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有難みは感じた
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敵の攻撃を防ぐことも、味方の援護も間に合わない。
この攻撃を食らえば一発で死んでしまうかもしれない。
そんな状況であまり自分たちとは歳が変わらないイケメンの竜人が間に入り、助けてくれた。
さて、このラストによって助けられた女性冒険者。
そしてその光景をバッチリ見ていた女性冒険者いったいどんな印象を持つのか……一般的に考えれば、まず助けられた女性冒険者は恋に落ちてしまうだろう。
助けられた女性冒険者は仲間が声を掛けるまでラストの戦う姿に見惚れ、戦場にいるのにも拘わらずボ~っとしてしまった。
女性冒険者が助けられる光景を見ていた同性冒険者は、ラストが物語に出てくるような王子……もしくは貴族の令息などのイケメンにしか見えなかった。
こういった女性たちに対して、チョロいというのは失礼かもしれないが、その現場にいなかった女性。
もしくは男性たちからすれば「お前チョロ過ぎるだろ」と思われても仕方ない。
ただ、助けられた前衛タイプの女性冒険者からすれば、その一場面で恋に落ちてしまうほどの衝撃を感じたのだ。
「はっ!!!!」
しかしラストは女性冒険者から向けられる視線や感情などに全く気付いておらず、淡々とコボルトナイトを大剣で斬り伏せ、また次の獲物を倒しに向かった。
そして大将以外のコボルトやオークが殺された段階でトップは腹を括り、思わず耳を塞いでしまいそうな声量で雄叫びを上げながら冒険者たちに突貫。
コボルトジェネラル、オークジェネラルの二体はどちらも前衛タイプ。
二体とも身体強化以外に強化系のスキルを習得しており、冒険者側の数が多くてもそう簡単には倒せない。
ただ、Cランク冒険者のイグラスたちはいたって冷静だった。
今回の討伐でスタミナや魔力こそ疲労しているが、それでも死人は今のところ誰も出ていない。
数は多いので焦らずに確実に仕留めるスタンスで攻防を続ける。
ティールはオークジェネラルとの戦いに後方からのサポートとして参加。
そしてラストはコボルトジェネラルとの戦いに前衛として参加し、着実に大将を追いつめていく。
ティールは戦況を把握しながら投擲や味方に被害を出さない程度の攻撃魔法でオークジェネラルの動きを妨害し、サポートとして完璧な働きをしていた。
逆にコボルトジェネラル戦でラストは遊撃として戦場を動いていた時よりも自分が中心といった形で動き、それに周りが合わせて動く。
冒険者歴でいえば、ラストが一番後輩。
だが、ラストを中心として戦うことに文句を言いたい者は誰もいなかった。
元々Cランク組の冒険者たちはラストが新人離れした実力を持っていることは把握しており、Dランクの冒険者たちも今回の討伐中に自分たちよりもラストがどれだけ活躍したのか、嫌でも解らせられた。
(……ちょっと、嫉妬しちまうな)
ラストを援護する形でコボルトジェネラルとの戦いに参加しているCランク冒険者は、思わず心の中でそう呟いてしまった。
自分たちがラストの邪魔をしているとは思わない。
ただ……この戦い、自分たちが手を貸さずともラスト一人だけで勝ててしまうかもしれない。
そんな考えが頭の中で生まれた。
Cランク冒険者の中で前衛としてはそれなりに戦える方だと思っていたが、コボルトジェネラルを相手に一人で戦って倒せるか……そう問われると直ぐに答えることは出来ない。
しかしラストからは一人で戦っても大した傷を負うことなく、余裕の表情で勝ってしまう。
そんな光景が頭の中に浮かんでしまう。
複数で戦うほうが安全で、死者が出る可能性が低くなる。
それが分かっているからこそ、ラストも場を乱す様な発言であったり行動は起こさない。
(随分と楽だな)
複人で一体のモンスターを倒す有難みを感じながらも、心の中で一人で戦った方が満足する戦いが出来るなという、なんともバトル大好き人間らしい考えが浮かんでいた。
この攻撃を食らえば一発で死んでしまうかもしれない。
そんな状況であまり自分たちとは歳が変わらないイケメンの竜人が間に入り、助けてくれた。
さて、このラストによって助けられた女性冒険者。
そしてその光景をバッチリ見ていた女性冒険者いったいどんな印象を持つのか……一般的に考えれば、まず助けられた女性冒険者は恋に落ちてしまうだろう。
助けられた女性冒険者は仲間が声を掛けるまでラストの戦う姿に見惚れ、戦場にいるのにも拘わらずボ~っとしてしまった。
女性冒険者が助けられる光景を見ていた同性冒険者は、ラストが物語に出てくるような王子……もしくは貴族の令息などのイケメンにしか見えなかった。
こういった女性たちに対して、チョロいというのは失礼かもしれないが、その現場にいなかった女性。
もしくは男性たちからすれば「お前チョロ過ぎるだろ」と思われても仕方ない。
ただ、助けられた前衛タイプの女性冒険者からすれば、その一場面で恋に落ちてしまうほどの衝撃を感じたのだ。
「はっ!!!!」
しかしラストは女性冒険者から向けられる視線や感情などに全く気付いておらず、淡々とコボルトナイトを大剣で斬り伏せ、また次の獲物を倒しに向かった。
そして大将以外のコボルトやオークが殺された段階でトップは腹を括り、思わず耳を塞いでしまいそうな声量で雄叫びを上げながら冒険者たちに突貫。
コボルトジェネラル、オークジェネラルの二体はどちらも前衛タイプ。
二体とも身体強化以外に強化系のスキルを習得しており、冒険者側の数が多くてもそう簡単には倒せない。
ただ、Cランク冒険者のイグラスたちはいたって冷静だった。
今回の討伐でスタミナや魔力こそ疲労しているが、それでも死人は今のところ誰も出ていない。
数は多いので焦らずに確実に仕留めるスタンスで攻防を続ける。
ティールはオークジェネラルとの戦いに後方からのサポートとして参加。
そしてラストはコボルトジェネラルとの戦いに前衛として参加し、着実に大将を追いつめていく。
ティールは戦況を把握しながら投擲や味方に被害を出さない程度の攻撃魔法でオークジェネラルの動きを妨害し、サポートとして完璧な働きをしていた。
逆にコボルトジェネラル戦でラストは遊撃として戦場を動いていた時よりも自分が中心といった形で動き、それに周りが合わせて動く。
冒険者歴でいえば、ラストが一番後輩。
だが、ラストを中心として戦うことに文句を言いたい者は誰もいなかった。
元々Cランク組の冒険者たちはラストが新人離れした実力を持っていることは把握しており、Dランクの冒険者たちも今回の討伐中に自分たちよりもラストがどれだけ活躍したのか、嫌でも解らせられた。
(……ちょっと、嫉妬しちまうな)
ラストを援護する形でコボルトジェネラルとの戦いに参加しているCランク冒険者は、思わず心の中でそう呟いてしまった。
自分たちがラストの邪魔をしているとは思わない。
ただ……この戦い、自分たちが手を貸さずともラスト一人だけで勝ててしまうかもしれない。
そんな考えが頭の中で生まれた。
Cランク冒険者の中で前衛としてはそれなりに戦える方だと思っていたが、コボルトジェネラルを相手に一人で戦って倒せるか……そう問われると直ぐに答えることは出来ない。
しかしラストからは一人で戦っても大した傷を負うことなく、余裕の表情で勝ってしまう。
そんな光景が頭の中に浮かんでしまう。
複数で戦うほうが安全で、死者が出る可能性が低くなる。
それが分かっているからこそ、ラストも場を乱す様な発言であったり行動は起こさない。
(随分と楽だな)
複人で一体のモンスターを倒す有難みを感じながらも、心の中で一人で戦った方が満足する戦いが出来るなという、なんともバトル大好き人間らしい考えが浮かんでいた。
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