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向いてるとは限らない

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「はぁ~~~~……私の負けね。分かってはいたけど、やっぱり勝てないものね」

「そりゃ俺は前衛の冒険者だからな。流石に後衛が専門の人とお互いに剣で戦って負ける訳にはいかないからな」

まれに後衛専門なのだが、接近も異常にできるという埒外も存在する。
ティールもギフトがギフトなので、そう遠くない将来にそのような埒外な存在になる日が来るだろう。

「でも、後衛の冒険者にしては動けてたんじゃないか? 俺は師匠的な人以外とあんまり模擬戦をしたことが無いけど、それなりに動けていたと思うぞ」

「そう? それなら良いのだけど……それでもやっぱりこうもコテンパンにやられるのはちょっとショックね~~」

「遠距離専門のリーシアに接戦を強いられたら俺の方がショックだっての」

「あははは、それはそうかも。まっ、遠距離攻撃のギフトを持っているんだからやっぱり専門の人とは差が出て当然ね」

ティールに何のギフトを得たのかは言わないが、遠距離攻撃のギフトを得ているのは事実。

「でも、ティールの投擲はどうなのよ。結構威力凄いんじゃないの?」

「・・・・・・どうだろうな」

「あっ、なんでそんな隠そうとするのよ!!」

「別に隠そうとしてる訳じゃ無い。てか、投擲はあるていど努力次第で強化出来るスキルだ。個人差として腕力が影響するが、投げる物に魔力を纏えたほうが有利だから後衛職の方が有利なんじゃないのか?」

「……そう、なのかな?」

(いや、知らんけど)

適当に思い付いた言い訳を伝えたティールだが、その考えは間違っていなくもなかった。
魔力を纏っている攻撃とそうでない攻撃の場合、その差は目に見えて分る。

勿論、物を投げるという行為に大して腕力は影響するが、その投擲に魔力を纏えれば威力は更に増す。

「というか、リーシアは遠距離攻撃の方を気にするべきなんじゃ無いのか? 弱点を補うことは悪いことじゃないけど、長所もしっかりと伸ばしていかないと駄目だろ」

「そっちは問題無いわよ。実戦に出れば基本的に後衛だからバンバン撃ってるわ。勿論ために弱い相手で接近戦もやってるけどね」

「……やっぱり意識高いな」

ティールは二人いた師匠が圧倒的に高レベルな存在だったのと、知性というギフトを得たことによって必然と万能タイプを目指すようになった。
ただ、二人のリースやジンの様な師はおらず、スキルやギフトも持っていない。

(俺より年上だからってそこまで意識が高くなるものか? いや、俺より早く冒険者になってるんだからそういった事に気付くのは当たり前か。でも……そういうのって、気付いたからって簡単に克服出来る内容じゃ無いよな)

改めてティールは二人の意識の高さや努力の積み重ねに尊敬の感情を抱いた。

「それはティールの方でしょ! あなたぐらいの歳でそこまで色々考えられて実行出来てる人はいないわよ」

「だから、それは師匠が良かったんだよ。俺も努力してきたけど……そこら辺の差っていうのは大きいと思うぞ」

事実としては、ティールの努力は常人の域を超えている。
ただ、教えを乞う師匠によって差が出るのも事実。

真の意味での天才は動きを見ただけで、自分がどう動けばそれを実行出来るのか理解出来てしまう。

そんなごく限れた者以外は、師匠によって差が乗じる場合があり……簡単な例であれば、そもそも師匠や先生となる人物が人に物事を教えるのに適した人物なのか。

優れた実績を持つ者が、優れた指導者になれるとは限らない。

(ジンさんはそこそこ適当に感想を言うことがあったが……別に無茶苦茶って訳じゃ無かった……と、思う)

感覚派なところがあるジンだが、なんとか伝わるように言語化しようと努力している部分はある。

「……やっぱりティールって私達より歳上じゃない?」

「だから違うっての。正真正銘の十二歳だ。考えが老けてるのはほっとけ」

まだまだ成長しきっていない顔とのアンバランス、これからティールは少々悩まされるなと悟った。



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熱が出て死んでました。投稿遅れてすみません。
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