142 / 723
本能的に回避
しおりを挟む
朝から元気良くモンスター狩りを初めて数時間……少々奥に入って探索を行った結果、意外にも早く目的のモンスターに遭遇した。
「グルルルル……」
「頭が二つに腕が四つ……なるほど、噂通りだな」
運良く対面したティールは即座に鑑定を使って調べる。
(名前はツインヘッドベアー。名前の通り頭が二つ、そして腕が四本……実際に対面すると厄介さが伝わってくるな)
頭が二つあることで、通常の熊系モンスターよりも視野が広い。そして片側に腕が二本あるので攻める攻撃に対処しやすい。
(ランクはC。それに爪術、体術と身体強化に腕力強化のスキル……完全に接近戦よりだな)
目の前の相手はそれなりに厄介、それを再認識して戦いに臨む。
「そっちが来ないなら、こっちから行くぞ」
手には普段使っているロングソードではなく、ブラッディ―タイガーの素材から作られたバスターソードが握られている。
(あまり手を緩める必要はなさそうだ)
様子を見るからに、既にティールを警戒している。
警戒しているということは、油断していないのと同義。
「おらっ!!!」
「ッ!!!」
ツインヘッドベアーの反応速度よりもティールの脚力の方が勝り、残った選択肢は防御のみ。
腕四本をクロスさせ、バスターソードの斬撃を待ち構える。
「へぇ~~、そう簡単にあっさりといかないか」
軽い斬り傷は与えられたが、魔力を纏っていたということもあり、大きなダメージにはならなかった。
だが、今の一撃でツインヘッドベアーは少々動揺を受けた。
「皮膚が堅いのか、それとも魔力の硬度が高かったのか……それなら、今度はこっちも刃に魔力を纏うか」
それだけではなく、追加で脚力強化も使用。
先程の動きに眼が慣れたツインヘッドベアーは一瞬ではあるが、ティールの姿を見失ってしまった。
しかし運良く……いや、冒険者側としては運悪く野生の勘が働いてしまい、無意識のうちに体を下げた。
「ちっ、やるじゃねぇか」
首をぶった斬ろうとしたが、寸でのところで躱されてしまった。
だが、斬撃だけでは終わらず、脚力が今日かされた脚で背中から蹴飛ばした。
「グラッ!!??」
無意識に体は下げたが、相手がどこに消えたのかは分からず、まともに蹴りを食らってしまった。
直ぐに起きようとしたが、時既に遅かった。
「あらよっと」
蹴り飛ばした直後には宙に跳び、上から頭を一刺し。
「ッ!!!!! ……」
その一撃で死合は終了。
たった一撃ではあるが、言葉を変えればラストブレイク、クリティカルヒット。
一気に生命力をゼロまで減らした。
体はピクピクと動いたが、直ぐに全く動かなくなり……完全に絶命した確認がとれた。
「さすがに後ろまで眼は届かなかったか……なんか、期待していたよりはあっさりと終わってしまったな」
死ぬかもしれない戦いをしたい訳ではないが、もう少し良い戦いができると思っていたティールからして、今の戦いは少々拍子抜け。
だが、今のティールの身体能力は中々バカにならない。
身体能力は冒険者の中でもトップクラス……と言える程高くはないが、それでも上位は確実に入る。
そして身体強化に加えて脚力強化を使用すれば、並みのモンスターでは眼で追えても中々体は追いつかない。
ツインヘッドベアーはCランクの中でも強い方のモンスターだが、不意を突かれればあっさりやられてしまう。
今までの経験で負けというものがなかった故、警戒していても油断という心の隙間があったのも原因ではあるが、ツインヘッドベアーではティールとバチバチのバトルをするのは難しい。
「さて、さっさと解体し……ちょっと待てよ。一応こいつを討伐したって報告はした方が良いよな」
報告をした方が良いのは確か。
だが、自分が報告しても信じてもらえるかが問題。
という訳で、ティールはここで解体はせずに亜空間の中に死体をいれた。
「……昼過ぎぐらいか。まだ街に戻るには早いな」
戻ったところで、特にすることはない。
というわけで、いつも通りティールは夕方までモンスターを狩り続けた。
そして時間は午後五時を回り、だんだんと日が落ち始めた。
「グルルルル……」
「頭が二つに腕が四つ……なるほど、噂通りだな」
運良く対面したティールは即座に鑑定を使って調べる。
(名前はツインヘッドベアー。名前の通り頭が二つ、そして腕が四本……実際に対面すると厄介さが伝わってくるな)
頭が二つあることで、通常の熊系モンスターよりも視野が広い。そして片側に腕が二本あるので攻める攻撃に対処しやすい。
(ランクはC。それに爪術、体術と身体強化に腕力強化のスキル……完全に接近戦よりだな)
目の前の相手はそれなりに厄介、それを再認識して戦いに臨む。
「そっちが来ないなら、こっちから行くぞ」
手には普段使っているロングソードではなく、ブラッディ―タイガーの素材から作られたバスターソードが握られている。
(あまり手を緩める必要はなさそうだ)
様子を見るからに、既にティールを警戒している。
警戒しているということは、油断していないのと同義。
「おらっ!!!」
「ッ!!!」
ツインヘッドベアーの反応速度よりもティールの脚力の方が勝り、残った選択肢は防御のみ。
腕四本をクロスさせ、バスターソードの斬撃を待ち構える。
「へぇ~~、そう簡単にあっさりといかないか」
軽い斬り傷は与えられたが、魔力を纏っていたということもあり、大きなダメージにはならなかった。
だが、今の一撃でツインヘッドベアーは少々動揺を受けた。
「皮膚が堅いのか、それとも魔力の硬度が高かったのか……それなら、今度はこっちも刃に魔力を纏うか」
それだけではなく、追加で脚力強化も使用。
先程の動きに眼が慣れたツインヘッドベアーは一瞬ではあるが、ティールの姿を見失ってしまった。
しかし運良く……いや、冒険者側としては運悪く野生の勘が働いてしまい、無意識のうちに体を下げた。
「ちっ、やるじゃねぇか」
首をぶった斬ろうとしたが、寸でのところで躱されてしまった。
だが、斬撃だけでは終わらず、脚力が今日かされた脚で背中から蹴飛ばした。
「グラッ!!??」
無意識に体は下げたが、相手がどこに消えたのかは分からず、まともに蹴りを食らってしまった。
直ぐに起きようとしたが、時既に遅かった。
「あらよっと」
蹴り飛ばした直後には宙に跳び、上から頭を一刺し。
「ッ!!!!! ……」
その一撃で死合は終了。
たった一撃ではあるが、言葉を変えればラストブレイク、クリティカルヒット。
一気に生命力をゼロまで減らした。
体はピクピクと動いたが、直ぐに全く動かなくなり……完全に絶命した確認がとれた。
「さすがに後ろまで眼は届かなかったか……なんか、期待していたよりはあっさりと終わってしまったな」
死ぬかもしれない戦いをしたい訳ではないが、もう少し良い戦いができると思っていたティールからして、今の戦いは少々拍子抜け。
だが、今のティールの身体能力は中々バカにならない。
身体能力は冒険者の中でもトップクラス……と言える程高くはないが、それでも上位は確実に入る。
そして身体強化に加えて脚力強化を使用すれば、並みのモンスターでは眼で追えても中々体は追いつかない。
ツインヘッドベアーはCランクの中でも強い方のモンスターだが、不意を突かれればあっさりやられてしまう。
今までの経験で負けというものがなかった故、警戒していても油断という心の隙間があったのも原因ではあるが、ツインヘッドベアーではティールとバチバチのバトルをするのは難しい。
「さて、さっさと解体し……ちょっと待てよ。一応こいつを討伐したって報告はした方が良いよな」
報告をした方が良いのは確か。
だが、自分が報告しても信じてもらえるかが問題。
という訳で、ティールはここで解体はせずに亜空間の中に死体をいれた。
「……昼過ぎぐらいか。まだ街に戻るには早いな」
戻ったところで、特にすることはない。
というわけで、いつも通りティールは夕方までモンスターを狩り続けた。
そして時間は午後五時を回り、だんだんと日が落ち始めた。
55
お気に入りに追加
1,803
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね
章槻雅希
ファンタジー
よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。
『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる