あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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やはり組むべきではない

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「ランクが上がればそれ相応の権利を得られるが……それは必要無い、ということで良いのだな」

「はい、自分みたいな子供がいきなりランクアップしたら、やっぱり他の冒険者から反感を買うかもしれないんで」

「……そうだな。申し訳ないが、その可能性は否定出来ない」

Eランクまでのランクアップであれば、他の同業者達から反感を買うことは殆ど無い。
ランクアップのスピードが速ければ同じルーキーから嫉妬されるかもしれないが、それ以外の冒険者から悪感情を持たれることはない。

だが、一気にDランク……Cランクまでランクアップすれば、中堅どころの冒険者から睨まれる。

(実力に関してはブラッディ―タイガーをソロで倒したのだからBランク……いや、Aランクに片足を突っ込んでいるか?)

武器の性能が良かった。
確かにそうかもしれないが、それだけで倒せるほど甘い相手ではない。

なので戦力だけを考えればBランクは確実なのだ。

だが、まだ経験が圧倒的に足りない。
そういった理由でBランクまで上げる事は難しい……だが、Cランクまでならザルキスの権限で無理矢理上げることが出来る。

(ただ……この見た目でブラッディ―タイガーをソロで倒せる実力があるというのも……詐欺といえば詐欺なんだがなぁ……しかもランクはE。他の冒険者が聞けば絶対に詐欺だと叫ぶ。俺だって同じこと思う)

そう、ティールの強さは明らかに見た目とランク詐欺なのだ。
だが……現状、だからなんなのだという話になる。

確かにクエストボードに貼られている依頼書を受けるには、それ相応のランクに辿り着いていなければ、受けることが出来ない。

ただ、ティールの実力を知っている人物ならば、指名依頼を行えば本人の意志次第で受けて貰える。
その辺りは完全にティール意志次第になるが……ギルドとしてはティールにこの依頼を受けて欲しい、そういう依頼がティールのランクによってはルールとして受けられない場合がある。

それはティールにとって損は無いが、ギルドにとっては実力がある冒険者に受けて貰えない、辛い状況となる。

「分かった……今回のランクアップは見送りという形にさせてもらおう。さて、ここからは単純な質問なんだが……ティール君はパーティーを組む気はないのかい?」

「そ、そうですね……今のところ、他の冒険者とパーティーを組むつもりはないです」

ティールの答えにザルキスは仕方ないと思えた。
実力が明らかにルーキー離れしているので、同じルーキーとは一時的であれば問題無いが、永続的に組むのは難しい。

それならベテランの実力者達と組むのはどうなのか?

冒険時の安全面を比べれば、奇襲を食らう確率などが下がり、悪くはない。
だが、ベテラン達と組めば……例え依頼で活躍したとしても、周りの冒険者達がティールの実力ではなく、仲間のお陰……所詮は金魚のフンだと陰口を叩く者が現れる。

(ふむ……どの道、他の冒険者達とパーティーを組むのは難しそうだな。ギルドマスターとしては優秀な冒険者には依頼で殉職することなく、生きて帰ってきて欲しい。それを考えるとパーティーを組んでほしいが……ティール君の私生活に影響を及ぼすことになるかもしれないと考えると……無理には勧められないな)

そもそも強制できる内容ではないので、その件の話はそこで終わらせた。

「そうか、それならば仕方ない。パーティーを組む組まないは個人の自由だ。偶に他の冒険者達と一緒に活動してはいるのだろう?」

「はい、同じルーキーと一緒に活動したりは多少……今回の一件も同じルーキー達と一緒に行動している時に起こったので」

「うむ……それは良いことを聞いた。ソロで活動するのは悪くはないが、いざという時の為に他の冒険者と一緒に動けるのは大事だからな」

冒険者も人なので、誰とも拘わらずに生きているのではなく、多くの人と関わって生きている。
冒険者として活動を続ければ、同業者と一緒に一時的に活動するという内容は基本的に避けられない。

「よし、堅苦しい話は終わりだ。そうだなぁ……少し経てばこの街から出て行くのだろう。それなら、お勧めの街の話など興味はあるか」

「はい、是非聞かせてください!!!」

この街から放荒れるのは決めていたが、どの街に行くのかはまだ決めていなかったので、ティールとしては有難い話だった。
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