あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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人前では使わない方が良い

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「どれも上等な武器だ。だからってのもあるが……狙われる可能性がある」

「それは……俺みたいな子供がこんな上等な武器を持っていて生意気だから、羨ましいからって理由でですか?」

ブラッディ―タイガーの素材から造られた三つの剣は低ランクの冒険者が持つような武器ではない。
それこそ、実力と金を持っている高ランクの冒険者しか手に入れることが出来ない様な得物。

ティールの様な正真正銘、子供が持っていれば妬む者は多い。

「そういう理由だな。だから、基本的には人前で使わないことを勧める。ソードブレイカーもあんまり携帯しない方が良いかもな」

「解る人に解ってしまいそうですよね……分かりました。人前ではいつも使っている長剣を使用します」

「造っておいてなんだが、その方が良いと思う。ティールが元々持っていた疾風瞬閃とこの店で買った豹雷もあんまり人前で使わない方が良いかもな……せめて、Cランクに上がるまでは我慢しておいた方が良いと俺は思う」

「Cランクですか……俺ぐらいの年齢で、Cランクの冒険者っていますかね」

人前でバスターソード、斬馬刀、ソードブレイカー、疾風瞬閃、豹雷が使えない。
それはティールにとって、それほど枷になるお守りではない。

通常のロングソードだけでも十分に戦える。
剣以外にも魔法、投擲、体術まで使える。

武器に頼らずとも、大抵の敵とは戦えるので切り札を必要な時以外に使えずとも、生活に支障は無い。

だが、折角苦労して倒したモンスターの素材を使って造って貰った武器。
遠慮なしに使いたいという気持ちがあった。

しかし遠慮なしに使っていれば、二人が考えている通り……残念ながら面倒な輩に絡まれてしまう。

「……正直なところ、殆どいねぇだろうな」

「そ、そうでしょね……」

自分の実力が異質だということは理解している。

同じ歳で同等の実力を持つ子供がいるのか?
残念ながらいない。

授かったギフトの差というのもあるが、ティールの場合は他の子供と比べてスタートダッシュが早過ぎた。
同じ村で育ったミレットやレント、マックスなどは現在学校で戦い方やモンスターの知識について学んでいるが、ティールは既にその学習を終えて実戦を続けている。

「ティールが二十歳ぐらいになれば、もしかしたら同等の実力を持った奴が現れるかもな……いや、でも他の奴らが育ってる間にティールも育ち続けるんだから……結局は追いつけないか」

「そうですか? マジで感がり続けてる人なら追いつかれそうな気がしますけど」

「何言ってんだ。お前は休日までモンスターとの戦いに費やすバトルジャンキーだ!!!」

「えっ!? いや、その……別にバトルジャンキーという訳ではないと思うんですけど」

「お前にその自覚がなくとも、連日モンスターを大量に狩ったりしないんだよ、普通はな。それにブラッディ―タイガーなんて大物と戦った後はもっと体を休めるもんだ」

「そうかもしれませんけど……でも、あんまり休み続けたら体が鈍るじゃないですか。実戦での勘とかも鈍りそうですし」

体を動かさない日が続けば体が鈍る。
その考えは間違っていない。

だが、それなりの実戦を行った日は基本的に休みたくなる。
それが普通だ。体を動かすにしても、訓練場を使った自主練程度に抑える。

しかしティールの場合は、ガッツリ野生のモンスターとバトルしているのだ。
それも誰かと一緒に組んでおらず、いつも通りソロで。

(というか、何もしてない時間って本当につまらないんだよな)

一応錬金術は出来る。
だが、プロと呼べる腕ではないと本人は思っている。

最近はギャンブルという大人の遊びを覚えたが、カジノが店を開くのは早くて夕方から。

朝から夕方までの時間はどうしても暇になる。
その暇な時間をどうやって潰すか……ティールの結論は、街の外に出てモンスターを倒すだった。

「はぁーーー、お前ほど前を向いてしっかりと進んでる奴はそうそういないだろうな。面倒なことが増えるかもしれないが、俺はそれなりにランクは上げておいても良いと思うぞ」

「……それはちょっと考えておきます」

現在のランクはどうみても詐欺だと思われる。

ランクを上げた場合に降りかかる厄介事と、ランクを上げずに活動を続けることで降りかかる厄介事……それはやってみないと分からない未来だろう。
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