103 / 693
テイムという方法
しおりを挟む
「なんで、そう思ったんだ?」
「なんというか……一人で活動することに拘っている気がしてさ。もしかしてあまり人には知られたくないギフトを持ってるんじゃないかって思ってさ」
その言葉はかなり的確な内容だった。
知性に関しては他人にバレても大した問題にはならない。
だが、奪取≪スナッチ≫に関してはああまり他人には知られたくないと思っている。
(なるべく一人活動したい……そういう考えがまさか知人にそういった形に思われてたとはなぁ……ちょっと注意不足だったか)
ただ、奪取≪スナッチ≫お陰で手に入れることが出来たスキルは多い。
拘束や毒液、爪撃に嗅覚感知と棍棒術。そして切り札の一つである酸も同じだ。
人前では中々使えないスキルが多い。
そういったスキルを有している……それだけで色々と不信感を持たれる。
それと……鑑定を他人に使われた時、ティールのスキルの多さに他人は当然驚く。
スキルの練度に関して驚くのも当たり前だが、何よりも数が多過ぎる。
ティールの努力によって習得したスキルもあるが、それよりも奪取≪スナッチ≫で得たスキル方が多いのは事実。
「……さぁ、どうだろうな。そこら辺はエリックの想像に任せるよ」
あまりに他人に知られたくないスキルがある。
そう伝えているのと同じ言葉かもしれないが、一応はぐらかしておく。
エリックは小さく笑いながらも、それ以上は追及しないと決めた。
「そうか……そういう事にしておくよ」
「とりあえず、この先直ぐに誰かとパーティーを組むことはないな。臨時で誰かと組むことはあるかもしれないけどな」
「それが君のスタイルに合っているのかもしれないね……でも、やはり一人では危険な場面が多いと思うんだよ。だから、適性があるなら戦闘職兼テイマーとして活動するのはありなんじゃないかな」
「テイマーってことは、モンスターを仲間にして従魔にするって事か」
その考えはありだなと思えた。
従魔なら自分の秘密を他人にバラす心配がない。
(ただ、仲間にするならそれ相応に強い奴が好ましいな……そうなると簡単に見つけるのは難しそうだな)
そして従魔にするならばなるべく無理矢理力で仲間にはしたくない。
ティールはそう考えているので、強いモンスターと遭遇しても仲間に出来るかどうかは分からない。
「一人の状況をどうにかするって考えとしてはありだな。でも、そう簡単にモンスターをテイムして従魔に出来るとは思えないしな」
「それはそうかもしれないね。けど、モンスターの中には例え人間であっても強い人に付いて行きたい強く思っている個体がいるかもしれない。それなら戦った後に服従のポーズを取るかもしれないよ」
「……可能性としてはあるかもしれないな。従魔、か……頭に入れておく」
街の外で野営する際には酸で生み出したモンスターを配置していれば問題無い。
酸のモンスターで対処出来なければ、ティールが起きる前に従魔が始末する。
(流れとしては完璧だよな。やっぱりモンスターとはいえ睡眠は必要だろうし、そうなってくるとやっぱり酸で生み出したモンスターが自動で動いてくれるのは有難いよな)
仲間が増える。やはりそれだけで冒険の幅が広がる。
それはティールも自覚しているのでモンスターをテイムするという考えは頭に置き続けようと思っている。
「そうしてくれると嬉しいよ。やっぱり友達が一人冒険し続けると思うと心配だからね。ティールより弱い僕が君を心配するのはおかしいかもしれないけどさ」
「……いや、その気持ちは素直に嬉しいよ。ありがとな、心配してくれて」
確かにティールは強い……だが、友人から心配されるのは悪い気分ではない。
寧ろ自分のこれからを心配してくれる人がいることに感謝する覚える。
「そういえばエリック、いつになったらリーシアに自分の気持ちを伝えるんだ?」
「ッ! と、唐突だね」
「かもしれないな。でも、友人としては気になるんだよ。お前ら二人がどうなるかをな」
ティールの言葉を聞いて既に自分の気持ちがバレているのを察し、エリックは少々頬を赤くする。
ただ、まだ今すぐどうこうしようという考えはエリックの中に無かった。
「なんというか……一人で活動することに拘っている気がしてさ。もしかしてあまり人には知られたくないギフトを持ってるんじゃないかって思ってさ」
その言葉はかなり的確な内容だった。
知性に関しては他人にバレても大した問題にはならない。
だが、奪取≪スナッチ≫に関してはああまり他人には知られたくないと思っている。
(なるべく一人活動したい……そういう考えがまさか知人にそういった形に思われてたとはなぁ……ちょっと注意不足だったか)
ただ、奪取≪スナッチ≫お陰で手に入れることが出来たスキルは多い。
拘束や毒液、爪撃に嗅覚感知と棍棒術。そして切り札の一つである酸も同じだ。
人前では中々使えないスキルが多い。
そういったスキルを有している……それだけで色々と不信感を持たれる。
それと……鑑定を他人に使われた時、ティールのスキルの多さに他人は当然驚く。
スキルの練度に関して驚くのも当たり前だが、何よりも数が多過ぎる。
ティールの努力によって習得したスキルもあるが、それよりも奪取≪スナッチ≫で得たスキル方が多いのは事実。
「……さぁ、どうだろうな。そこら辺はエリックの想像に任せるよ」
あまりに他人に知られたくないスキルがある。
そう伝えているのと同じ言葉かもしれないが、一応はぐらかしておく。
エリックは小さく笑いながらも、それ以上は追及しないと決めた。
「そうか……そういう事にしておくよ」
「とりあえず、この先直ぐに誰かとパーティーを組むことはないな。臨時で誰かと組むことはあるかもしれないけどな」
「それが君のスタイルに合っているのかもしれないね……でも、やはり一人では危険な場面が多いと思うんだよ。だから、適性があるなら戦闘職兼テイマーとして活動するのはありなんじゃないかな」
「テイマーってことは、モンスターを仲間にして従魔にするって事か」
その考えはありだなと思えた。
従魔なら自分の秘密を他人にバラす心配がない。
(ただ、仲間にするならそれ相応に強い奴が好ましいな……そうなると簡単に見つけるのは難しそうだな)
そして従魔にするならばなるべく無理矢理力で仲間にはしたくない。
ティールはそう考えているので、強いモンスターと遭遇しても仲間に出来るかどうかは分からない。
「一人の状況をどうにかするって考えとしてはありだな。でも、そう簡単にモンスターをテイムして従魔に出来るとは思えないしな」
「それはそうかもしれないね。けど、モンスターの中には例え人間であっても強い人に付いて行きたい強く思っている個体がいるかもしれない。それなら戦った後に服従のポーズを取るかもしれないよ」
「……可能性としてはあるかもしれないな。従魔、か……頭に入れておく」
街の外で野営する際には酸で生み出したモンスターを配置していれば問題無い。
酸のモンスターで対処出来なければ、ティールが起きる前に従魔が始末する。
(流れとしては完璧だよな。やっぱりモンスターとはいえ睡眠は必要だろうし、そうなってくるとやっぱり酸で生み出したモンスターが自動で動いてくれるのは有難いよな)
仲間が増える。やはりそれだけで冒険の幅が広がる。
それはティールも自覚しているのでモンスターをテイムするという考えは頭に置き続けようと思っている。
「そうしてくれると嬉しいよ。やっぱり友達が一人冒険し続けると思うと心配だからね。ティールより弱い僕が君を心配するのはおかしいかもしれないけどさ」
「……いや、その気持ちは素直に嬉しいよ。ありがとな、心配してくれて」
確かにティールは強い……だが、友人から心配されるのは悪い気分ではない。
寧ろ自分のこれからを心配してくれる人がいることに感謝する覚える。
「そういえばエリック、いつになったらリーシアに自分の気持ちを伝えるんだ?」
「ッ! と、唐突だね」
「かもしれないな。でも、友人としては気になるんだよ。お前ら二人がどうなるかをな」
ティールの言葉を聞いて既に自分の気持ちがバレているのを察し、エリックは少々頬を赤くする。
ただ、まだ今すぐどうこうしようという考えはエリックの中に無かった。
30
お気に入りに追加
1,798
あなたにおすすめの小説
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
王女殿下は家出を計画中
ゆうゆう
ファンタジー
出来損ないと言われる第3王女様は家出して、自由を謳歌するために奮闘する
家出の計画を進めようとするうちに、過去に起きた様々な事の真実があきらかになったり、距離を置いていた家族との繋がりを再確認したりするうちに、自分の気持ちの変化にも気付いていく…
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる