98 / 726
協力が必要
しおりを挟む
「……なんか良い方法ないか?」
「良い方法は俺よりも人生経験が豊富なガレッジさんが考えるものじゃないんですか」
「普通はそうなんだろうけど、ティールは少し普通じゃねぇだろ。それに、お前の方がこういった事に関して良いアイデアを思い付きそうだしな」
ガレッジは自分なりになんとかバーバスの暴走癖を治せないかと考えるが、良いアイデアが浮かばない。
考えるぐらいは良いかと思い、ティールはあの馬鹿がどうすればまともになるかを頭を巡らせる。
(……そういえばジンさんは真の男になれば見えてくる景色が変わるって言ってたな)
それがどういう意味なのかティールはしっかり解っている。
(でも、安い店だとハズレを引くって言ってたし……バーバスの持ち金じゃ良い店に行くのは無理か。そもそも貯金とかしてなさそうだしな)
まさにその通り。バーバスはパーティーの貯金には手を出していないが、貯金は出来ない性分。
だいたい辺りが引ける店で一晩楽しむ金は持っていない。
「悩ましい顔になってるが、なにかいけそうなアイデアでも思い付いたか?」
「村のお兄さんが言ってたんですよ。真の男になれば見えてくる景色が変わる。そうなれば、バーバスの暴れ癖が治まるんじゃないかって思いました」
「ぶっ、はっはっは! なるほどな……そのお兄さんの言葉は正しいぜ。真の男になれば見える景色が変わる、それは事実だ」
「そうなんですね。俺はまだひよこなんであんまり分からないですけど」
ティールも魅力ある女性には惹かれるが、今はまだそういう店に行こうという気持ちはなかった。
「それは一つの手かもな。だが……あいつちゃんと貯金してると思うか?」
「全く思いませんね。あんな暴走野郎が裏では真面目に貯金してるとか……絶対にないかと」
もしかしたらという可能性がゼロとは言えない。
だが、ティールもガレッジも絶対に貯金していないだろうと、考えは同じだった。
「はぁーーー、そういった店に連れて行くのが一番手っ取り早いかもな」
「そうですね。ガレッジさんのお財布から銀貨か金貨が飛びますね」
「流石に金貨を使う様な店には連れてかねぇよ……一応第一候補にするが、他になんかあるか? こう……バーバスの心を揺さぶるような作戦」
「まだ十二歳なんですからそうポンポン思いつきませんよ………あっ」
もう思い浮かばない。そもそも思い付いたアイデアはジンから教えてもらった内容。
人生経験の浅い自分では良いアイデアは出てこない、そう思っていた直後にもしかしたらいけるかもしれない、なんて期待出来るアイデアが浮かんでしまった。
(でも……これはそもそも俺に出来ることはない。というか、協力を得られなければ無理だ)
上手くいけば期待出来る結果になある。
そう思えるアイデアなのだが、とある人物の協力が不可避だ。
「またなんか良いアイデアが浮かんだのか?」
「良いアイデア、だとは思います。でも……俺もガレッジさんも出来る事が限られています。というか、俺達が出来ることは殆どありません」
「……それは誰かの協力を得るってことか」
「はい。意識している人物からの言葉ならバーバスの暴走している気持ちも落ち着くと思うんですよ」
「意識している人物からの言葉、か。確かに落ち着かせるには効果的な方法かもな。でも意識している相手って……」
意外とガレッジは鈍く、直ぐにはティールの考えに気が付かなかった。
そして少々渋るようにヒントを出す。
「意識している相手は同性でなくても良いんですよ」
「異性ってことか……あぁ、なるほどな。確かに良いアイデアだ! ただ、お前の言う通り俺達に出来ることは少ないな」
「そうなんですよ……結局ガレッジさんのお財布が冷たくなりますね」
「えっ!? そ、そんなに払わないと受けてくれないのか!!」
「冗談ですよ。でも、あいつはバーバスのことを嫌っていなくても好いてはいないと思います。それに相方もいると思うんで……まっ、それなりに積まないと駄目だと思いますよ」
「うぐっ…………それで後輩が危ない橋を渡らないなら安いもんか」
はたしてどれ程のチップが必要になるのか。
少なくとも真の男になる為に必要な費用よりは安いと思われるが、まず協力者がイエスと答えてくれるかが解らない。
(俺があの馬鹿の為に出来るのはここまでだ。この作戦が上手くいけば、バーバスも死に急ぐことはないだろ)
この作戦が無理なら、もう手の施しようがない。
二人共そう思える程に期待出来るアイデアだった。
「良い方法は俺よりも人生経験が豊富なガレッジさんが考えるものじゃないんですか」
「普通はそうなんだろうけど、ティールは少し普通じゃねぇだろ。それに、お前の方がこういった事に関して良いアイデアを思い付きそうだしな」
ガレッジは自分なりになんとかバーバスの暴走癖を治せないかと考えるが、良いアイデアが浮かばない。
考えるぐらいは良いかと思い、ティールはあの馬鹿がどうすればまともになるかを頭を巡らせる。
(……そういえばジンさんは真の男になれば見えてくる景色が変わるって言ってたな)
それがどういう意味なのかティールはしっかり解っている。
(でも、安い店だとハズレを引くって言ってたし……バーバスの持ち金じゃ良い店に行くのは無理か。そもそも貯金とかしてなさそうだしな)
まさにその通り。バーバスはパーティーの貯金には手を出していないが、貯金は出来ない性分。
だいたい辺りが引ける店で一晩楽しむ金は持っていない。
「悩ましい顔になってるが、なにかいけそうなアイデアでも思い付いたか?」
「村のお兄さんが言ってたんですよ。真の男になれば見えてくる景色が変わる。そうなれば、バーバスの暴れ癖が治まるんじゃないかって思いました」
「ぶっ、はっはっは! なるほどな……そのお兄さんの言葉は正しいぜ。真の男になれば見える景色が変わる、それは事実だ」
「そうなんですね。俺はまだひよこなんであんまり分からないですけど」
ティールも魅力ある女性には惹かれるが、今はまだそういう店に行こうという気持ちはなかった。
「それは一つの手かもな。だが……あいつちゃんと貯金してると思うか?」
「全く思いませんね。あんな暴走野郎が裏では真面目に貯金してるとか……絶対にないかと」
もしかしたらという可能性がゼロとは言えない。
だが、ティールもガレッジも絶対に貯金していないだろうと、考えは同じだった。
「はぁーーー、そういった店に連れて行くのが一番手っ取り早いかもな」
「そうですね。ガレッジさんのお財布から銀貨か金貨が飛びますね」
「流石に金貨を使う様な店には連れてかねぇよ……一応第一候補にするが、他になんかあるか? こう……バーバスの心を揺さぶるような作戦」
「まだ十二歳なんですからそうポンポン思いつきませんよ………あっ」
もう思い浮かばない。そもそも思い付いたアイデアはジンから教えてもらった内容。
人生経験の浅い自分では良いアイデアは出てこない、そう思っていた直後にもしかしたらいけるかもしれない、なんて期待出来るアイデアが浮かんでしまった。
(でも……これはそもそも俺に出来ることはない。というか、協力を得られなければ無理だ)
上手くいけば期待出来る結果になある。
そう思えるアイデアなのだが、とある人物の協力が不可避だ。
「またなんか良いアイデアが浮かんだのか?」
「良いアイデア、だとは思います。でも……俺もガレッジさんも出来る事が限られています。というか、俺達が出来ることは殆どありません」
「……それは誰かの協力を得るってことか」
「はい。意識している人物からの言葉ならバーバスの暴走している気持ちも落ち着くと思うんですよ」
「意識している人物からの言葉、か。確かに落ち着かせるには効果的な方法かもな。でも意識している相手って……」
意外とガレッジは鈍く、直ぐにはティールの考えに気が付かなかった。
そして少々渋るようにヒントを出す。
「意識している相手は同性でなくても良いんですよ」
「異性ってことか……あぁ、なるほどな。確かに良いアイデアだ! ただ、お前の言う通り俺達に出来ることは少ないな」
「そうなんですよ……結局ガレッジさんのお財布が冷たくなりますね」
「えっ!? そ、そんなに払わないと受けてくれないのか!!」
「冗談ですよ。でも、あいつはバーバスのことを嫌っていなくても好いてはいないと思います。それに相方もいると思うんで……まっ、それなりに積まないと駄目だと思いますよ」
「うぐっ…………それで後輩が危ない橋を渡らないなら安いもんか」
はたしてどれ程のチップが必要になるのか。
少なくとも真の男になる為に必要な費用よりは安いと思われるが、まず協力者がイエスと答えてくれるかが解らない。
(俺があの馬鹿の為に出来るのはここまでだ。この作戦が上手くいけば、バーバスも死に急ぐことはないだろ)
この作戦が無理なら、もう手の施しようがない。
二人共そう思える程に期待出来るアイデアだった。
58
お気に入りに追加
1,802
あなたにおすすめの小説

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)
たぬころまんじゅう
ファンタジー
小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。
しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。
士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。
領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。
異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル!
☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!
小川悟
ファンタジー
いじめやパワハラなどの理不尽な人生から、現実逃避するように寝る間を惜しんでゲーム三昧に明け暮れた33歳の男がある日死んでしまう。
しかし異世界転生の候補に選ばれたが、チートはくれないと転生の案内女性に言われる。
チートの代わりに異世界転生の為の研修施設で3ヶ月の研修が受けられるという。
研修施設はスキルの取得が比較的簡単に取得できると言われるが、3ヶ月という短期間で何が出来るのか……。
ボーナススキルで鑑定とアイテムボックスを貰い、適性の設定を始めると時間がないと、研修施設に放り込まれてしまう。
新たな人生を生き残るため、3ヶ月必死に研修施設で訓練に明け暮れる。
しかし3ヶ月を過ぎても、1年が過ぎても、10年過ぎても転生されない。
もしかしてゲームやりすぎで死んだ為の無間地獄かもと不安になりながらも、必死に訓練に励んでいた。
実は案内女性の手違いで、転生手続きがされていないとは思いもしなかった。
結局、研修が15年過ぎた頃、不意に転生の案内が来る。
すでにエンシェントドラゴンを倒すほどのチート野郎になっていた男は、異世界を普通に楽しむことに全力を尽くす。
主人公は優柔不断で出て来るキャラは問題児が多いです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる