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なんとなく分かる感覚

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「惜しまず武器にお金を使う、か……そうだね。モンスターに勝つうえで重要なことだよね」

「あぁ、そうだな。その通りだ……ふぅーーーー、頑張ってもっと稼げるようにならないとな」

自分の命を預ける相棒に対して、対価を惜しまない。
当たり前のことだが、まだまだ生活が豊かではないルーキーにとって……質が高い武器が欲しいという気持ちは確かにある。

だが、これからの生活を考えると……万が一の為に、お金を貯めておかなければならない。
その他にも理由があって、大胆に使えない者も多い。

「……だからあれか、ティールは投擲とかで倒せるようになった方が良いって教えてくれたのか」

現在使っている武器が、いつまでも使えるとは限らない。
整備を怠らず、大事に使い続けたとしてもいつかは壊れる。

マジックアイテムの武器……魔剣や魔槍であれば再生の効果が付与されている場合もあるので、魔力を消費すれば永遠に使い続けられる物もあるが、ルーキーにはどう足掻いても手が出せない一品だ。

だが、フィリックたちに対してティールは投擲という攻撃手段はそれなりに使えると教えた。
投擲は本来短剣や槍を投げることによって相手にダメージを与える攻撃方法だが、投げる物は極論……そこら辺に落ちている石ころでも構わないのだ。

倒す相手によっては石に魔力を纏い、強度を上げる必要はある。
しかしそれでも必要系はゼロ。

投擲した石ころが相手にダメージを与えたが砕けた。
だが、森の中にはいれば石ころなど幾らでも落ちている。

「ん? あぁ……そうだな。投擲は俺が初めて手に入れた武器っていうのもあるけど……仮に周囲に投げる物が全くなかったとしても、最悪の場合魔力を投げれば良いしね」

そう言いながら手のひらに魔力を浮かばせた。

「……とんでもなく綺麗な球体だね」

「粗さが全くないな」

軽く魔力の球体を体内から放出したティールだが、生み出された球体の綺麗さに二人は目が点になった。

「二人の言う通りだ。マスターは魔法の腕だけではなく、魔力操作の技術も一流ということか」

投げる物がなければ魔力を投げれば良い。
それは決して間違った発想ではない。

だが、一般的なレベルであれば手に魔力を集める。
そして魔力の塊を丁度良いタイミングで手から放出する。

これが一般的な魔力による投擲。
実際に魔力の球体を放出してから投げる……それはやや攻撃のモーションが増えてしまう。

「まぁ……あれだよ、趣味も極めればこうなるってだけだよ」

まさか放出した魔力の球体を……その荒の無さを褒められるとは思っていなかった。

「投げる物がなければ魔力を投げる、か……僕としては早く習得したい技術だけで、それってそれなりに難しいんだよね」

「そう、だな。簡単ではなかったのは覚えている」

投擲のスキルを習得した状態であれば、放出した魔力の塊はコントロール補正で狙った場所に向かう。
だが、意識的にスキルの効果をシャットアウトした状態でやると、これが中々難しい。

「でも投擲のスキルを習得して、スキルレベルを上げればコントロールに関しては補正されるから、先にそっちを優先した方が良いぞ」

「はは、さすが既に習得している人は良いアドバイスをくれるね」

「なぁ、ティール。投擲のスキルレベルを上げれば、投げた物をこう……くるっと回って戻すことも出来るか?」

フィリックはパーティー内でメンバーを守るための盾、タンクだが攻撃手段として手斧を使っている。
状況によっては投擲という手段を行えるが、一度投げてしまえば予備の武器がないと、攻撃手段がなくなってしまう。

だが、投擲武器の中には使い手が少ないが、ブーメランを使う者もいる。
ブーメランは投擲のスキル関係無しに、使い手の技量によって投げた後、手元に帰ってくる性能を持つ。

「あぁ、スキルレベルを上げればそういうことも出来るぞ。キャッチが難しいと思うかもしれないけど、スキルレベルをそこまで上げればキャッチするタイミングはなんとなく分かる筈だよ」

これはティールだけの感覚ではなく、そこまで投擲の技術が達した者たち全員が感じる体験だった。
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