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昇格してからまた直ぐに?
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「本当にお前らがいてくれて助かったぜ」
「ど、どうも」
オークとコボルトとの戦闘を終え、リザードマンとの戦闘を得た帰り道……ティールとラストは先輩冒険者に延々と絡まれていた。
「にしても紅いリザードマンの背後に回った時、よく躱したよな!」
「……直感というか、なんとなく不味いと思って後ろに下がった感じ……だったと思います。結局右腕は斬られましたけど」
スカーレットリザードマンが雲雷を本能的に躱したのと同じく、ティールも炎刀を本能で躱すことに成功出来た。
ただ、もう一度同じことが出来るかと尋ねられると、はいとは答えられない。
(あの時本当によく動けたよな……あそこで後ろに下がれなかったら、絶対に股からズバッと裂かれてた)
想像するだけで身震いしてしまう。
「ラストもよくあのデカぶつに一人で勝ったよな!!!」
「……マスターが貸してくれた武器が良かった。それが大きな要因だ」
「またまた~、謙遜しちゃって~~~。確かにあの武器……斬馬刀だったか? あれは確かにすげぇ武器だとは思うが、お前の身体能力と技量が無きゃ勝てなかったって」
「……そうか」
実際にリザードマンジェネラルと戦ったラストは、正直なところ……斬馬刀が無ければあそこまで早くジェネラルを倒すのは不可能だった思っている。
重量操作の効果を使うまで、中々ジェネラルを倒せるイメージが思い浮かばず、先にどちらの魔力が切れるかのデットレースになるかもしれない。
そう思っており、間違いなくリザードマンジェネラルはラストの中で強敵だった。
(ヴァンパイアも万全の状態であればあそこまであっさり勝つことは出来なかったかもしれないが……いや、あの戦いも斬抜刀とソードブレイカーがあったからこそ、何事もなく戦えただけか)
同じランクということもあり、やはり一概にどちらの方が上だと断定は出来なかった。
「にしても、今回の討伐で二人はもしかしたら俺たちと同じ、Cランクになれるかもしれないな」
「「「「ッ!!??」」」」
一人の先輩冒険者の言葉を聞いたDランクの冒険者たちが驚き、二人の方に視線を向けた。
「そうなんですか? 俺、この前Dランクに上がったばかりなんですけど」
「俺も同じだ。そう簡単に上がれるものなのか?」
まだ冒険者になって半年も経っていないルーキー中のルーキーである二人だが、戦力は完全にルーキーの域を越えてしまっている。
基本的には冒険者ギルドへの貢献度や依頼達成回数の多さ、依頼人からの評価などによってギルドが昇格しても良いか否かを決めるので、昇格できる機会が訪れるのは全員バラバラ。
そして低ランクで遊ばせておくのは勿体ないということもあり、ラストに至っては冒険者になったその日に昇格した。
「そりゃ普通は何年もかけて昇格の機会を得て、試験をクリアして昇格するもんだが……今回みたいな討伐戦で大活躍すれば、つい最近昇格したとしても直ぐにまた昇格の機会を得られることはあるんだよ」
ラストの様にいきなり数段飛ばしで昇格する者も数は多くないが、多少はいる。
「だから二人が最近Dランクに昇格してたとしても、今回の大活躍でまた昇格できる可能性も大いにあるのよ」
自分たちと同ランクのルーキーが、一気に自分たちよりも上のランク二上がるかもしれない。
その可能性を知ったDランクの冒険者たちは内心、物凄く嫉妬していた。
勿論、二人の戦いぶりは記憶に残っているので、昇格のチャンスを得る実力があるのは解る。
しかしそれとこれはまた別で、大半のルーキーたちがその可能性を羨ましがり、二人の力を妬ましく感じた。
だが、当の本人……ティールはそこまで嬉しそうな表情をしていなかった。
「ティール君、もしかして昇格出来るかもしれないという状況が、あまり嬉しくないのかい?」
イグラスはティールの表情から直ぐに心情を察した。
「まぁ……そうですね」
ティールから肯定の言葉が出された瞬間、数人のルーキーの怒りが爆発した。
「ど、どうも」
オークとコボルトとの戦闘を終え、リザードマンとの戦闘を得た帰り道……ティールとラストは先輩冒険者に延々と絡まれていた。
「にしても紅いリザードマンの背後に回った時、よく躱したよな!」
「……直感というか、なんとなく不味いと思って後ろに下がった感じ……だったと思います。結局右腕は斬られましたけど」
スカーレットリザードマンが雲雷を本能的に躱したのと同じく、ティールも炎刀を本能で躱すことに成功出来た。
ただ、もう一度同じことが出来るかと尋ねられると、はいとは答えられない。
(あの時本当によく動けたよな……あそこで後ろに下がれなかったら、絶対に股からズバッと裂かれてた)
想像するだけで身震いしてしまう。
「ラストもよくあのデカぶつに一人で勝ったよな!!!」
「……マスターが貸してくれた武器が良かった。それが大きな要因だ」
「またまた~、謙遜しちゃって~~~。確かにあの武器……斬馬刀だったか? あれは確かにすげぇ武器だとは思うが、お前の身体能力と技量が無きゃ勝てなかったって」
「……そうか」
実際にリザードマンジェネラルと戦ったラストは、正直なところ……斬馬刀が無ければあそこまで早くジェネラルを倒すのは不可能だった思っている。
重量操作の効果を使うまで、中々ジェネラルを倒せるイメージが思い浮かばず、先にどちらの魔力が切れるかのデットレースになるかもしれない。
そう思っており、間違いなくリザードマンジェネラルはラストの中で強敵だった。
(ヴァンパイアも万全の状態であればあそこまであっさり勝つことは出来なかったかもしれないが……いや、あの戦いも斬抜刀とソードブレイカーがあったからこそ、何事もなく戦えただけか)
同じランクということもあり、やはり一概にどちらの方が上だと断定は出来なかった。
「にしても、今回の討伐で二人はもしかしたら俺たちと同じ、Cランクになれるかもしれないな」
「「「「ッ!!??」」」」
一人の先輩冒険者の言葉を聞いたDランクの冒険者たちが驚き、二人の方に視線を向けた。
「そうなんですか? 俺、この前Dランクに上がったばかりなんですけど」
「俺も同じだ。そう簡単に上がれるものなのか?」
まだ冒険者になって半年も経っていないルーキー中のルーキーである二人だが、戦力は完全にルーキーの域を越えてしまっている。
基本的には冒険者ギルドへの貢献度や依頼達成回数の多さ、依頼人からの評価などによってギルドが昇格しても良いか否かを決めるので、昇格できる機会が訪れるのは全員バラバラ。
そして低ランクで遊ばせておくのは勿体ないということもあり、ラストに至っては冒険者になったその日に昇格した。
「そりゃ普通は何年もかけて昇格の機会を得て、試験をクリアして昇格するもんだが……今回みたいな討伐戦で大活躍すれば、つい最近昇格したとしても直ぐにまた昇格の機会を得られることはあるんだよ」
ラストの様にいきなり数段飛ばしで昇格する者も数は多くないが、多少はいる。
「だから二人が最近Dランクに昇格してたとしても、今回の大活躍でまた昇格できる可能性も大いにあるのよ」
自分たちと同ランクのルーキーが、一気に自分たちよりも上のランク二上がるかもしれない。
その可能性を知ったDランクの冒険者たちは内心、物凄く嫉妬していた。
勿論、二人の戦いぶりは記憶に残っているので、昇格のチャンスを得る実力があるのは解る。
しかしそれとこれはまた別で、大半のルーキーたちがその可能性を羨ましがり、二人の力を妬ましく感じた。
だが、当の本人……ティールはそこまで嬉しそうな表情をしていなかった。
「ティール君、もしかして昇格出来るかもしれないという状況が、あまり嬉しくないのかい?」
イグラスはティールの表情から直ぐに心情を察した。
「まぁ……そうですね」
ティールから肯定の言葉が出された瞬間、数人のルーキーの怒りが爆発した。
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