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どちらが後悔するのか
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決闘。両者の存在、どちらが上かを決めるには一番分かりやすい方法だ。
だが……ティールとしてはそんなもの、正直どうでも良い。
今回の討伐に参加する理由は友人を守るため。
バーバスのような脳みそまで筋肉野郎にどう思われようが知った事では無い。
しかし、この状況収めるには一番手っ取り早い方法ではある。
「良いんじゃないの? バーバスにしては良い提案じゃない」
「そうだね。決闘すればどちらが上なのかハッキリする。僕はそれで決めてしまうのが一番良いと思うね」
ティールがどれだけ実力が高いのかを知っている二人はバーバスの案を押す。
それに合わせて二人の口戦を観ていた周りの冒険者達も乗っかってくる。
「いいぞいいぞっ!!! 男は殴り合ってなんぼのもんだ」
「確かに決闘で勝負するのが一番分かりやすいよな」
「あっちの坊主が応えたら、早速ギャンブルの始まりだな」
バーバスと自分が決闘を行い、どちらが上かを決めるそういった流れを周囲が望み始めた。
(これは……あれか、逃げられなくなったパターンか……まぁ良い。確かにどちらが上なのか、決めやすい方法だ)
さっさと帰りたいティールだったが、決闘で勝ちさえすれば全て丸く収まる。
そんな雰囲気でもあるので、バーバスからの提案を受けることにした。
「いいぞ、その挑発に乗ってやるよ」
「へっへっへ、言ったな。もう逃げられないから。泣いて土下座しても許さねぇからな!!」
それはそれでルール的に負けを乞うている相手に追撃するのはいかがなものかと思うが、とりあえず今は無視。
「脳みそまで筋肉だと、吐くセリフはド三流の悪党とそっくりだな」
そう告げるとティールは決闘を行うために訓練場へと向かう。
ただ、その一言で再びギルド内に爆笑の渦が巻き起こる。
「ふふっ、ティール……言葉にセンスがあり過ぎるよ」
「エリックの言う通りね。笑いを堪えるなんて無理よ」
バーバスはティールが決闘に応えたことで、この場で殴り掛かるようなことは出来ない。
周囲から自分に向けられる笑いの眼と、それを仕向けたティールに対しての怒りで拳を握りしめながら震えるが、それを爆発させるのは決闘までとっておく。
(絶対にぶっ殺してやる)
審判がいない決闘であれば、うっかり……という結果はある。
今回の決闘ではエリックが審判を務めようと思っているが、そういった場合であっても審判の静止が入るまでは自由行動。
故に、殺されてしまうことも稀にある。
そして今回の場合では、ティールがバーバスをうっかり殺してしまう事は結果だけでいえば可能だ。
だが、ティールはバーバス程怒りを溜めている訳でもなく、殺してやりたいとも思っていない。
バーバスやエリックとリーシアの後ろに立っていたルーキー達や周囲で楽しく見ていたベテラン達も移動し、外野は十分に盛り上がっていた。
「さっきも言ったが、泣いて謝っても絶対に許さねぇからな」
「……惚れた女目の前だからかしらないけど、粋がって後で恥を晒すのはお前だぞ、脳筋野郎」
バーバスは少々冷静さを取り戻していたが、その一言で直ぐに頭に血が上る。
「二人共、口喧嘩はそれぐらいにして後は己の実力で勝負を着けるんだ」
どちらが勝つかは分からない。
そんな様子で告げるエリックだが、完全にティールの圧勝で終わると思っている。
二人は丁度良い位置まで離れ、構える。
「それでは……始め!!!」
「うぉおおおおらああああああっ!!!!」
決闘開始と同時にバーバスを己の得物である大剣を握りしめて駆け出す。
(……様子見のつもりか?)
身体強化のスキルを使わずに自分に斬り掛かってくるバーバスに疑問を感じるが、ティールからすれば遅すぎる動きなのでとりあえず躱す。
「ぜぇえええあああああああっ!!!!」
振り下ろした大剣を今度は横に振るう。
だが、それも余裕を持って躱されてしまう。
(さっさと身体強化のスキルを使えよ)
そう思いながらもティールはバーバスの攻撃を一分ほど躱し続けた。
だが……ティールとしてはそんなもの、正直どうでも良い。
今回の討伐に参加する理由は友人を守るため。
バーバスのような脳みそまで筋肉野郎にどう思われようが知った事では無い。
しかし、この状況収めるには一番手っ取り早い方法ではある。
「良いんじゃないの? バーバスにしては良い提案じゃない」
「そうだね。決闘すればどちらが上なのかハッキリする。僕はそれで決めてしまうのが一番良いと思うね」
ティールがどれだけ実力が高いのかを知っている二人はバーバスの案を押す。
それに合わせて二人の口戦を観ていた周りの冒険者達も乗っかってくる。
「いいぞいいぞっ!!! 男は殴り合ってなんぼのもんだ」
「確かに決闘で勝負するのが一番分かりやすいよな」
「あっちの坊主が応えたら、早速ギャンブルの始まりだな」
バーバスと自分が決闘を行い、どちらが上かを決めるそういった流れを周囲が望み始めた。
(これは……あれか、逃げられなくなったパターンか……まぁ良い。確かにどちらが上なのか、決めやすい方法だ)
さっさと帰りたいティールだったが、決闘で勝ちさえすれば全て丸く収まる。
そんな雰囲気でもあるので、バーバスからの提案を受けることにした。
「いいぞ、その挑発に乗ってやるよ」
「へっへっへ、言ったな。もう逃げられないから。泣いて土下座しても許さねぇからな!!」
それはそれでルール的に負けを乞うている相手に追撃するのはいかがなものかと思うが、とりあえず今は無視。
「脳みそまで筋肉だと、吐くセリフはド三流の悪党とそっくりだな」
そう告げるとティールは決闘を行うために訓練場へと向かう。
ただ、その一言で再びギルド内に爆笑の渦が巻き起こる。
「ふふっ、ティール……言葉にセンスがあり過ぎるよ」
「エリックの言う通りね。笑いを堪えるなんて無理よ」
バーバスはティールが決闘に応えたことで、この場で殴り掛かるようなことは出来ない。
周囲から自分に向けられる笑いの眼と、それを仕向けたティールに対しての怒りで拳を握りしめながら震えるが、それを爆発させるのは決闘までとっておく。
(絶対にぶっ殺してやる)
審判がいない決闘であれば、うっかり……という結果はある。
今回の決闘ではエリックが審判を務めようと思っているが、そういった場合であっても審判の静止が入るまでは自由行動。
故に、殺されてしまうことも稀にある。
そして今回の場合では、ティールがバーバスをうっかり殺してしまう事は結果だけでいえば可能だ。
だが、ティールはバーバス程怒りを溜めている訳でもなく、殺してやりたいとも思っていない。
バーバスやエリックとリーシアの後ろに立っていたルーキー達や周囲で楽しく見ていたベテラン達も移動し、外野は十分に盛り上がっていた。
「さっきも言ったが、泣いて謝っても絶対に許さねぇからな」
「……惚れた女目の前だからかしらないけど、粋がって後で恥を晒すのはお前だぞ、脳筋野郎」
バーバスは少々冷静さを取り戻していたが、その一言で直ぐに頭に血が上る。
「二人共、口喧嘩はそれぐらいにして後は己の実力で勝負を着けるんだ」
どちらが勝つかは分からない。
そんな様子で告げるエリックだが、完全にティールの圧勝で終わると思っている。
二人は丁度良い位置まで離れ、構える。
「それでは……始め!!!」
「うぉおおおおらああああああっ!!!!」
決闘開始と同時にバーバスを己の得物である大剣を握りしめて駆け出す。
(……様子見のつもりか?)
身体強化のスキルを使わずに自分に斬り掛かってくるバーバスに疑問を感じるが、ティールからすれば遅すぎる動きなのでとりあえず躱す。
「ぜぇえええあああああああっ!!!!」
振り下ろした大剣を今度は横に振るう。
だが、それも余裕を持って躱されてしまう。
(さっさと身体強化のスキルを使えよ)
そう思いながらもティールはバーバスの攻撃を一分ほど躱し続けた。
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