218 / 613
止めることは無理でも
しおりを挟む
「はぁ~~~~、美味かった」
「そうだな、美味かった……それに、かなり腹一杯になった」
腹八分目を超えるぐらい食べたラストの腹はパンパン。
そしてラストだけではなく、他のルーキーたちも遠慮なく食べて食べて食べまくったお陰で、イグラスたちの財布に少なくないダメージが入った。
「……マスター、あいつはずっとこちらを意識していたな」
「あいつって……イギルのことか?」
「そんな名前だったか」
ラストにとってイギルは自分の主人に不遜な態度を取り、殴り掛かろうとした実力不足の若者といった印象しか残っておらず、名前を覚えるような存在ではなかった。
(基本的に人付き合いが得意なタイプには思えないけど、知り合った冒険者の名前ぐらいは覚えておいてほしいな……でも、イギルの様な奴は確かに覚えなくても良いか)
どうせこの先殆ど関わることなんてない。
なのでこの件に関しては特に注意することはない。
「確かに飯はがっつり食べてたけど、やや俺とラガスに意識が向いてたな……まだまだ敵意があったけど」
「面倒な奴だな……もう一度殴っておくか?」
「いや、俺たちから仕掛けるのは駄目だって」
先程の様に向こうから仕掛けてきたのであれば、殴られる前に吹き飛ばすのは構わない。
だが、わざわざこちらから問題を起こす様な真似はしたくない。
「しかし、やられる前にやれという言葉があるが」
「それは……あれだよ。一触即発の雰囲気になっていれば、やられる前にやった方が良いのかもしれないけど、とりあえずさっきの件はもう済んだ話だから」
「そうか……マスターがそう言うのであれば、気にするのは止めよう」
「そうしてくれ。ただ、戦闘中に向こうが仕掛けて来たら……こう、サラッとバレないようにやり返すのはありだな」
イグラスがそういったことは起きないように目を光らせておくとは言ってくれた。
しかし、いざ戦闘が始まれば相手を倒す事……そして自分の命を、仲間の命を守ることが最優先になる。
そして、イグラスは二人の実力が本物だということを信じている。
故に……イギルの妨害程度で怪我を負うとは全く思っていない。
(俺としてはイギルが冒険者としてやってはいけない行為をやった。それをイグラスさんたちが確認してギルドに報告してくれるだけでもありがたい)
ただそうなると、やはりやり返すのは良くないのかと考えてしまう。
「…………」
「急に難しい顔をしてどうしたんだ?」
「いや、仮にイギルが本当に討伐の最中に仕掛けてくるのをイグラスさんたちが確認してギルドに報告してくれるなら、やり返さない方が良いのかと思ってさ」
「ふむ……冒険者ギルドからの心証を考えると、難しいところだな」
ラストとしては、やられたらやり返したい。
その気持ちが大きいが、やってしまうとギルドからの心証が悪くなるかもしれない。
それはマスターであるティールに迷惑掛けるかもしれない……そう思うと、若干ブレーキが掛かってしまう。
「……まっ、仮定の話をこんなに考え過ぎても無駄か。それより、ちょっと食後の運動でもするか?」
「そうだな……ギルドの訓練場に行くか」
他のメンバーは自由にリフレッシュするのに時間を使っているが、二人は迷うことなく体を動かすことに時間を使うと決めた。
討伐を開始するのは二日後。
それまで参加するメンバーたちは体が鈍らない程度に体を動かしはするが、二人は違った。
「はっ!!!」
「ぬぉっ!? 重いな、おい!!」
冒険者ギルドの訓練場に到着すると、軽く準備運動を行ってから既による模擬戦を始めた。
二人としてはあまり怪我しない程度の軽い模擬戦なのだが、周囲の冒険者たちからすれば何かを懸けて戦っているのか?
そう思わせるほどの迫力があった。
「ふっ!!!!」
「せいっ!!!!」
二人が同時に体術スキル技、正拳突きを使用。
訓練場に鈍い音が響くが、両者とも下がらない。
そして数秒ほど睨み合った結果、これ以上は強化系のスキルを使わないと動かないと判断し、一旦休憩に移った。
「そうだな、美味かった……それに、かなり腹一杯になった」
腹八分目を超えるぐらい食べたラストの腹はパンパン。
そしてラストだけではなく、他のルーキーたちも遠慮なく食べて食べて食べまくったお陰で、イグラスたちの財布に少なくないダメージが入った。
「……マスター、あいつはずっとこちらを意識していたな」
「あいつって……イギルのことか?」
「そんな名前だったか」
ラストにとってイギルは自分の主人に不遜な態度を取り、殴り掛かろうとした実力不足の若者といった印象しか残っておらず、名前を覚えるような存在ではなかった。
(基本的に人付き合いが得意なタイプには思えないけど、知り合った冒険者の名前ぐらいは覚えておいてほしいな……でも、イギルの様な奴は確かに覚えなくても良いか)
どうせこの先殆ど関わることなんてない。
なのでこの件に関しては特に注意することはない。
「確かに飯はがっつり食べてたけど、やや俺とラガスに意識が向いてたな……まだまだ敵意があったけど」
「面倒な奴だな……もう一度殴っておくか?」
「いや、俺たちから仕掛けるのは駄目だって」
先程の様に向こうから仕掛けてきたのであれば、殴られる前に吹き飛ばすのは構わない。
だが、わざわざこちらから問題を起こす様な真似はしたくない。
「しかし、やられる前にやれという言葉があるが」
「それは……あれだよ。一触即発の雰囲気になっていれば、やられる前にやった方が良いのかもしれないけど、とりあえずさっきの件はもう済んだ話だから」
「そうか……マスターがそう言うのであれば、気にするのは止めよう」
「そうしてくれ。ただ、戦闘中に向こうが仕掛けて来たら……こう、サラッとバレないようにやり返すのはありだな」
イグラスがそういったことは起きないように目を光らせておくとは言ってくれた。
しかし、いざ戦闘が始まれば相手を倒す事……そして自分の命を、仲間の命を守ることが最優先になる。
そして、イグラスは二人の実力が本物だということを信じている。
故に……イギルの妨害程度で怪我を負うとは全く思っていない。
(俺としてはイギルが冒険者としてやってはいけない行為をやった。それをイグラスさんたちが確認してギルドに報告してくれるだけでもありがたい)
ただそうなると、やはりやり返すのは良くないのかと考えてしまう。
「…………」
「急に難しい顔をしてどうしたんだ?」
「いや、仮にイギルが本当に討伐の最中に仕掛けてくるのをイグラスさんたちが確認してギルドに報告してくれるなら、やり返さない方が良いのかと思ってさ」
「ふむ……冒険者ギルドからの心証を考えると、難しいところだな」
ラストとしては、やられたらやり返したい。
その気持ちが大きいが、やってしまうとギルドからの心証が悪くなるかもしれない。
それはマスターであるティールに迷惑掛けるかもしれない……そう思うと、若干ブレーキが掛かってしまう。
「……まっ、仮定の話をこんなに考え過ぎても無駄か。それより、ちょっと食後の運動でもするか?」
「そうだな……ギルドの訓練場に行くか」
他のメンバーは自由にリフレッシュするのに時間を使っているが、二人は迷うことなく体を動かすことに時間を使うと決めた。
討伐を開始するのは二日後。
それまで参加するメンバーたちは体が鈍らない程度に体を動かしはするが、二人は違った。
「はっ!!!」
「ぬぉっ!? 重いな、おい!!」
冒険者ギルドの訓練場に到着すると、軽く準備運動を行ってから既による模擬戦を始めた。
二人としてはあまり怪我しない程度の軽い模擬戦なのだが、周囲の冒険者たちからすれば何かを懸けて戦っているのか?
そう思わせるほどの迫力があった。
「ふっ!!!!」
「せいっ!!!!」
二人が同時に体術スキル技、正拳突きを使用。
訓練場に鈍い音が響くが、両者とも下がらない。
そして数秒ほど睨み合った結果、これ以上は強化系のスキルを使わないと動かないと判断し、一旦休憩に移った。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
1,753
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる