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魔法剣士の更に上
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「目標の対象を倒し、解体も終えた……どうする、もう直ぐに帰るのか?」
「ん~~、どうしようか」
普通なら即座に帰り、休息をとる。
だが、風の結界を張っていたことで先日はゆっくりと寝れたので、あまり体は疲れていない。
「俺は正直、あんまり疲れていない。ラストはどうだ?」
「同じだ。マスターが風の結界を張ってくれたお陰で、昨夜はゆっくり寝られた。体に疲れは殆ど残っていない。先程の戦いでは神経を削ったが、大きなダメージを負った訳ではない。このまま探索を続けて、夕方ごろに帰るのもありだと思うが」
ラストもティールと同じく、安心して寝れた恩恵が大きく、まだまだ探索を続けることは可能だった。
「それじゃ、せっかくヤドラスの遺跡に来たんだし、もう少し探索してから帰るか」
「了解」
キラータイガーの討伐を終えた二人は夕方になる前まで探索すると決め、気を引き締めて探索を始める。
ただ、そう簡単にキラータイガーの様なモンスターとは遭遇しない。
「先程のキラータイガーと比べれば、容易いモンスターだな」
「あいつは地の利もあったけど、それ以上に厄介なスキルを持ってたからな」
二人の足元にはセンチピード、ムカデのモンスターが転がっていた。
空間を縦横無尽に動き回る。
しかし体が長いので、二人からすれば的が大きいだけの狩りやすい獲物でしかない。
甲殻は鎧や盾の素材として使える。
中身は食用として食べられるが、虫の肉なんて絶対に食べられないという人は残念ながらその味を堪能することは出来ない。
「センチピードって確か食べられるんだったよな」
「肉は少し固いが、噛み切れない堅さではない。外見はあれだが、それなりに美味い。ハマってしまう者もいたな」
「へぇ~~~、それはそれは……ふふ、後で楽しませてもらうか」
虫の肉ということで一瞬躊躇しそうになったが、ラストの説明を聞いて直ぐに食欲がそそられたティールは嬉しそうな表情で解体していく。
「……この遺跡、遺跡というわりにはあまり罠などはないな」
二人が探索している最中に、罠が発動したのは一回のみ。
矢がそれなりの速さで跳んでくるというものだが、ラストはそれを見極めて素手でキャッチした。
ダンジョンで罠として飛んでくるような矢には毒が塗られている可能性があるので、安易に素手でキャッチしてはならない。
「ここは遺跡だ。ダンジョンの様に罠が再生するってことはないんだろ。いや、高度な文明を持っていた遺跡なら、罠が再生する可能性もあるか? とにかく、俺たちよりも先に入った冒険者たちがうっかり発動させてしまったんだろ。だから俺たちが気にするのはモンスターの存在だけで十分ってことだ。さっき戦ったキラータイガーみたいなモンスターがもういないとは限らないからな」
遺跡には明かりが少ない。
故に、モンスターたちは同じモンスターや探索に来る冒険者に奇襲し慣れている。
現在解体しているセンチピードも気配遮断のスキルを習得しており、なるべく二人に気付かれないように近づいてきた。
「……あぁいった個体はあまり好きではないな。倒せるようにならなければならないのは解るが。というよりも、マスターはやはりあれだな。魔導戦士という言葉が似合うな」
「ま、魔導戦士? それはちょっと仰々しいんじゃないのか」
「いや、仰々しくない。マスターにピッタリな言葉だ。魔法剣士の更に上に位置する魔導戦士……マスターの武器や体術の練度。そして先程の魔法……魔法剣士という枠には収まらない」
魔導戦士という言葉はあまり一般的ではないが、その言葉を知っている人物は皆魔法剣士の上の存在だと認識している。
「マスターは先程のキラータイガーを空中に追い詰めた攻撃が普通だと思うか?」
「……いや、まぁ普通ではないだろうな」
リースから魔法に関してはそれなりの才能を持っている。
特に無詠唱や詠唱の破棄に関しては常人よりも遥かに大きな才能を持つと伝えられたのを覚えている。
「もしかしたら、二つ名が魔導戦士になるかもしれないな」
「二つ名か……ダサくなかったらなんでも良いかな」
「ん~~、どうしようか」
普通なら即座に帰り、休息をとる。
だが、風の結界を張っていたことで先日はゆっくりと寝れたので、あまり体は疲れていない。
「俺は正直、あんまり疲れていない。ラストはどうだ?」
「同じだ。マスターが風の結界を張ってくれたお陰で、昨夜はゆっくり寝られた。体に疲れは殆ど残っていない。先程の戦いでは神経を削ったが、大きなダメージを負った訳ではない。このまま探索を続けて、夕方ごろに帰るのもありだと思うが」
ラストもティールと同じく、安心して寝れた恩恵が大きく、まだまだ探索を続けることは可能だった。
「それじゃ、せっかくヤドラスの遺跡に来たんだし、もう少し探索してから帰るか」
「了解」
キラータイガーの討伐を終えた二人は夕方になる前まで探索すると決め、気を引き締めて探索を始める。
ただ、そう簡単にキラータイガーの様なモンスターとは遭遇しない。
「先程のキラータイガーと比べれば、容易いモンスターだな」
「あいつは地の利もあったけど、それ以上に厄介なスキルを持ってたからな」
二人の足元にはセンチピード、ムカデのモンスターが転がっていた。
空間を縦横無尽に動き回る。
しかし体が長いので、二人からすれば的が大きいだけの狩りやすい獲物でしかない。
甲殻は鎧や盾の素材として使える。
中身は食用として食べられるが、虫の肉なんて絶対に食べられないという人は残念ながらその味を堪能することは出来ない。
「センチピードって確か食べられるんだったよな」
「肉は少し固いが、噛み切れない堅さではない。外見はあれだが、それなりに美味い。ハマってしまう者もいたな」
「へぇ~~~、それはそれは……ふふ、後で楽しませてもらうか」
虫の肉ということで一瞬躊躇しそうになったが、ラストの説明を聞いて直ぐに食欲がそそられたティールは嬉しそうな表情で解体していく。
「……この遺跡、遺跡というわりにはあまり罠などはないな」
二人が探索している最中に、罠が発動したのは一回のみ。
矢がそれなりの速さで跳んでくるというものだが、ラストはそれを見極めて素手でキャッチした。
ダンジョンで罠として飛んでくるような矢には毒が塗られている可能性があるので、安易に素手でキャッチしてはならない。
「ここは遺跡だ。ダンジョンの様に罠が再生するってことはないんだろ。いや、高度な文明を持っていた遺跡なら、罠が再生する可能性もあるか? とにかく、俺たちよりも先に入った冒険者たちがうっかり発動させてしまったんだろ。だから俺たちが気にするのはモンスターの存在だけで十分ってことだ。さっき戦ったキラータイガーみたいなモンスターがもういないとは限らないからな」
遺跡には明かりが少ない。
故に、モンスターたちは同じモンスターや探索に来る冒険者に奇襲し慣れている。
現在解体しているセンチピードも気配遮断のスキルを習得しており、なるべく二人に気付かれないように近づいてきた。
「……あぁいった個体はあまり好きではないな。倒せるようにならなければならないのは解るが。というよりも、マスターはやはりあれだな。魔導戦士という言葉が似合うな」
「ま、魔導戦士? それはちょっと仰々しいんじゃないのか」
「いや、仰々しくない。マスターにピッタリな言葉だ。魔法剣士の更に上に位置する魔導戦士……マスターの武器や体術の練度。そして先程の魔法……魔法剣士という枠には収まらない」
魔導戦士という言葉はあまり一般的ではないが、その言葉を知っている人物は皆魔法剣士の上の存在だと認識している。
「マスターは先程のキラータイガーを空中に追い詰めた攻撃が普通だと思うか?」
「……いや、まぁ普通ではないだろうな」
リースから魔法に関してはそれなりの才能を持っている。
特に無詠唱や詠唱の破棄に関しては常人よりも遥かに大きな才能を持つと伝えられたのを覚えている。
「もしかしたら、二つ名が魔導戦士になるかもしれないな」
「二つ名か……ダサくなかったらなんでも良いかな」
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