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やはり冒険してみる

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「すみません、チップに好感して貰っても良いですか」

「ッ!!! ……か、かしこまりました」

お金とチップを交換する場所に立っているバニーガールはティールの年齢。
そして手に持っている金額に驚きながらも、通常通りの態度で交換を行った。

(ず、随分幼い子供ね。でも、ギリギリ冒険者になれる年齢かしら? 服装からはあまり貴族の子息には思えないし……)

偶にボンボングループがやって来ることはある。
だが、ティールの様な年齢の低さの子供が一人で来ることは初めて。

しかしきっちりお金を持っているので、無下に接する訳にはいかない。

「えっと……各ゲームの説明は必要ですか?」

「いえ、知り合いからある程度教えて貰ったので大丈夫です」

「そ、そうですか」

どんな知り合いなのか気になってしまう。

(やはり服装はこんなのだけど、貴族の身内だから色々と知っているのかしら?)

チップとケースを受け取り、ティールは欲望が渦巻く戦場へと乗り込む。

(……なんか、あれだな。色々と温度差がある場所だな)

勝敗の結果によって、感情が直ぐに表情に現れてしまう者。
たとえ勝っても負けても表情を変えず、淡々とゲームを進めていく者。

所々で温度差を感じられる。

「えっと……とりあえずルーレットで遊んでみるか」

カジノの中にあるルーレットの台はヨーロピアンルーレットタイプ。
一から三十六の数字とゼロの計三十七マスがある。

テーブルはいくつもあるので、空いてるテーブルにサラッと入る。

「おっ、随分と若いガキが来たな……坊主、カジノは初めてか?」

「はい、初めてですよ」

しかしチップを置く所作は慣れた手付きだった。
迷うことなくwストリート5ベット法を使い、勝負開始の準備を済ませた。

「……初めて、じゃなかったのか?」

「初めてですよ。でも、知り合いに色々と教わったんですよ。結構遊んでた人だったらしいんで、たくさん教えてくれましたよ」

ジンからは冒険者としての技術などよりも、こういった遊びを教わった時間の方が長かった。

(それって良いのか? 普通はギャンブル中毒ってのに真っすぐ進んでしまう気がするけど……でも、ジンさんはあんまり痛い目にあったことが無かったって言ってたな)

それは冒険者として一応先輩だからという意地から出た言葉ではなく、事実としてジンはギャンブルで大きく負けたことがなかった。

「……よし、勝ち」

玉が落ちたのは黒の四。
ティールは初めのギャンブルで見事勝利し、チップを増やした。

「次はどこびするか……」

wストリート5ベット法は結果的にゼロと他六マスを空けることになる。

確率的には三十七分の三十。大体六分の五の額率で当たる。

(この方法で稼ぐなら、まずは六回は勝たないとな)

毎回空ける位置を変える。

ディーラーは特に玉を弄ってないので、狙った場所に置いたりはしない。
落ちる場所は本当に運で決まる。

なるべく安全な勝ち方で回数を重ねた結果、四連勝。
見事ビギナーズラックを体験していた。

「ほぅ~~~……調子良いじゃないか、坊主」

「あんまり調子に乗ってたら一気に搾り取られるって知り合いから言われてるので、あまり調子には乗れませんけどね」

「はっはっは!!! どうやらある程度上手い遊び人が知り合いみたいだな」

「そうかもしれませんね……まぁ、俺は冒険しますけど」

そういったwストリート5ベットを更に細かくして賭けた。
賭け金は先程までに約四倍まで膨れ上がった。

「なるほどなぁ~~。確かに冒険だが、悪くないんじゃないか?」

「これなら一応負ける確率が下がるんで……まっ、負けたら結構大損ですけど」

ただ、Wストリート5ベット法で負けたとしても、どちらにしろ合計で負けたことになる。
それなら勝率が上がる方法で勝負しようと思った結果、ベット金額を増やして勝負に出た。

冒険をした結果……玉が落ちた場所は黒の八。

見事賭けに勝利した。

「よし!!!!」

狙った通りの勝利を得て、思わずガッツポーズを取ってしまう。

五回のゲームである程度の金額を手にしたティールはジンに教わった方法を一通り試し、負けることもあったが最終的には勝ち越した。

(ルーレットはこれぐらいで良いか……よし、違うゲームに移ろう)
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