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高ランクになる以外の目標
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「ティールはやっぱりこう……なんか目標があるのか?」
「目標、か……いや、特にないな」
「えっ、マジかよ!!?? こう……高ランクを目指して英雄になるとかさ、そういう大きな目標はないのか?」
ティールには特になかった。
村の中で一生を終えるのは嫌だという思いはあり、現状の飯だけは満足できない……将来についての不安、それを超えようとする向上心。
多くの感情や思いがあり、冒険者という道を選んだ。
特に目標はないが、強いて言うならば一つあった。
「そうだなぁ……自由に、好きなように生きたい。それが人生を通した目標だな」
「自由に、好きなように、ね。ある意味冒険者らしい考えね。でも、ティールなら高ランクを目指すって目標とかは現実味があると思うけど」
ノエルは少なくとも冒険者として生き続ける限り、高ランク冒険者を目指そうと思っている。
「……このまま冒険者生活を続けていけば高ランクになるかもしれないけど、あんまりそういうのは考えていないな」
ランクアップの話をギルドから伝えられれば、受ける。
だが、自分からギルドからの点数を稼いで上に上がろうとは思わない。
「実力があるからこその考え、って感じだね」
ティールの余裕に少しラックは嫉妬を覚えた。
ラックたちはまだDランクに達していないこともあり、生活にそこまでの余裕はない。
そんな自分たちと違い、実力と才能を兼ね備えてランクを上であるティールの余裕に嫉妬を覚えるのは仕方ないだろう。
しかしその嫉妬かが憎しみに変わることはなかった。
目の前の少年は自分たちの命の恩人。
そして彼がオーク二体とオークソルジャーの死体をその場にボコしてくれたことで、今日ティールに夕食を奢ってもかなり余裕が生まれた。
「逆に訊くが、オルアットたちは何か明確な目標があるのか?」
「パーティーとしては上を……高ランク冒険者を目指すと決まっています。私個人としては、いつか騎士の称号を得たいと思っていますが」
「騎士、か。スーラは貴族になりたいのか?」
騎士の称号は爵位でもあるので、領地などは国から貰えないが貴族の末席として名を連ねることになる。
「いえ、単純に騎士という称号に憧れてるんです。冒険者でも騎士の称号を持つ者が数名いるので、可能性がゼロではないと思っています」
「……確かにそうだな。目指す価値はあるだろう。オルアット、お前は何か高ランク冒険者になるってこと以外に目標はないのか?」
「えっ、いきなり俺かよ!」
「一番目標を持ってそうな顔をしてるからな」
「どんな顔だよ!!」
鋭いツッコミを入れるオルアットだが、実は高ランク冒険者になる以外にも明確な目標があった。
あるのだが……本人はあまり口にしたく無かった。
「オルアットは私たちと同じ村から冒険者になった人に憧れてるのよ」
「ニーナさんという女性の冒険者です。年齢は私たちより四つ上なのですが、既にCランクまで上がっていて、遠くない内にBランクになるのではと噂されている方です」
「お前らの四つ上ってことは、まだ二十になってないのか……それは凄いな」
まだ肉体的にピークを迎えていない時点でBランクに昇格できる可能性が高い。
それはその冒険者が非常に優秀、有能であることを示している。
「お、お前ら! それは言うなよ!!」
「ん? …………あぁ~~~、なるほどな。そういうことか」
オルアットが大袈裟な反応をしなければ、何故もう一つの目標をバラされたくないのか分らなかった。
だが、少々頬を赤くしながら反応したことで、オルアットがニーナのという女冒険者にどういった気持ちを抱いてるのか解ってしまった。
「憧れの人に惚れてしまったのか」
「僕らの世代……というか、男子は大体憧れを持つ対象なんだよ。異性として、冒険者としても」
「その中で、オルアットはいずれ本気でニーナさんの隣に立ちたいと思ってるんだよ」
フィリックとラックも元はニーナに異性として惚れ、憧れていた部分はあった。
しかし今は単純に冒険者としての憧れしか持っていない。
だが、オルアットだけは本気でニーナの隣に立つのに相応しい男になるため、日々努力を重ねていた。
本日からブックウォーカーで「小説投稿サイトで稼ぐ方法」という電子書籍を発売します。
値段は本日から十日間の間だけ百五十円。
私が毎月どれほど副業で稼いでいるのか、どう考えながら話を書いているのかなどの情報が記載されています。
興味がある方は、是非ご購入してみてください。
「目標、か……いや、特にないな」
「えっ、マジかよ!!?? こう……高ランクを目指して英雄になるとかさ、そういう大きな目標はないのか?」
ティールには特になかった。
村の中で一生を終えるのは嫌だという思いはあり、現状の飯だけは満足できない……将来についての不安、それを超えようとする向上心。
多くの感情や思いがあり、冒険者という道を選んだ。
特に目標はないが、強いて言うならば一つあった。
「そうだなぁ……自由に、好きなように生きたい。それが人生を通した目標だな」
「自由に、好きなように、ね。ある意味冒険者らしい考えね。でも、ティールなら高ランクを目指すって目標とかは現実味があると思うけど」
ノエルは少なくとも冒険者として生き続ける限り、高ランク冒険者を目指そうと思っている。
「……このまま冒険者生活を続けていけば高ランクになるかもしれないけど、あんまりそういうのは考えていないな」
ランクアップの話をギルドから伝えられれば、受ける。
だが、自分からギルドからの点数を稼いで上に上がろうとは思わない。
「実力があるからこその考え、って感じだね」
ティールの余裕に少しラックは嫉妬を覚えた。
ラックたちはまだDランクに達していないこともあり、生活にそこまでの余裕はない。
そんな自分たちと違い、実力と才能を兼ね備えてランクを上であるティールの余裕に嫉妬を覚えるのは仕方ないだろう。
しかしその嫉妬かが憎しみに変わることはなかった。
目の前の少年は自分たちの命の恩人。
そして彼がオーク二体とオークソルジャーの死体をその場にボコしてくれたことで、今日ティールに夕食を奢ってもかなり余裕が生まれた。
「逆に訊くが、オルアットたちは何か明確な目標があるのか?」
「パーティーとしては上を……高ランク冒険者を目指すと決まっています。私個人としては、いつか騎士の称号を得たいと思っていますが」
「騎士、か。スーラは貴族になりたいのか?」
騎士の称号は爵位でもあるので、領地などは国から貰えないが貴族の末席として名を連ねることになる。
「いえ、単純に騎士という称号に憧れてるんです。冒険者でも騎士の称号を持つ者が数名いるので、可能性がゼロではないと思っています」
「……確かにそうだな。目指す価値はあるだろう。オルアット、お前は何か高ランク冒険者になるってこと以外に目標はないのか?」
「えっ、いきなり俺かよ!」
「一番目標を持ってそうな顔をしてるからな」
「どんな顔だよ!!」
鋭いツッコミを入れるオルアットだが、実は高ランク冒険者になる以外にも明確な目標があった。
あるのだが……本人はあまり口にしたく無かった。
「オルアットは私たちと同じ村から冒険者になった人に憧れてるのよ」
「ニーナさんという女性の冒険者です。年齢は私たちより四つ上なのですが、既にCランクまで上がっていて、遠くない内にBランクになるのではと噂されている方です」
「お前らの四つ上ってことは、まだ二十になってないのか……それは凄いな」
まだ肉体的にピークを迎えていない時点でBランクに昇格できる可能性が高い。
それはその冒険者が非常に優秀、有能であることを示している。
「お、お前ら! それは言うなよ!!」
「ん? …………あぁ~~~、なるほどな。そういうことか」
オルアットが大袈裟な反応をしなければ、何故もう一つの目標をバラされたくないのか分らなかった。
だが、少々頬を赤くしながら反応したことで、オルアットがニーナのという女冒険者にどういった気持ちを抱いてるのか解ってしまった。
「憧れの人に惚れてしまったのか」
「僕らの世代……というか、男子は大体憧れを持つ対象なんだよ。異性として、冒険者としても」
「その中で、オルアットはいずれ本気でニーナさんの隣に立ちたいと思ってるんだよ」
フィリックとラックも元はニーナに異性として惚れ、憧れていた部分はあった。
しかし今は単純に冒険者としての憧れしか持っていない。
だが、オルアットだけは本気でニーナの隣に立つのに相応しい男になるため、日々努力を重ねていた。
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