あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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悪くなかった討伐戦

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大将との戦いが始まってから数分後、ようやくコボルトとオークを全滅させることに成功した。

冒険者側もそれなりに数を用意していたとはいえ、敵の数もそれなりに多かった。
それ故に、誰も死なずに敵を全滅できたことは非常に喜ばしい結果だった。

「やるじゃねぇか、ティール!!!」

「えぇ、本当に凄かったですよ。接近戦が得意と言っていましたが、後衛の魔法使いとしても十分に戦える腕です」

「はは、有難うございます。まぁ、魔法について色々と教えてくれた師匠の腕が良かったんですよ」

リースは確かにティールに的確な指導を行い、下手な指導者よりも良い指導をティールは受けていた。
名選手は名監督に非ず……なんて言葉はリースに全く当てはまらず、ティールの才能を無駄にすることなく開花させた。

「謙遜を。ティール君の魔法の腕は私たちにも引けを取りません」

「ど、どうも」

褒められるのは嬉しいが、あまり褒められる過ぎると恥ずかしくなる。
だが、それはコボルトジェネラルと戦っていたラストも同じだった。

「いやぁ~~~、お前のお陰で誰も大怪我を負うことなく倒せたぜ!!!」

「……俺だけの成果ではないだろう。先輩たちからの働きがあったからこそ、俺たちは誰も死ぬことなく敵を倒せた」

「いいっていいって、無理に盛り上げなくて大丈夫だぜ。マジでラストがいてくれたからコボルトジェネラルが相手でも余裕をもって倒せたんだからよ」

「そ、そうか……まぁ、褒め言葉は素直に受け取っておこう」

主人であるティールの為に、あまり先輩冒険者と事を構えないように、謙虚に答えた。
しかし先輩冒険者たちはラストが前衛で戦ってくれたからこそ、後ろにいる他のルーキーたちに攻撃が飛ぶことはなく、自分たちが大きな怪我を負うことなく強敵を倒せたと理解している。

(確かに俺の成果が大きいかもしれないが……誰かの動きに合わせるという点では先輩冒険者たちの方が上だった。それは事実だ)

基本的に自分が戦いたいように動き、あっさりとコボルトジェネラルを防戦一方に追い込むことに成功した。
それは先輩冒険者たちが自分の動きに合わせて動いてくれたらか。

これはティールと一緒に戦っていては感じない感覚だった。

「そうそう、先輩からの褒め言葉は素直に受け取っておけ」

「その通りだ。それに……今回の討伐で一番の功績はラストとティールの二人だ」

三十半ばであり、今回の討伐隊では面倒見の良い兄貴として慕われている人物からもお褒めの言葉を貰った。
後ろで残った雑魚相手にしていたDランクの冒険者たちの中にはラストの戦いぶりを素直に賞賛する者がいれば、イギルの様にラストの強さは本物であり、自分たちが手の届かない力を持っている。

それを認めながらも、嫉妬してしまうルーキーもいた。

だが、今回の討伐戦で結局イギルやそのパーティーメンバーから攻撃を受けることはなかった。
それはティールやラストにとって余計な面倒事が起こらずに済み、嬉しい結果だった。

(そういえば途中からイギルが襲って来る可能性を忘れてたな……もしかして、油断した帰り道に襲ってくるとか?  でも、そんな体力は残ってないか)

幼い頃から体力トレーニングを欠かさなかったティールにはまだまだ体力的に余裕があるが、ティールほどストイックに自分たちを鍛えてこなかったイギルや仲間たちは膝に手を付き、地面に尻もちを付かないようにするので精一杯だった。

(特別面倒な敵はいなかったし、警戒していた奇襲もなかった……ちょっと物足りない感じはあったけど、これはこれで悪くないか)

ほんの少しの物足りなさはあれど、同業者たちと乱戦の中で息を合わせて戦う。
そんな戦いも悪くないと感じたティール。

ラストはラストで先輩冒険者の技量に感心する一戦となった。
だが、緊張の糸が切れて場の空気が緩んだ瞬間、斥候組は異変の気が付く。
そして数瞬遅れてラストとティールもその異変を感じ取った。
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