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最初に得た武器で

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「ラスト、キラータイガーから距離を取ってくれ」

「了解」

現在二人はキラータイガーを挟み撃ちにしている状態。
無理にこの包囲網を抜けようとすれば、大ダメージを食らうかもしれない。

そうなればいかにキラータイガーに有利な場所であっても、二人に仕留められる可能性が高い。

(捉えにくいのは分かった。ただそれでも……逃げ場が無くなれば追い詰めることは出来るだろ)

「ロックランス!!」

岩の槍。ランス系の中でも物理的な威力が高い攻撃魔法。
しかし、それだけでキラータイガーを仕留めるのは不可能。

そんなことはティールも分かっている。
そこでただロックランスを放つのではなく、現在キラータイガーが立っている位置……だけではなく、縦横左右全てから岩の槍を生やした。

「ッ!!!???」

ギリギリその攻撃に察したキラータイガーは宙に跳び、ロックランスの餌食にならず済んだ。

「やっぱりそうするよな」

だが、それはティールが望んだシチュエーション通り。
基本的に人もモンスターも宙では動けない。

翼を持つモンスターや特殊な技、スキルを持つ物は別だがキラータイガーは空中で移動する術を持っていない。

「そろそろ死ね!!!」

ロックランスを発動すると同時に後方でライトボールを展開し、キラータイガーの姿はばっちり見えている。
疾風瞬閃に風の魔力を纏わせ、貫通力を強化。

そしてティールが最初に手に入れた武器……投擲でキラータイガーを仕留めに掛かる。
投げる瞬間に腕力強化のスキルを使用し、加えて投擲の何かを投げる際に腕力とコントロールを強化する力が加わり……キラータイガーに体を捻って投擲を躱す暇を与えなかった。

「ギッ!? グ、ルゥ……ァ」

風を纏った疾風瞬閃は見事にキラータイガーの脳天を貫通。
そのまま遺跡の壁に突き刺さった。

「ふぅーーー、良かった。上手くいったな」

「お見事。さすがマスターだ……今の投擲、あれはCランクのモンスターだけではなくBランクのモンスターも貫く一撃だった」

「投擲は幼い頃から鍛えてきたからな。コントロール補正もあるし、上手くいく自信があったんだ」

とはいえ、相手は目の前にいても狙いをズラすのが得意なキラータイガー。
もしかしたら失敗するかもしれないという気持ちは少なからずあった。

(あれで失敗したらしょうがないけど、素材を気にせず殺すしかなかったよな……そうなったら遺跡がボロボロになりそうだけど)

仕方ないとはいえ、遺跡をボロボロにして探索がしにくい状況をつくれば、他の冒険者から苦情が飛んでくる。

「さて……早速解体するか」

「なら、俺はモンスターが近寄って来ないか見張ってよう」

体はそれなりに大きいが、数は一体のみ。
大した時間は掛からずに解体は終了。

(血液採集用の瓶を買っといて良かった)

高ランクモンスターの素材は血液すら重要な素材となる。
キラータイガーはそもそも目撃情報が多くない。

そして発見しても隠動のスキル……そして暗い場所では一層姿を見え辛い体色。
これらによって討伐することが困難。
相手がBランクの冒険者であっても、逃げるだけに固執すれば勝負を逃げることは大いに可能。

目玉や臓器、毛皮や爪に牙なども高価な素材だが、血液も中々手に入らない貴重な素材。

「ラスト、これ売ればいくらになると思う?」

「その辺りはあまり詳しくないから分からん。だが、あまり個体数が多いとは思えない。それにこの場所だからというのもあるが、倒しづらい。そして速さ寄りのステータスでなければ、逃げられる可能性が高い。それらを考えれば……全ての素材を売れば、白金貨は下らないんじゃないか?」

「白金貨か……討伐成功の報酬として金貨八十枚を貰えるし、大儲けだな。まっ、全部売りはしないんだけどな」

武器や防具として使える素材は鍛冶師に頼んで何かを造ってもらえるかもしれない。
血に関しても、今回は全て売ろうとは思わない。
そして……肉に関しては単純に美味そうだと思ったので売らない。

ただ、売る素材の量を減らしたとしても、キラータイガーの素材が高値で売れるのは変わらない。
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