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「はぁ~~~~、食った食った」
「そうだな。腹一杯だ」
夕食を食べ終えた後、ニーナたちと解散。
料金は勿論、ニーナたち持ち。
ニーナたちからすれば、命を助けられたことを考えれば、成長期の二人がガッツリ食べたところで、たかが知れているというもの。
大浴場で疲れを流し、宿に戻って来た二人はベッドに倒れ込んだ。
「……にしても、キラータイガーを探してたらレッサーヴァンパイアを従えるヴァンパイアと遭遇するなんて、遺跡は森の中以上に何が起こるか分からないもんだな」
「その通りだな。ただ、二体ともそれなりに強かった」
自分はそれなりに戦えると思っていたラストだが、今回の戦いでまだまだティールと同等になるには足りないと感じた。
キラータイガーは遺跡の中で戦えば、一人だとジリ貧になる可能性が高い。
ヴァンパイアに関しては、正直なところブラッディ―タイガーの素材から造られた斬馬刀とソードブレイカーがなければ厳しかった。
「満足したか?」
「あぁ、十分過ぎるほど満足出来た。ところでマスター……あの女、ニーナという冒険者に気があるのか?」
「ッ!!??」
いきなりぶっこむんだ言葉を放つラストに対し、ティールは若干頬を赤くしながら固まった。
「む、違ったか?」
「いや、そうじゃなくて……まぁ、うん。そうだな……確かに気はある。けど、なんで分かったんだ?」
ティールとしてはあまり表情に出していないつもりだった。
だが、ラストにはかなりバレていた。
「単純に、表情に出ていたから……としか言えないな」
「そ、そうだったか」
「……もっと正確に言えば、シルとセイラという女と話している時と比べて、表情が違った……というところか」
「あ、あぁ~~~~。なるほどな、それは……結構バレてしまうか」
なるほど、と納得してしまう。
なるべく表情に出ないようにしていても、完璧なポーカーフェイスは出来ない。
そうなれば、他の女性二人と喋っている時との反応の違いを見られると、一発でバレてしまう。
「それで、告白するのか」
「い、いや……特にする気はないな」
「?? なんでだ。気になっているなら告白するものじゃないのか」
「そうかもしれないけど……ほら、俺とニーナさんだとそれなりに歳が離れてるだろ」
「……かもしれないな。だが、そこまで大きな差ではないだろ」
言い訳をしようとしたが、見事に撃沈。
「うっ……えっと、ニーナさんにも好きな人がいるかもしれないだろ」
「その可能性は確かに否定出来ないが、恋人がいるわけではないだろう……多分だが」
ラストの言う通り、ニーナには既に恋人がいる……なんて事実は確認出来ていない。
そもそも本当に現在、好きな人がいるのか。
それ自体、全く確証がないため、ティールが自らの意思を押し殺してアタックしない理由にはならない。
「あぁ~~~~……あれだよ、ニーナさんは俺がこの街に来てから知り合った人が憧れている人なんだよ」
「……憧れ、惚れているということか」
「そういうこと。だから、とりあえず一歩引こうと思ってるんだ」
ティールからそれなりの理由を訊き、納得できた……が、完全には納得しなかった。
「だが、マスターもニーナに惚れたのだろ。恋愛とは、競争だろ。やはりマスターが引く理由にはならないと思うのだが」
「俺としてはあんまりその知り合った同業者……オルアットと仲が悪くなりたくないんだ」
「なるほど……恋愛より、友情を取るということだな」
「う、うん……そうだな、だいたいそんな感じだ」
今二人が本気でニーナにアタックすればどうなるか……それは正直、未来が分かる人物でなければ把握出来ない。
ティールは戦闘者としての実力でいえば、オルアットよりも圧倒的に高い。
だが、戦闘力だけでは恋愛の勝負には勝てない。
次、好きになった人の気を少しでも引こうということで強くなろうと努力を重ねてきたティールだが、実際問題として、それは一つの要因にしかならないと理解した。
「後さ……やっぱり結婚するって考えれば多少の誤差かもしれないけど、付き合うってなうると現在俺とニーナさんの年齢は、やっぱり大きな壁になると思うんだ」
「そうだな。腹一杯だ」
夕食を食べ終えた後、ニーナたちと解散。
料金は勿論、ニーナたち持ち。
ニーナたちからすれば、命を助けられたことを考えれば、成長期の二人がガッツリ食べたところで、たかが知れているというもの。
大浴場で疲れを流し、宿に戻って来た二人はベッドに倒れ込んだ。
「……にしても、キラータイガーを探してたらレッサーヴァンパイアを従えるヴァンパイアと遭遇するなんて、遺跡は森の中以上に何が起こるか分からないもんだな」
「その通りだな。ただ、二体ともそれなりに強かった」
自分はそれなりに戦えると思っていたラストだが、今回の戦いでまだまだティールと同等になるには足りないと感じた。
キラータイガーは遺跡の中で戦えば、一人だとジリ貧になる可能性が高い。
ヴァンパイアに関しては、正直なところブラッディ―タイガーの素材から造られた斬馬刀とソードブレイカーがなければ厳しかった。
「満足したか?」
「あぁ、十分過ぎるほど満足出来た。ところでマスター……あの女、ニーナという冒険者に気があるのか?」
「ッ!!??」
いきなりぶっこむんだ言葉を放つラストに対し、ティールは若干頬を赤くしながら固まった。
「む、違ったか?」
「いや、そうじゃなくて……まぁ、うん。そうだな……確かに気はある。けど、なんで分かったんだ?」
ティールとしてはあまり表情に出していないつもりだった。
だが、ラストにはかなりバレていた。
「単純に、表情に出ていたから……としか言えないな」
「そ、そうだったか」
「……もっと正確に言えば、シルとセイラという女と話している時と比べて、表情が違った……というところか」
「あ、あぁ~~~~。なるほどな、それは……結構バレてしまうか」
なるほど、と納得してしまう。
なるべく表情に出ないようにしていても、完璧なポーカーフェイスは出来ない。
そうなれば、他の女性二人と喋っている時との反応の違いを見られると、一発でバレてしまう。
「それで、告白するのか」
「い、いや……特にする気はないな」
「?? なんでだ。気になっているなら告白するものじゃないのか」
「そうかもしれないけど……ほら、俺とニーナさんだとそれなりに歳が離れてるだろ」
「……かもしれないな。だが、そこまで大きな差ではないだろ」
言い訳をしようとしたが、見事に撃沈。
「うっ……えっと、ニーナさんにも好きな人がいるかもしれないだろ」
「その可能性は確かに否定出来ないが、恋人がいるわけではないだろう……多分だが」
ラストの言う通り、ニーナには既に恋人がいる……なんて事実は確認出来ていない。
そもそも本当に現在、好きな人がいるのか。
それ自体、全く確証がないため、ティールが自らの意思を押し殺してアタックしない理由にはならない。
「あぁ~~~~……あれだよ、ニーナさんは俺がこの街に来てから知り合った人が憧れている人なんだよ」
「……憧れ、惚れているということか」
「そういうこと。だから、とりあえず一歩引こうと思ってるんだ」
ティールからそれなりの理由を訊き、納得できた……が、完全には納得しなかった。
「だが、マスターもニーナに惚れたのだろ。恋愛とは、競争だろ。やはりマスターが引く理由にはならないと思うのだが」
「俺としてはあんまりその知り合った同業者……オルアットと仲が悪くなりたくないんだ」
「なるほど……恋愛より、友情を取るということだな」
「う、うん……そうだな、だいたいそんな感じだ」
今二人が本気でニーナにアタックすればどうなるか……それは正直、未来が分かる人物でなければ把握出来ない。
ティールは戦闘者としての実力でいえば、オルアットよりも圧倒的に高い。
だが、戦闘力だけでは恋愛の勝負には勝てない。
次、好きになった人の気を少しでも引こうということで強くなろうと努力を重ねてきたティールだが、実際問題として、それは一つの要因にしかならないと理解した。
「後さ……やっぱり結婚するって考えれば多少の誤差かもしれないけど、付き合うってなうると現在俺とニーナさんの年齢は、やっぱり大きな壁になると思うんだ」
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