭に浮かんだ。
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