133 / 729
人前では使わない方が良い
しおりを挟む
「どれも上等な武器だ。だからってのもあるが……狙われる可能性がある」
「それは……俺みたいな子供がこんな上等な武器を持っていて生意気だから、羨ましいからって理由でですか?」
ブラッディ―タイガーの素材から造られた三つの剣は低ランクの冒険者が持つような武器ではない。
それこそ、実力と金を持っている高ランクの冒険者しか手に入れることが出来ない様な得物。
ティールの様な正真正銘、子供が持っていれば妬む者は多い。
「そういう理由だな。だから、基本的には人前で使わないことを勧める。ソードブレイカーもあんまり携帯しない方が良いかもな」
「解る人に解ってしまいそうですよね……分かりました。人前ではいつも使っている長剣を使用します」
「造っておいてなんだが、その方が良いと思う。ティールが元々持っていた疾風瞬閃とこの店で買った豹雷もあんまり人前で使わない方が良いかもな……せめて、Cランクに上がるまでは我慢しておいた方が良いと俺は思う」
「Cランクですか……俺ぐらいの年齢で、Cランクの冒険者っていますかね」
人前でバスターソード、斬馬刀、ソードブレイカー、疾風瞬閃、豹雷が使えない。
それはティールにとって、それほど枷になるお守りではない。
通常のロングソードだけでも十分に戦える。
剣以外にも魔法、投擲、体術まで使える。
武器に頼らずとも、大抵の敵とは戦えるので切り札を必要な時以外に使えずとも、生活に支障は無い。
だが、折角苦労して倒したモンスターの素材を使って造って貰った武器。
遠慮なしに使いたいという気持ちがあった。
しかし遠慮なしに使っていれば、二人が考えている通り……残念ながら面倒な輩に絡まれてしまう。
「……正直なところ、殆どいねぇだろうな」
「そ、そうでしょね……」
自分の実力が異質だということは理解している。
同じ歳で同等の実力を持つ子供がいるのか?
残念ながらいない。
授かったギフトの差というのもあるが、ティールの場合は他の子供と比べてスタートダッシュが早過ぎた。
同じ村で育ったミレットやレント、マックスなどは現在学校で戦い方やモンスターの知識について学んでいるが、ティールは既にその学習を終えて実戦を続けている。
「ティールが二十歳ぐらいになれば、もしかしたら同等の実力を持った奴が現れるかもな……いや、でも他の奴らが育ってる間にティールも育ち続けるんだから……結局は追いつけないか」
「そうですか? マジで感がり続けてる人なら追いつかれそうな気がしますけど」
「何言ってんだ。お前は休日までモンスターとの戦いに費やすバトルジャンキーだ!!!」
「えっ!? いや、その……別にバトルジャンキーという訳ではないと思うんですけど」
「お前にその自覚がなくとも、連日モンスターを大量に狩ったりしないんだよ、普通はな。それにブラッディ―タイガーなんて大物と戦った後はもっと体を休めるもんだ」
「そうかもしれませんけど……でも、あんまり休み続けたら体が鈍るじゃないですか。実戦での勘とかも鈍りそうですし」
体を動かさない日が続けば体が鈍る。
その考えは間違っていない。
だが、それなりの実戦を行った日は基本的に休みたくなる。
それが普通だ。体を動かすにしても、訓練場を使った自主練程度に抑える。
しかしティールの場合は、ガッツリ野生のモンスターとバトルしているのだ。
それも誰かと一緒に組んでおらず、いつも通りソロで。
(というか、何もしてない時間って本当につまらないんだよな)
一応錬金術は出来る。
だが、プロと呼べる腕ではないと本人は思っている。
最近はギャンブルという大人の遊びを覚えたが、カジノが店を開くのは早くて夕方から。
朝から夕方までの時間はどうしても暇になる。
その暇な時間をどうやって潰すか……ティールの結論は、街の外に出てモンスターを倒すだった。
「はぁーーー、お前ほど前を向いてしっかりと進んでる奴はそうそういないだろうな。面倒なことが増えるかもしれないが、俺はそれなりにランクは上げておいても良いと思うぞ」
「……それはちょっと考えておきます」
現在のランクはどうみても詐欺だと思われる。
ランクを上げた場合に降りかかる厄介事と、ランクを上げずに活動を続けることで降りかかる厄介事……それはやってみないと分からない未来だろう。
「それは……俺みたいな子供がこんな上等な武器を持っていて生意気だから、羨ましいからって理由でですか?」
ブラッディ―タイガーの素材から造られた三つの剣は低ランクの冒険者が持つような武器ではない。
それこそ、実力と金を持っている高ランクの冒険者しか手に入れることが出来ない様な得物。
ティールの様な正真正銘、子供が持っていれば妬む者は多い。
「そういう理由だな。だから、基本的には人前で使わないことを勧める。ソードブレイカーもあんまり携帯しない方が良いかもな」
「解る人に解ってしまいそうですよね……分かりました。人前ではいつも使っている長剣を使用します」
「造っておいてなんだが、その方が良いと思う。ティールが元々持っていた疾風瞬閃とこの店で買った豹雷もあんまり人前で使わない方が良いかもな……せめて、Cランクに上がるまでは我慢しておいた方が良いと俺は思う」
「Cランクですか……俺ぐらいの年齢で、Cランクの冒険者っていますかね」
人前でバスターソード、斬馬刀、ソードブレイカー、疾風瞬閃、豹雷が使えない。
それはティールにとって、それほど枷になるお守りではない。
通常のロングソードだけでも十分に戦える。
剣以外にも魔法、投擲、体術まで使える。
武器に頼らずとも、大抵の敵とは戦えるので切り札を必要な時以外に使えずとも、生活に支障は無い。
だが、折角苦労して倒したモンスターの素材を使って造って貰った武器。
遠慮なしに使いたいという気持ちがあった。
しかし遠慮なしに使っていれば、二人が考えている通り……残念ながら面倒な輩に絡まれてしまう。
「……正直なところ、殆どいねぇだろうな」
「そ、そうでしょね……」
自分の実力が異質だということは理解している。
同じ歳で同等の実力を持つ子供がいるのか?
残念ながらいない。
授かったギフトの差というのもあるが、ティールの場合は他の子供と比べてスタートダッシュが早過ぎた。
同じ村で育ったミレットやレント、マックスなどは現在学校で戦い方やモンスターの知識について学んでいるが、ティールは既にその学習を終えて実戦を続けている。
「ティールが二十歳ぐらいになれば、もしかしたら同等の実力を持った奴が現れるかもな……いや、でも他の奴らが育ってる間にティールも育ち続けるんだから……結局は追いつけないか」
「そうですか? マジで感がり続けてる人なら追いつかれそうな気がしますけど」
「何言ってんだ。お前は休日までモンスターとの戦いに費やすバトルジャンキーだ!!!」
「えっ!? いや、その……別にバトルジャンキーという訳ではないと思うんですけど」
「お前にその自覚がなくとも、連日モンスターを大量に狩ったりしないんだよ、普通はな。それにブラッディ―タイガーなんて大物と戦った後はもっと体を休めるもんだ」
「そうかもしれませんけど……でも、あんまり休み続けたら体が鈍るじゃないですか。実戦での勘とかも鈍りそうですし」
体を動かさない日が続けば体が鈍る。
その考えは間違っていない。
だが、それなりの実戦を行った日は基本的に休みたくなる。
それが普通だ。体を動かすにしても、訓練場を使った自主練程度に抑える。
しかしティールの場合は、ガッツリ野生のモンスターとバトルしているのだ。
それも誰かと一緒に組んでおらず、いつも通りソロで。
(というか、何もしてない時間って本当につまらないんだよな)
一応錬金術は出来る。
だが、プロと呼べる腕ではないと本人は思っている。
最近はギャンブルという大人の遊びを覚えたが、カジノが店を開くのは早くて夕方から。
朝から夕方までの時間はどうしても暇になる。
その暇な時間をどうやって潰すか……ティールの結論は、街の外に出てモンスターを倒すだった。
「はぁーーー、お前ほど前を向いてしっかりと進んでる奴はそうそういないだろうな。面倒なことが増えるかもしれないが、俺はそれなりにランクは上げておいても良いと思うぞ」
「……それはちょっと考えておきます」
現在のランクはどうみても詐欺だと思われる。
ランクを上げた場合に降りかかる厄介事と、ランクを上げずに活動を続けることで降りかかる厄介事……それはやってみないと分からない未来だろう。
56
お気に入りに追加
1,803
あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

スローライフとは何なのか? のんびり建国記
久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。
ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。
だけどまあ、そんな事は夢の夢。
現実は、そんな考えを許してくれなかった。
三日と置かず、騒動は降ってくる。
基本は、いちゃこらファンタジーの予定。
そんな感じで、進みます。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない
兎屋亀吉
ファンタジー
底辺冒険者クロードは転生者である。しかしチートはなにひとつ持たない。だが救いがないわけじゃなかった。その世界にはスキルと呼ばれる力を後天的に手に入れる手段があったのだ。迷宮の宝箱から出るスキルオーブ。それがあればスキル無双できると知ったクロードはチートスキルを手に入れるために、今日も薬草を摘むのであった。

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる