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勘違いする態度
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「はぁーーー、食った食った」
「そうね、ちょっと食べ過ぎたかしら?」
二人はガッツリと昼食を食べ、丁度良い満腹状態となる。
「さて、午後はどうしようか……」
「何か予定は決めていないの?」
「とりあえず午前中は体を動かそうと思っていたが、特に午後は考えていなかったな」
本当に何も考えていなかったので、少々焦りながら午後をどうするか考える。
武器屋に行くのか防具屋に行くのか。それともマジックアイテムを売っている店に行くか……できればティールも休日は休日でのんびりと楽しみたいと思っている。
(予定を決めていないとこうも焦るとはなぁ~~……これからは休日であっても予定を決めておいた方が良いな)
まだお金には余裕があるが、それでもずっとサボっていて大丈夫という訳では無い。
なので休める時にはキッチリと休んでおきたいと改めて思ったティール。
「それじゃ、私とのんびり回らない? まだこの街のことをあんまり分かっていないでしょう」
「え、あぁ……確かに、な。でも、良いのか?」
「何がよ。先輩が後輩に街を案内するぐらい普通でしょ?」
当然で当たり前、そんな表情で答えるリーシアにティールはやっぱりかと思った。
(特に俺を思っての親切という訳では無い。ただ、後輩と接している……そう捉えて良いんだよな? もしかして他のルーキーにもこんな感じで接してるのか? もしかして自分に気があるのではって勘違いする奴が絶対に現れると思うんだけどな)
ティールのその考えは正しく、過去にリーシアの優しさに勘違いして惚れてしまい……告白して振られてしまった冒険者がいた。
そういった冒険者はその後の空気に耐えられず、この街を去って他の街で冒険者活動を続けている。
「そうだな……それなら頼む」
「まかせなさい。ところで……それ、どうしたの?」
リーシアが指を指す方向に目を向けると、興味を向けられていたのは守護の指輪だった。
「どうしたって言われても……ある人に貰ったんだよ」
「ある人って……もしかして元婚約者とか?」
「なんでそうなる。というか、俺は平民なんだから婚約者なんている訳無いだろ」
それはリーシアも解っている。
過去に数度貴族を見たことがあるが、貴族には貴族特有の雰囲気やオーラがある。
しかしティールにはそれを感じない。
ただ、ティールが身に着けている指輪はルーキーが手に入れることが出来る代物ではない。
「何て言えば良いんだろうな……本当に偶々会ったんだよ。その時に色々とあって、この指輪を貰った」
「色々とねぇ~~……人助けでしょ」
「なんで、そう思うんだ?」
確かに人助けで合っている。
実際に数人の命を救った。
「ティールは目の前で失われそうな命をほっとかないでしょう。だからその指輪を手に入れた切っ掛けも、そんな理由かと思ったのよ」
「……そうか。まぁ、好きに想像してくれ」
「ふふふ、そうさせて貰うわ。それで……やっぱり気になるんだけど、どんな効果なの?」
他人の手札を深く検索してはならない。
冒険者にもその様な暗黙のルールがある。
ただし、それは絶対では無い。
片方が情報の開示に了承すれば特に問題は無く行われる。
ただ……ティールはバカ真面目に情報を全て話すつもりは無い。
「……俺が持っていも、リーシアが持っていも有難い効果が付与されている。ただ……効果的に考えると、リーシアみたいな後衛タイプの冒険者が欲しがる効果かもな」
「私みたいなタイプの方が欲しがる……色々あって絞れないわね。もしかしてだけど、それを渡してくれた人って女の子?」
「ん? あぁ……女の子だったな。もうあんまり顔は覚えていないけど、確か女の子だった気がする」
「なるほど~~、ティールにもそんな体験があったのね」
「そんな大した体験では無いと思うが」
女の子から何かを貰う。それ自体は……男子の容姿や性格にもよるが、そこまで珍しい体験では無いだろう。
ただ、ティールの様なシチュエーションで出会い、何かを貰うというパターンは珍しい。
「とりあえず、街を案内してくれるんだろう」
「そうだったわね。そろそろ行きましょうか」
こうしてティールは思いがけずリーシアと二人で街を散策することになった。
(これは……デートなのか? いや、そもそも付き合ってはいないのだからデートでは無いか)
「そうね、ちょっと食べ過ぎたかしら?」
二人はガッツリと昼食を食べ、丁度良い満腹状態となる。
「さて、午後はどうしようか……」
「何か予定は決めていないの?」
「とりあえず午前中は体を動かそうと思っていたが、特に午後は考えていなかったな」
本当に何も考えていなかったので、少々焦りながら午後をどうするか考える。
武器屋に行くのか防具屋に行くのか。それともマジックアイテムを売っている店に行くか……できればティールも休日は休日でのんびりと楽しみたいと思っている。
(予定を決めていないとこうも焦るとはなぁ~~……これからは休日であっても予定を決めておいた方が良いな)
まだお金には余裕があるが、それでもずっとサボっていて大丈夫という訳では無い。
なので休める時にはキッチリと休んでおきたいと改めて思ったティール。
「それじゃ、私とのんびり回らない? まだこの街のことをあんまり分かっていないでしょう」
「え、あぁ……確かに、な。でも、良いのか?」
「何がよ。先輩が後輩に街を案内するぐらい普通でしょ?」
当然で当たり前、そんな表情で答えるリーシアにティールはやっぱりかと思った。
(特に俺を思っての親切という訳では無い。ただ、後輩と接している……そう捉えて良いんだよな? もしかして他のルーキーにもこんな感じで接してるのか? もしかして自分に気があるのではって勘違いする奴が絶対に現れると思うんだけどな)
ティールのその考えは正しく、過去にリーシアの優しさに勘違いして惚れてしまい……告白して振られてしまった冒険者がいた。
そういった冒険者はその後の空気に耐えられず、この街を去って他の街で冒険者活動を続けている。
「そうだな……それなら頼む」
「まかせなさい。ところで……それ、どうしたの?」
リーシアが指を指す方向に目を向けると、興味を向けられていたのは守護の指輪だった。
「どうしたって言われても……ある人に貰ったんだよ」
「ある人って……もしかして元婚約者とか?」
「なんでそうなる。というか、俺は平民なんだから婚約者なんている訳無いだろ」
それはリーシアも解っている。
過去に数度貴族を見たことがあるが、貴族には貴族特有の雰囲気やオーラがある。
しかしティールにはそれを感じない。
ただ、ティールが身に着けている指輪はルーキーが手に入れることが出来る代物ではない。
「何て言えば良いんだろうな……本当に偶々会ったんだよ。その時に色々とあって、この指輪を貰った」
「色々とねぇ~~……人助けでしょ」
「なんで、そう思うんだ?」
確かに人助けで合っている。
実際に数人の命を救った。
「ティールは目の前で失われそうな命をほっとかないでしょう。だからその指輪を手に入れた切っ掛けも、そんな理由かと思ったのよ」
「……そうか。まぁ、好きに想像してくれ」
「ふふふ、そうさせて貰うわ。それで……やっぱり気になるんだけど、どんな効果なの?」
他人の手札を深く検索してはならない。
冒険者にもその様な暗黙のルールがある。
ただし、それは絶対では無い。
片方が情報の開示に了承すれば特に問題は無く行われる。
ただ……ティールはバカ真面目に情報を全て話すつもりは無い。
「……俺が持っていも、リーシアが持っていも有難い効果が付与されている。ただ……効果的に考えると、リーシアみたいな後衛タイプの冒険者が欲しがる効果かもな」
「私みたいなタイプの方が欲しがる……色々あって絞れないわね。もしかしてだけど、それを渡してくれた人って女の子?」
「ん? あぁ……女の子だったな。もうあんまり顔は覚えていないけど、確か女の子だった気がする」
「なるほど~~、ティールにもそんな体験があったのね」
「そんな大した体験では無いと思うが」
女の子から何かを貰う。それ自体は……男子の容姿や性格にもよるが、そこまで珍しい体験では無いだろう。
ただ、ティールの様なシチュエーションで出会い、何かを貰うというパターンは珍しい。
「とりあえず、街を案内してくれるんだろう」
「そうだったわね。そろそろ行きましょうか」
こうしてティールは思いがけずリーシアと二人で街を散策することになった。
(これは……デートなのか? いや、そもそも付き合ってはいないのだからデートでは無いか)
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