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自己責任だが……
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夕食が終わり、仮眠を終えたティールは見張りの冒険者と変わってモンスターや盗賊の警戒を行う。
「眠そうな顔だな」
「そりゃさっきまでぐっすりと寝てたんで」
(一人なら酸のモンスター達に任せとけば朝までぐっすりと寝られるんだけどな)
酸のモンスターだけではなく、ティールには結界のスキルまである。
大抵のモンスターであれば結界が攻撃を防ぎ、アシッドドラゴンが始末する。
だが、その二つの手札を見せてしまったらいよいよ周りの冒険者はティールを得体のしれないルーキーだと思い始める。
「仮眠を取ってからの見張り、それから討伐に移る訳だが……ちゃんと動けそうか?」
「多分、問題無いと思います」
寝れる日はぐっすりと寝るタイプだが、短時間の睡眠であっても体力は回復している。
「そうか。それは良かった」
「……仮に俺が大して動けなくても今回の討伐に支障はないと思いますけど」
今回は五十匹相当の群れをつくっているゴブリンの討伐。
確かに驚異となる存在だ。このまま放っておけば群れの中からゴブリンキングが誕生するかもしれない。
だが、現在の情報ではせいぜいジェネラルが一体、もしくは二体いるかという程度。
Cランクのモンスターなので身体能力はDランクのモンスターと比べて優れているが、ゴブリンジェネラルは戦闘力よりも統率力に優れたモンスター。
今回参加しているDランク以上の冒険者達の戦力を考えれば、ルーキーなどいなくても倒せる可能性は十分にある。
参加しているルーキー達は通常種のゴブリンを倒し、ベテラン達が上位種やジェネラルの討伐に集中するための梅雨払い役。
「もしかしたらそうかもしれねぇ。俺らも上位種やジェネラルの討伐に集中するが、お前らのカバーは出来るだろう。でもな、やっぱりカバーが届かないって可能性もあるんだよ」
ベテラン達は戦闘経験、人生経験も豊富だが万能という訳ではない。
過去に自分達の手が届かず、同業者が死んでしまったこともある。
手が届かずに死なせてしまった……その悔しさは身に染みて解っている。
「ベテランになって思うんだよ……ガキたちには死んで欲しく無いってな。バーバスみたいな跳ねっ返りのガキでも俺達からすれば可愛いガキだ」
「可愛い、ねぇ……俺からすれば面倒な奴って印象しかないが」
「はっはっは! ティールからすればそんな印象が強いかもな。でも、俺からすればこの戦いから生き延びてまだまだ冒険して欲しいって思うんだよ。そういう思いがあるからこそ……ティール、お前があいつらの傍にいると安心出来るんだよ」
「……評価してくれているのは解ってるけど、ちょっと過大評価なんじゃないか? 俺は別に誰かを守ることには慣れていないんですよ」
これは事実だ。
戦闘経験数ならば他のルーキーと比べて圧倒的に多い。
ベテランにも追いつく数かもしれない。
だが、いつも誰かを守りながらではなく、ソロで戦っていた。
誰かを守る戦い方よりも、敵を倒す為の戦い方に特化している。
相手からスキルを奪えるギフト、奪取≪スナッチ≫。これがらあるお陰でティールは近・中・遠距離攻撃全てを行える。
故に、戦いに関することは全て自分だけで片付けられる。
長い間一人で戦い続けていたお陰で思考の速さは尋常ではなく、モンスターに囲まれても冷静に対処し続けられる。
「確かに守るより、倒すことに特化しているかもしれない……でも、お前の目は出来ないとは言っていない」
ガレッジの言葉通り、ティールは守りながら戦うことが得意ではないが出来ないとは思っていない。
それをあっさりとベテラン冒険者には見抜かれていた。
「だから、あいつらの事を頼むぞ」
「……冒険者は自己責任だ。って言いたいところですけど、今回は頭に入れていきますよ」
「ふふ、そうだな。そこはティールの言う通りだな」
冒険者は自己責任。
冒険で死んだとしても、盗賊との殺し合いで死んだとしても……その責任を他人に押し付けてはならない。
例え仲間に裏切者がいたとしても……気付けなかった自分が悪かった。
ダンジョンの中でトラップに引っ掛かって死んだとしても、それも自己責任だ。
(まぁ、俺も目の前で死なれるのは気分が悪い)
しょうがないから今回はしっかり守ってやろう。そう思い、朝まで見張りを続けた。
「眠そうな顔だな」
「そりゃさっきまでぐっすりと寝てたんで」
(一人なら酸のモンスター達に任せとけば朝までぐっすりと寝られるんだけどな)
酸のモンスターだけではなく、ティールには結界のスキルまである。
大抵のモンスターであれば結界が攻撃を防ぎ、アシッドドラゴンが始末する。
だが、その二つの手札を見せてしまったらいよいよ周りの冒険者はティールを得体のしれないルーキーだと思い始める。
「仮眠を取ってからの見張り、それから討伐に移る訳だが……ちゃんと動けそうか?」
「多分、問題無いと思います」
寝れる日はぐっすりと寝るタイプだが、短時間の睡眠であっても体力は回復している。
「そうか。それは良かった」
「……仮に俺が大して動けなくても今回の討伐に支障はないと思いますけど」
今回は五十匹相当の群れをつくっているゴブリンの討伐。
確かに驚異となる存在だ。このまま放っておけば群れの中からゴブリンキングが誕生するかもしれない。
だが、現在の情報ではせいぜいジェネラルが一体、もしくは二体いるかという程度。
Cランクのモンスターなので身体能力はDランクのモンスターと比べて優れているが、ゴブリンジェネラルは戦闘力よりも統率力に優れたモンスター。
今回参加しているDランク以上の冒険者達の戦力を考えれば、ルーキーなどいなくても倒せる可能性は十分にある。
参加しているルーキー達は通常種のゴブリンを倒し、ベテラン達が上位種やジェネラルの討伐に集中するための梅雨払い役。
「もしかしたらそうかもしれねぇ。俺らも上位種やジェネラルの討伐に集中するが、お前らのカバーは出来るだろう。でもな、やっぱりカバーが届かないって可能性もあるんだよ」
ベテラン達は戦闘経験、人生経験も豊富だが万能という訳ではない。
過去に自分達の手が届かず、同業者が死んでしまったこともある。
手が届かずに死なせてしまった……その悔しさは身に染みて解っている。
「ベテランになって思うんだよ……ガキたちには死んで欲しく無いってな。バーバスみたいな跳ねっ返りのガキでも俺達からすれば可愛いガキだ」
「可愛い、ねぇ……俺からすれば面倒な奴って印象しかないが」
「はっはっは! ティールからすればそんな印象が強いかもな。でも、俺からすればこの戦いから生き延びてまだまだ冒険して欲しいって思うんだよ。そういう思いがあるからこそ……ティール、お前があいつらの傍にいると安心出来るんだよ」
「……評価してくれているのは解ってるけど、ちょっと過大評価なんじゃないか? 俺は別に誰かを守ることには慣れていないんですよ」
これは事実だ。
戦闘経験数ならば他のルーキーと比べて圧倒的に多い。
ベテランにも追いつく数かもしれない。
だが、いつも誰かを守りながらではなく、ソロで戦っていた。
誰かを守る戦い方よりも、敵を倒す為の戦い方に特化している。
相手からスキルを奪えるギフト、奪取≪スナッチ≫。これがらあるお陰でティールは近・中・遠距離攻撃全てを行える。
故に、戦いに関することは全て自分だけで片付けられる。
長い間一人で戦い続けていたお陰で思考の速さは尋常ではなく、モンスターに囲まれても冷静に対処し続けられる。
「確かに守るより、倒すことに特化しているかもしれない……でも、お前の目は出来ないとは言っていない」
ガレッジの言葉通り、ティールは守りながら戦うことが得意ではないが出来ないとは思っていない。
それをあっさりとベテラン冒険者には見抜かれていた。
「だから、あいつらの事を頼むぞ」
「……冒険者は自己責任だ。って言いたいところですけど、今回は頭に入れていきますよ」
「ふふ、そうだな。そこはティールの言う通りだな」
冒険者は自己責任。
冒険で死んだとしても、盗賊との殺し合いで死んだとしても……その責任を他人に押し付けてはならない。
例え仲間に裏切者がいたとしても……気付けなかった自分が悪かった。
ダンジョンの中でトラップに引っ掛かって死んだとしても、それも自己責任だ。
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しょうがないから今回はしっかり守ってやろう。そう思い、朝まで見張りを続けた。
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