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予想外の数

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(来たか。先輩たちが結構潰してくれてるからか、思っていたよりも多くないな)

ルーキー達の元にやって来たゴブリンの数はティールが予想していたよりも多くなかった。
だが、やって来たゴブリン達は自分達を襲ってきた冒険者達よりもティール達が弱いと直感的に感じ、慌てた表情からニヤニヤとした表情に変わる。

「お前ら、どうやら敵は俺達の事を嘗めてるらしいぞ」

「それは少しプライドが傷付くねぇ……一匹も逃さずに倒そう」

「後衛との連携を忘れずに戦うぞ」

その言葉を皮切りにルーキー達と敗走兵であるゴブリン達との戦いが勃発する。
だが、それは全て一方的な戦いとなった。

敵の主戦力をガレッジたちが討伐しており、後ろにやって来るのは通常種のゴブリンしかやって来ない。
偶に上位種のゴブリンがやって来るが、それはティールからエリックが瞬殺してしまう。

(……やっぱりエリックは頭一つ抜けてるよな。ゴブリンなんて相手にならなくて当然か)

ゴブリンジェネラルやホブゴブリンなら話は少々変わってくるが、それ以外のゴブリンなら手こずる様な相手ではない。
バーバスもそれなりに動き、討伐しているが数はエリックに及ばない。

その差は速さ……以外にもどれだけ一撃で殺せているか。

(というか、もしかして拠点地にいたゴブリンの数は結構多かったのか? 意外とこっちに漏れてくるな)

最初は数が少ないと感じていた。
数的有利がティール達側なのも変わらない。

だが、それでも継続的に通常種のゴブリンが、稀に上位種のゴブリンが流れて来る。

(もしかして俺達後輩に実戦での経験を増やそうとしてるのか? それとも……単純に予想していた数よりも多かったか……後者の方が可能性が高そうだな)

ティールは時々主戦場を覗き込んでいるが、まだ戦いは続いている。
じっくりと相手の体力と魔力を削るのも戦法の一つだ。

だが、必然的に自分達の体力や魔力も徐々に少なくなっていく。
一回じっくりと見てみよう。そう思ったライアは大きく跳躍して木の枝に乗る。
そして速攻で前方の状況を確認した。

「なるほどね」

「なにが、なるほどなんだい」

地面に降りてきたティールにまだまだ余裕な表情をみせるエリックが声を掛ける。

「ガレッジさん達が戦っている様子をチラッと除いたが、ゴブリンジェネラルが三体いた」

「三体っ!?」

まさかの答えにエリックも驚かずにはいられなかった。

「そうか……ならこの止まらないゴブリン達の数にも納得だよ」

「そういう訳だ。これからまだまだ来るかもしれない……もしかしたら前衛の奴らでスタミナが切れる奴らが現れるかもしれない。注意しておいてくれるか?」

「勿論だ、任せてくれ。その代わり後衛たちの後ろは頼んでも良いよね」

「当たり前だ」

自分達が逃げている方角で同族が何かと戦っている。
それを察せられるゴブリンもいるだろう。

ならば、後衛の後ろに回り込んで奇襲を仕掛けようと考える個体も現れる。
ティールは前衛に意識を向けながら一番後ろから現れるゴブリン達にも意識を割く。

「やっぱり現れたか」

ティールの予感は的中し、弓使いや魔法使いの警戒をすり抜けて後ろから奇襲をしようと考えているゴブリンがいた。
だが、それはティールが全て投擲で阻止し、後衛のメンバーは全員前方への攻撃に集中することが出来た。

しかしそれと同時に、自分達の無力さを更に痛感することになった。
後衛職にも接近戦が多少は出来る者もいるが、後ろから襲ってくるゴブリンを直ぐに始末してまた前方に向かって攻撃を行えるのか……自分達にはそこまでテキパキと切り替えられないと自覚させられる。

そもそも前方に集中し過ぎてティールが殺さなければゴブリンの接近に気付かなかったケースもある。
後衛組は本当に今回の討伐にティールが参加してくれて心から良かったと思っている。

(流石ティールね。前衛に参加しながらも後衛に気を配って……時折全く関係無い方向に石ころを投げているけど、もしかして違う方向に逃げてるゴブリンを狙撃してるのかしら? ……ティールって目は二つで手はちゃんと二つよね)

ルーキー離れしているのは当然で、ベテランでも戦況の管理を出来る者は少ない。
だが、ティールはそれを完璧に行っていた。

普通は自分達の手が届かないところまで攻撃を広げ、おそらく仕留めているのだろうとリーシアは確信していた。
そして数は徐々に減っていき、前衛の隙をティールとエリックでカバーしながら戦いの終幕が見えてきた。
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