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重要なこと
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「そう……やっぱりそうよね」
「……長剣になにか思い入れでもあるのか?」
「思い入れというか……昔、二人で魔法剣士なろうってエリックと話したことがあったの。まだ習得は出来てないけど、エリックには魔法スキルを覚えられる才能がある。でも、どうやら私には剣術の才能が無いようね」
「あぁ~~~、なるほどね。確かに魔法剣士って言えば、長剣を使っているイメージだよな」
ティールとしては、属性魔力を纏う武器が短剣でも槍でも魔法剣士と似た様なものだと思っている。
だが、世間一般的に魔法剣士は長剣を使い、魔法も使える者のことを指す。
「まぁ……あれじゃないか。そういう思いでみたいなのも大事だが、重要なのは自分が持っている手札で仲間を助けられるかどうかじゃないか?」
「仲間を、助けられるか……」
「そうだ。中途半端な武器を実戦で使うよりも、才能があって使いやすいと思う武器を使った方が、そういう状況の時に役立つと俺は思うぞ」
その言葉を聞いたリーシアは、心の中にあった靄が少しずつ晴れていくように感じた。
「坊主、中々解ってるじゃねぇか」
「え、あ……はい。どうも」
いきなり店の店主兼鍛冶師のおっさんに声を掛けられたティールは、どう反応して良いのか戸惑う。
「俺も前から短剣か打撃にも使える武器を使ったらどうだって言ってたんだけどよぉ、中々そいつが納得してくれなくてな」
「ば、バースさん! 今そんな事言わなくても良いじゃないですか!!」
リーシアとバースは面識があり、新人には優しい鍛冶師だと認知あれている。
「別に良いじゃねぇか。にしても、今日の連れはエリックじゃねぇんだな。もしかして……新しいこれか?」
親指だけを立てるバースにリーシアは顔を赤くしながら答える。
「てぃ、ティールとはそういう関係じゃありません!!」
ズバッとそう言い斬られたティールは精神的にダメージを食らった。
(……うん、分かってるよ。分かってはいるけど……そんなにキッパリと断言しなくても良くないか)
自分がリーシアと付き合うのは無理だと既に解ってはいるが、そこまでハッキリ言われると辛い。
「はっはっは、そういう事にしておいてやるよ。にしても、そっちの坊主は初めて見る顔だな。最近冒険者になったばかりか?」
「はい、少し前に冒険者になりました」
「ティールは冒険者になったばかりなのに本当に強いんですよ。連日で討伐依頼を受け、グレーグリズリーを一人で倒してしまう強さを持っているのです!」
実際はエリックとリーシアが追い詰めたグレーグリズリーにティールが止めを刺したのだが、実力を考えればグレーグリズリーをソロで倒すことが出来る。
その事実を、弟を自慢する姉の様にリーシアは説明した。
「ほぅ、グレーグリズリーを一人で……お前、本当にルーキーか?」
最近冒険者になったばかりのルーキーがグレーグリズリーを一人で倒せる訳が無い。それは常識だが、その常識はティールに通じない。
ただ、バースはティールの実力が並のルーキーでは無いのは解っている。
本当に冒険者になったばかりのルーキーなのかという点が疑問だった。
「……良い師匠が二人いたんです。子供の頃から森の中でモンスターと戦ってたんで……多分、それで他のルーキーと差があるかと」
「……はっはっは、子供の頃から森の中でモンスターと戦ってたのか……普通に考えてヤバいな。それは師匠の提案か?」
「いえ、俺の意志です」
そこは何故か譲れなかった。
事実、ティールはリーシアと出会う前から森の中にこっそり入ってモンスターと戦っていた。
「マジか、そりゃルーキーだとしても強い訳だ。坊主、武器は何を使うんだ」
「えっと……基本的に投擲か素手か長剣ですね。弱い相手には投擲だけで済ませてます」
「投擲って……リーシア、中々面白い奴を見つけたな」
「そ、そうですか?」
弓を扱う冒険者ならいるが、投擲という攻撃手段を使う冒険者は殆どゼロに近い。
「……坊主、ちょっと待ってろ」
「あ、はい」
そう言うと、バーズは店の奥へと消えた。
「……長剣になにか思い入れでもあるのか?」
「思い入れというか……昔、二人で魔法剣士なろうってエリックと話したことがあったの。まだ習得は出来てないけど、エリックには魔法スキルを覚えられる才能がある。でも、どうやら私には剣術の才能が無いようね」
「あぁ~~~、なるほどね。確かに魔法剣士って言えば、長剣を使っているイメージだよな」
ティールとしては、属性魔力を纏う武器が短剣でも槍でも魔法剣士と似た様なものだと思っている。
だが、世間一般的に魔法剣士は長剣を使い、魔法も使える者のことを指す。
「まぁ……あれじゃないか。そういう思いでみたいなのも大事だが、重要なのは自分が持っている手札で仲間を助けられるかどうかじゃないか?」
「仲間を、助けられるか……」
「そうだ。中途半端な武器を実戦で使うよりも、才能があって使いやすいと思う武器を使った方が、そういう状況の時に役立つと俺は思うぞ」
その言葉を聞いたリーシアは、心の中にあった靄が少しずつ晴れていくように感じた。
「坊主、中々解ってるじゃねぇか」
「え、あ……はい。どうも」
いきなり店の店主兼鍛冶師のおっさんに声を掛けられたティールは、どう反応して良いのか戸惑う。
「俺も前から短剣か打撃にも使える武器を使ったらどうだって言ってたんだけどよぉ、中々そいつが納得してくれなくてな」
「ば、バースさん! 今そんな事言わなくても良いじゃないですか!!」
リーシアとバースは面識があり、新人には優しい鍛冶師だと認知あれている。
「別に良いじゃねぇか。にしても、今日の連れはエリックじゃねぇんだな。もしかして……新しいこれか?」
親指だけを立てるバースにリーシアは顔を赤くしながら答える。
「てぃ、ティールとはそういう関係じゃありません!!」
ズバッとそう言い斬られたティールは精神的にダメージを食らった。
(……うん、分かってるよ。分かってはいるけど……そんなにキッパリと断言しなくても良くないか)
自分がリーシアと付き合うのは無理だと既に解ってはいるが、そこまでハッキリ言われると辛い。
「はっはっは、そういう事にしておいてやるよ。にしても、そっちの坊主は初めて見る顔だな。最近冒険者になったばかりか?」
「はい、少し前に冒険者になりました」
「ティールは冒険者になったばかりなのに本当に強いんですよ。連日で討伐依頼を受け、グレーグリズリーを一人で倒してしまう強さを持っているのです!」
実際はエリックとリーシアが追い詰めたグレーグリズリーにティールが止めを刺したのだが、実力を考えればグレーグリズリーをソロで倒すことが出来る。
その事実を、弟を自慢する姉の様にリーシアは説明した。
「ほぅ、グレーグリズリーを一人で……お前、本当にルーキーか?」
最近冒険者になったばかりのルーキーがグレーグリズリーを一人で倒せる訳が無い。それは常識だが、その常識はティールに通じない。
ただ、バースはティールの実力が並のルーキーでは無いのは解っている。
本当に冒険者になったばかりのルーキーなのかという点が疑問だった。
「……良い師匠が二人いたんです。子供の頃から森の中でモンスターと戦ってたんで……多分、それで他のルーキーと差があるかと」
「……はっはっは、子供の頃から森の中でモンスターと戦ってたのか……普通に考えてヤバいな。それは師匠の提案か?」
「いえ、俺の意志です」
そこは何故か譲れなかった。
事実、ティールはリーシアと出会う前から森の中にこっそり入ってモンスターと戦っていた。
「マジか、そりゃルーキーだとしても強い訳だ。坊主、武器は何を使うんだ」
「えっと……基本的に投擲か素手か長剣ですね。弱い相手には投擲だけで済ませてます」
「投擲って……リーシア、中々面白い奴を見つけたな」
「そ、そうですか?」
弓を扱う冒険者ならいるが、投擲という攻撃手段を使う冒険者は殆どゼロに近い。
「……坊主、ちょっと待ってろ」
「あ、はい」
そう言うと、バーズは店の奥へと消えた。
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