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無自覚に魅せる背中
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(このままいけば、特に何事も起こらずに今回の討伐は終わりそうだな)
ティールとラストだけでは全て倒すのにそれなりに時間が掛かる数だが、今回は二人だけではなく二十人近い数で討伐を行っている。
ただ、二人以外にとってはそれなりに気を付けて戦わなければならないモンスター。
あまりスタミナの残りを気にすることはなく、確実に敵を仕留めることに力を入れていた。
「そうは、させるか!」
ティールの視界に囚われた女性たちを救出するメンバーの後ろから、襲い掛かろうとするオークと上位種を発見。
メンバーの対応がやや間に合わないと判断したティールは落ちていた槍を拾い、全力投球。
オークたちの攻撃か救出メンバーに届くよりも先に、放たれた槍がヒット。
一体目は確実に心臓を貫き、ティールの投擲スキルによってコントロール補正が付与された槍は通常では考えられない勢いで方向転換。
そして二体目の内臓を貫き、三体目の上位種の体を貫く……ことはなかった。
「ブモォアアアッ!!!」
自身に飛んでくる槍の存在に気付き、得物の手斧で弾き飛ばした。
だが、放たれた槍に反応して声を上げたことで救出メンバーが存在に気付いて直ぐに隊を分断。
速攻でオークの上位種を片付けられる者たちが前に出て対応。
「もう大丈夫そうだな」
ティールは遊撃要員なので、好きなように戦場を動いて構わない。
そしてティールとしては、なるべく戦場で味方側に死人が出ない方が良い。
そう思いながら戦うのは人として当然。
なるべく自分もコボルトやオークを倒しながら、他の冒険者たちのサポートを行う。
ただ、それでも全てをカバー出来る訳ではなく、冒険者は冒険や依頼で死ぬかもしれないということを承知して街から出て敵と戦う。
決して不幸が起こってしまったとしても、ティールが気にする必要はない。
(……完全に、こっちに意識は向いてなさそうだな)
先日一悶着があったイギルの方にチラッと視線を向けるが、イギルはモンスターを倒すことに集中しており、ティールの方に全く意識を向けていなかった。
(憎悪的な意識がだいぶ薄まってるなって思ってたけど……これなら、もう気にする必要はないか)
もしかしたら乱戦に乗じて自分やラストに攻撃を仕掛けてくるかもしれない。
そんなことを考えていたが、その様子は全くなさそうに見えたので、イギルを気にすることは止めて討伐とサポートに集中した。
「魔法は俺が消します!!!!」
戦場の中でも通る声で援護すると伝え、オークメイジが放つウォーターランスにウィンドランスをぶつける。
ティールが攻撃魔法をなんとかすると宣言したことで、それを信用した後衛の冒険者たちは自身の攻撃を相殺ではなく、討伐に使用。
前衛の冒険者たちも敵の遠距離攻撃に怯えることなく攻撃出来ると分かり、大胆に接近して敵を倒す。
「ナイス援護だ!!!!」
「どうも!!」
冒険者側は怪我人がゼロではないが、それでも死者は今のところ一人もいない。
しかし状況が完全に良い方向に向いてるかといえば、そうではない。
逃げる隙が無いことはコボルトとオークも解っているので、少しでも倒せる敵を倒すことに集中する。
その結果、Dランクの冒険者たちが集中的に狙われ始めた。
コボルトやオークが大層な観察眼を持っている訳ではないが、それでもある程度戦っていればどの人間が弱い部類なのか。
それぐらいは判断できる。
そして上からの指示が飛ばされ、上位種達はDランクのルーキーたちを狙いを定めて攻撃。
「きゃっ!?」
突然自分たちの方にやって来た攻撃をなんとかガードすることに成功したが、衝撃には耐え切れず吹き飛ばされて地面に倒れてしまう。
仲間の援護も一瞬間に合わない。
そんなタイミングで……戦況が急変したと察知したラストが間に割って入り、コボルトナイトの斬撃を大剣で受け止めた。
「……なるほど、多少は強いな。お前ら、下がってまだ残っている通常種を相手しろ」
有無を言わせない言葉。
そして返事を聞かずにラストはコボルトナイトを強制的に自分との一対一の勝負に追い込んだ。
ティールとラストだけでは全て倒すのにそれなりに時間が掛かる数だが、今回は二人だけではなく二十人近い数で討伐を行っている。
ただ、二人以外にとってはそれなりに気を付けて戦わなければならないモンスター。
あまりスタミナの残りを気にすることはなく、確実に敵を仕留めることに力を入れていた。
「そうは、させるか!」
ティールの視界に囚われた女性たちを救出するメンバーの後ろから、襲い掛かろうとするオークと上位種を発見。
メンバーの対応がやや間に合わないと判断したティールは落ちていた槍を拾い、全力投球。
オークたちの攻撃か救出メンバーに届くよりも先に、放たれた槍がヒット。
一体目は確実に心臓を貫き、ティールの投擲スキルによってコントロール補正が付与された槍は通常では考えられない勢いで方向転換。
そして二体目の内臓を貫き、三体目の上位種の体を貫く……ことはなかった。
「ブモォアアアッ!!!」
自身に飛んでくる槍の存在に気付き、得物の手斧で弾き飛ばした。
だが、放たれた槍に反応して声を上げたことで救出メンバーが存在に気付いて直ぐに隊を分断。
速攻でオークの上位種を片付けられる者たちが前に出て対応。
「もう大丈夫そうだな」
ティールは遊撃要員なので、好きなように戦場を動いて構わない。
そしてティールとしては、なるべく戦場で味方側に死人が出ない方が良い。
そう思いながら戦うのは人として当然。
なるべく自分もコボルトやオークを倒しながら、他の冒険者たちのサポートを行う。
ただ、それでも全てをカバー出来る訳ではなく、冒険者は冒険や依頼で死ぬかもしれないということを承知して街から出て敵と戦う。
決して不幸が起こってしまったとしても、ティールが気にする必要はない。
(……完全に、こっちに意識は向いてなさそうだな)
先日一悶着があったイギルの方にチラッと視線を向けるが、イギルはモンスターを倒すことに集中しており、ティールの方に全く意識を向けていなかった。
(憎悪的な意識がだいぶ薄まってるなって思ってたけど……これなら、もう気にする必要はないか)
もしかしたら乱戦に乗じて自分やラストに攻撃を仕掛けてくるかもしれない。
そんなことを考えていたが、その様子は全くなさそうに見えたので、イギルを気にすることは止めて討伐とサポートに集中した。
「魔法は俺が消します!!!!」
戦場の中でも通る声で援護すると伝え、オークメイジが放つウォーターランスにウィンドランスをぶつける。
ティールが攻撃魔法をなんとかすると宣言したことで、それを信用した後衛の冒険者たちは自身の攻撃を相殺ではなく、討伐に使用。
前衛の冒険者たちも敵の遠距離攻撃に怯えることなく攻撃出来ると分かり、大胆に接近して敵を倒す。
「ナイス援護だ!!!!」
「どうも!!」
冒険者側は怪我人がゼロではないが、それでも死者は今のところ一人もいない。
しかし状況が完全に良い方向に向いてるかといえば、そうではない。
逃げる隙が無いことはコボルトとオークも解っているので、少しでも倒せる敵を倒すことに集中する。
その結果、Dランクの冒険者たちが集中的に狙われ始めた。
コボルトやオークが大層な観察眼を持っている訳ではないが、それでもある程度戦っていればどの人間が弱い部類なのか。
それぐらいは判断できる。
そして上からの指示が飛ばされ、上位種達はDランクのルーキーたちを狙いを定めて攻撃。
「きゃっ!?」
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仲間の援護も一瞬間に合わない。
そんなタイミングで……戦況が急変したと察知したラストが間に割って入り、コボルトナイトの斬撃を大剣で受け止めた。
「……なるほど、多少は強いな。お前ら、下がってまだ残っている通常種を相手しろ」
有無を言わせない言葉。
そして返事を聞かずにラストはコボルトナイトを強制的に自分との一対一の勝負に追い込んだ。
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