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サクッと終わらない?
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「さて、皆集まったことだし話し合いを始めようか」
最後の一組が時間までに現れたので、早速イグラスが司会役として話し合いを始めようとするのだが……この場に集まった冒険者の中で、特定の人物に不満を持つ者が数名程いた。
「なぁ、イグラスさんよぉ。俺たちが潰そうとしてるのはオークとコボルトの巣だよな」
「あぁ、そうだな。なんだい、もしかして良い感じの依頼でも見つけてそっちを優先したいって話かな」
声を上げた人物はイギル。
歳はあまりイグラスと変わらないが、ランクは一つ下なので一応さん付で呼んでいる。
体格は大きく、慎重は百九十センチを超えている。
武器は体の大きさに見合う大剣を使う。
そんなイギルが不満を持つ者たちを代表し、立ち上がった。
「そんな話じゃねぇよ。今更逃げるような真似するかっての」
「ふふ、そうだね。でも……随分と不満そうな顔をしてるじゃないか」
何が不満なのかはイグラスも解っているが、決めつけるような言い方はしない。
「あぁ、勿論不満はあるぜ。なんでこれから二つのモンスターが巣をつくってる場所を潰そうって話をするのに、なんでガキがここに紛れ込んでるんだよ!!!」
ただ大きな声を出すだけではなく、まるでティールを委縮させる為かのように怒鳴り声を上げた。
しかし、とうのティールは全くイギルが怖いとは思わなかった。
(……あれだな。バーバスをそのまま大きくしたって感じだ)
現在はポンコツからまともに変わったバーバスだが、イギルはガキ大将がそのまま大きくなってしまった。
そんな言葉が相応しい見た目と性格をしている。
ティールからすれば面倒な相手という言葉で終わるが、イギルはイギルなりに努力を重ねてDランク相当の実力を手に入れた。
ただ……残念なことに、まだ相手の実力を正確に見極める眼は持っていなかった。
「なぁ、俺は一応イグラスさんに呼ばれたからここに来てるんですよ」
絡まれてる当人として、一応解決出来る力を持っているので、逃げることなく言葉を発した。
「だから何だってんだよ!!! ここはガキが来て良い場所じゃねぇんだよ!!! そんなことも分からずに冒険者やってんのか! 才能ねぇからさっさと辞めちまえ!!!!」
イギルが不満を撒き散らした瞬間にラストが再度……今度は本気で戦意と敵意を放とうとしたのを感知し、ティールは慌てて止めた。
「へぇ~~~~、そういうこと言うんですね。では、同じくイグラスさんにそのように伝えたらどうですか?」
「あぁ? 何言ってんだクソガキ」
(それはこっちのセリフだ、クソガキ大将!!!)
そう思ったが、叫ぶのは心の中だけにしておく。
「もう一度言いますね。俺をここに呼んだのはイグラスさんです。あなたは俺に冒険者としての才能が無いからさっさと辞めちまえと言いましたが、それなら俺とラストに今回の討伐には俺たちの力が必要だと思って呼んだイグラスさんにも同じことが言えますよね」
正確には、相手を視る才能が無いという結論になるのだが、相手が本当に馬鹿だということを利用して自分がどれだけ大きな失言をしたのか、しっかりと理解させる。
「ッ!!!! チッ」
自分がどんな内容を発現をしたのか、考えていたのか……それをようやく理解した数名は一気に顔色と態度がマイナスに下がった。
「そういうことになりますよね、イグラスさん」
「う~~~~ん……まぁ、ざっくり考えるとそういうことになるかな」
冒険者の中には強気な連中が多い。
そういった者たちが冒険者に向いているという傾向があり、例えランクが一つ下であったとしても上の連中をバチバチにライバル視している若者はそれなりにいる。
数名は表情が悪くなっていても、もう数名は確かにティールの言葉通りやらかしたかもしれないが、完全にこっちが悪い訳ではない。
そう考えている者もいた。
(あれ? 意外と一気に意気消沈しないんだ)
その部分を指摘するだけで問題は解決するかと思っていたが、意外と簡単には収束しなかった。
最後の一組が時間までに現れたので、早速イグラスが司会役として話し合いを始めようとするのだが……この場に集まった冒険者の中で、特定の人物に不満を持つ者が数名程いた。
「なぁ、イグラスさんよぉ。俺たちが潰そうとしてるのはオークとコボルトの巣だよな」
「あぁ、そうだな。なんだい、もしかして良い感じの依頼でも見つけてそっちを優先したいって話かな」
声を上げた人物はイギル。
歳はあまりイグラスと変わらないが、ランクは一つ下なので一応さん付で呼んでいる。
体格は大きく、慎重は百九十センチを超えている。
武器は体の大きさに見合う大剣を使う。
そんなイギルが不満を持つ者たちを代表し、立ち上がった。
「そんな話じゃねぇよ。今更逃げるような真似するかっての」
「ふふ、そうだね。でも……随分と不満そうな顔をしてるじゃないか」
何が不満なのかはイグラスも解っているが、決めつけるような言い方はしない。
「あぁ、勿論不満はあるぜ。なんでこれから二つのモンスターが巣をつくってる場所を潰そうって話をするのに、なんでガキがここに紛れ込んでるんだよ!!!」
ただ大きな声を出すだけではなく、まるでティールを委縮させる為かのように怒鳴り声を上げた。
しかし、とうのティールは全くイギルが怖いとは思わなかった。
(……あれだな。バーバスをそのまま大きくしたって感じだ)
現在はポンコツからまともに変わったバーバスだが、イギルはガキ大将がそのまま大きくなってしまった。
そんな言葉が相応しい見た目と性格をしている。
ティールからすれば面倒な相手という言葉で終わるが、イギルはイギルなりに努力を重ねてDランク相当の実力を手に入れた。
ただ……残念なことに、まだ相手の実力を正確に見極める眼は持っていなかった。
「なぁ、俺は一応イグラスさんに呼ばれたからここに来てるんですよ」
絡まれてる当人として、一応解決出来る力を持っているので、逃げることなく言葉を発した。
「だから何だってんだよ!!! ここはガキが来て良い場所じゃねぇんだよ!!! そんなことも分からずに冒険者やってんのか! 才能ねぇからさっさと辞めちまえ!!!!」
イギルが不満を撒き散らした瞬間にラストが再度……今度は本気で戦意と敵意を放とうとしたのを感知し、ティールは慌てて止めた。
「へぇ~~~~、そういうこと言うんですね。では、同じくイグラスさんにそのように伝えたらどうですか?」
「あぁ? 何言ってんだクソガキ」
(それはこっちのセリフだ、クソガキ大将!!!)
そう思ったが、叫ぶのは心の中だけにしておく。
「もう一度言いますね。俺をここに呼んだのはイグラスさんです。あなたは俺に冒険者としての才能が無いからさっさと辞めちまえと言いましたが、それなら俺とラストに今回の討伐には俺たちの力が必要だと思って呼んだイグラスさんにも同じことが言えますよね」
正確には、相手を視る才能が無いという結論になるのだが、相手が本当に馬鹿だということを利用して自分がどれだけ大きな失言をしたのか、しっかりと理解させる。
「ッ!!!! チッ」
自分がどんな内容を発現をしたのか、考えていたのか……それをようやく理解した数名は一気に顔色と態度がマイナスに下がった。
「そういうことになりますよね、イグラスさん」
「う~~~~ん……まぁ、ざっくり考えるとそういうことになるかな」
冒険者の中には強気な連中が多い。
そういった者たちが冒険者に向いているという傾向があり、例えランクが一つ下であったとしても上の連中をバチバチにライバル視している若者はそれなりにいる。
数名は表情が悪くなっていても、もう数名は確かにティールの言葉通りやらかしたかもしれないが、完全にこっちが悪い訳ではない。
そう考えている者もいた。
(あれ? 意外と一気に意気消沈しないんだ)
その部分を指摘するだけで問題は解決するかと思っていたが、意外と簡単には収束しなかった。
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