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今回は殺す
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「……ここいらが限界か」
ティール達は見張りをしているゴブリンにギリギリ気付かれない位置までやって来た。
ここから少しでも前に出ればゴブリンの感知に引っ掛かってしまうかもしれない。
(……この距離ならもしかしたら折れの投擲も躱されてしまうかもしれないな)
群れをつくり、拠点を持っているゴブリンは他のゴブリンと比べて感知力に優れている。
隠密や忍び足のスキルが高レベルなら話は変わってくるが、現在の討伐隊全体を考えればこの距離が限界だった。
「んじゃ、とりあえず遠距離攻撃をぶちかます。その後は直ぐに俺達が最前線に臨む。そこで漏れたゴブリンは頼むぞ」
「「「「「はい!!!!」」」」」
この瞬間だけはバーバスもガレッジからの言葉に素直に返事を返した。
そして一斉にボールやランス系の魔法、そして風や土の魔力を纏った矢が一斉に繰り出された。
そこでティールも手に持っていた石に風の魔力を纏わせ、腕力強化も使用して全力投球をかました。
(これならいけるだろ)
通常の投球では駄目だ。
腕力強化を使用し、それに加えて石に風の魔力を纏わせての全力投球。
強化した甲斐はあり、石ころによる投球は見事にスナイプショットを決めた。
「しゃっ!!! いくぞお前ら!! 後輩にだせぇ格好は見せるなよ!!!」
「当ったり前だ!!!」
「蹴散らしてやるよ!!!!」
ガレッジの気合に応えるように他の冒険者達も戦意を撒き散らしながらゴブリンの群れへと突っ込んでいく。
「これだから前衛は血の気が多くて好きになれない」
「気合があるのは前衛にとって重要なことでしょう。実際に何度も助けられているのだし」
「その分俺達も助けてるけどな」
自分達を置いてゴブリンが狩りを始める前衛たちに文句を垂らしながらも後衛組は遅れないように付いて行く。
「は、速くないか?」
前衛のDランク以上の冒険者は勿論速い。
しかし後衛であってもある程度脚が速い。
それはルーキー達と明確に別れているレベルの差と財力の差だった。
実戦経験数によって生まれるレベルの差。そして達成した依頼の数による財力によってマジックアイテムを購入し、自身の弱点を埋めるか長所を強化出来る。
視界に先輩たちが次々にゴブリンを抹殺している姿が映っている。
「す、凄げぇな」
「だ、だな。流石先輩達だぜ」
そういった言葉しか出てこない。
自分達とは明らかに実力が違い過ぎる。
本当に自分達は頑張り続ければ、あんな風に戦えるのかと疑問に思ってしまう者もいた。
そんな中でバーバス、エリック、リーシアの三人だけは自分達も絶対に先輩たちに追いつくと堅い信念を持っていた。
しかし一人だけ例外がいた。
「よっと!!」
ティールは戦闘が始まってから全くバラバラの方向に向かって石を投げていた。
「ティール、いったい何をしているんだい?」
「こっちに向かってくる以外のゴブリンを狙撃してるんだよ。全く違う方向に逃げていくゴブリンだっているだろ。そういった奴らを少しでも倒しておこうと思ってな」
集落をつくっている位置を考えると、ゴブリン達が逃げていく方向は一方方向だけではない。
たかがゴブリン、されどゴブリン。
前回は気分的に見逃したモンスターだが、今回は見逃さずに倒す。
優れた眼を持つルーキー達は確かにティールのスナイプショットでゴブリンの脳天が貫かれる瞬間を見た。
「……マジ、かよ」
「あんなに正確に狙って投げられるものなのか??」
「はぁ~~、ちょっと自信無くすわね」
弓を扱うルーキーは比較的視力が優れている。
なので遠距離から狙撃する弓を扱うのと相性が良い。
だが、そんな者でも現在の距離から必死の形相で逃げるゴブリンの脳天を完全に貫ける自信はなかった。
(……そろそろやってくるか)
自分達の方向に向かってくるゴブリン以外も狙撃していた。
なので、ティールはしっかりとルーキー達が戦う機会を残していた。
(流石にここまでやって来て結局ゴブリンと戦わずに帰るってのは……中々に不完全燃焼だろうしな)
戦闘が始まってから一分後、ようやくルーキー達の元に戦場から抜け出してきたゴブリンが現れた。
ティール達は見張りをしているゴブリンにギリギリ気付かれない位置までやって来た。
ここから少しでも前に出ればゴブリンの感知に引っ掛かってしまうかもしれない。
(……この距離ならもしかしたら折れの投擲も躱されてしまうかもしれないな)
群れをつくり、拠点を持っているゴブリンは他のゴブリンと比べて感知力に優れている。
隠密や忍び足のスキルが高レベルなら話は変わってくるが、現在の討伐隊全体を考えればこの距離が限界だった。
「んじゃ、とりあえず遠距離攻撃をぶちかます。その後は直ぐに俺達が最前線に臨む。そこで漏れたゴブリンは頼むぞ」
「「「「「はい!!!!」」」」」
この瞬間だけはバーバスもガレッジからの言葉に素直に返事を返した。
そして一斉にボールやランス系の魔法、そして風や土の魔力を纏った矢が一斉に繰り出された。
そこでティールも手に持っていた石に風の魔力を纏わせ、腕力強化も使用して全力投球をかました。
(これならいけるだろ)
通常の投球では駄目だ。
腕力強化を使用し、それに加えて石に風の魔力を纏わせての全力投球。
強化した甲斐はあり、石ころによる投球は見事にスナイプショットを決めた。
「しゃっ!!! いくぞお前ら!! 後輩にだせぇ格好は見せるなよ!!!」
「当ったり前だ!!!」
「蹴散らしてやるよ!!!!」
ガレッジの気合に応えるように他の冒険者達も戦意を撒き散らしながらゴブリンの群れへと突っ込んでいく。
「これだから前衛は血の気が多くて好きになれない」
「気合があるのは前衛にとって重要なことでしょう。実際に何度も助けられているのだし」
「その分俺達も助けてるけどな」
自分達を置いてゴブリンが狩りを始める前衛たちに文句を垂らしながらも後衛組は遅れないように付いて行く。
「は、速くないか?」
前衛のDランク以上の冒険者は勿論速い。
しかし後衛であってもある程度脚が速い。
それはルーキー達と明確に別れているレベルの差と財力の差だった。
実戦経験数によって生まれるレベルの差。そして達成した依頼の数による財力によってマジックアイテムを購入し、自身の弱点を埋めるか長所を強化出来る。
視界に先輩たちが次々にゴブリンを抹殺している姿が映っている。
「す、凄げぇな」
「だ、だな。流石先輩達だぜ」
そういった言葉しか出てこない。
自分達とは明らかに実力が違い過ぎる。
本当に自分達は頑張り続ければ、あんな風に戦えるのかと疑問に思ってしまう者もいた。
そんな中でバーバス、エリック、リーシアの三人だけは自分達も絶対に先輩たちに追いつくと堅い信念を持っていた。
しかし一人だけ例外がいた。
「よっと!!」
ティールは戦闘が始まってから全くバラバラの方向に向かって石を投げていた。
「ティール、いったい何をしているんだい?」
「こっちに向かってくる以外のゴブリンを狙撃してるんだよ。全く違う方向に逃げていくゴブリンだっているだろ。そういった奴らを少しでも倒しておこうと思ってな」
集落をつくっている位置を考えると、ゴブリン達が逃げていく方向は一方方向だけではない。
たかがゴブリン、されどゴブリン。
前回は気分的に見逃したモンスターだが、今回は見逃さずに倒す。
優れた眼を持つルーキー達は確かにティールのスナイプショットでゴブリンの脳天が貫かれる瞬間を見た。
「……マジ、かよ」
「あんなに正確に狙って投げられるものなのか??」
「はぁ~~、ちょっと自信無くすわね」
弓を扱うルーキーは比較的視力が優れている。
なので遠距離から狙撃する弓を扱うのと相性が良い。
だが、そんな者でも現在の距離から必死の形相で逃げるゴブリンの脳天を完全に貫ける自信はなかった。
(……そろそろやってくるか)
自分達の方向に向かってくるゴブリン以外も狙撃していた。
なので、ティールはしっかりとルーキー達が戦う機会を残していた。
(流石にここまでやって来て結局ゴブリンと戦わずに帰るってのは……中々に不完全燃焼だろうしな)
戦闘が始まってから一分後、ようやくルーキー達の元に戦場から抜け出してきたゴブリンが現れた。
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