49 / 728
遭遇する前とその後
しおりを挟む
結界という新しいスキルを得た翌日、ティールはその日もギルドに向かい、クエストボードの前で依頼書を見ていた。
すると以前三体のブラウンウルフに襲われていた三人組、ライトとサールにセリナと遭遇。
そして三人から一緒に依頼を受けないかと誘われ、ホーンラビットの討伐依頼を受ける事になる。
依頼受付を担当した女性はティールがソロで活動しているのを知っていたので、他のルーキーと一緒に依頼を受けると知って安心した表情になる。
(やっぱりソロで受けるのは珍しいのか。でも、ホーンラビット三体ぐらいなら別にソロで達成出来る依頼だと思うんだけどな)
確かにホーンラビットの討伐依頼であれば冒険者になったばかりのルーキーでも注意を怠らなければ、達成出来なくもない。
ただ、重要なのは標的と戦う前と後だ。
戦力を考えれば倒せるかもしれない。しかし標的と出会う前と出会った後にソロでは倒せないモンスターと遭遇する可能性は大いにある。
そしてパーティーを組んでいれば奇襲にも対応が出来る等々のメリットもあって、大抵の新人は同じくソロで活動している者や、まだ四人以上では無いパーティーに声を掛けて入れてもらう事が多い。
「えっ、それじゃあ殆ど休まずに依頼を受けてるのかい?」
「……一応そういう事になるな」
依頼の受理を終えた四人は早速森の中に入ってホーンラビットの捜索を始める。
そして遭遇するまでティールはライト達に近況を伝える。
「普通は依頼を受けた翌日は休むものだと思うけど」
「あぁ……そうかもしれないな。でも、俺の場合はスタミナがあるってのも理由だけど、一番は倒すのにそこまで体力を使わないからかな」
「投擲だね。あれから僕達も訓練してるよ」
ティールから手っ取り早く覚えられる攻撃方法、投擲を教えて貰った三人はその日の翌日から訓練を始めていた。
「結構肩が疲れるのよね、あれって。そこら辺も何かコツがあったりするの?」
一番前で斥候の役割を担うサールがしっかりと周囲を警戒しながらティールに質問する。
(肩が疲れない為のコツ……なんだろうな? そこらへんは考えずに投げて投げて投げまくってたからな)
何かアドバイスはないかと必死に今までの投擲歴を思い出し……一つ確かなことがあった。
「最初の頃と比べて投げる時にあまり力を入れてない気がする」
「……それって、あんまり速く投げれなくなるんじゃないの?」
「いや、そうでも無いと思う。何て言うか……その方が無駄なく投げられてる気がする。それに腕力に関しては身体強化のスキルか腕力強化系のスキルを使うか、投擲のスキルレベルを上げていけば自然と上がるし」
「それもそうね。投げる時に力を入れず……明確な課題になった。ありがとね」
「我流の知識だから正解かどうかは分からないけどな」
投擲の訓練方法に関しては完全に我流。
それはティールには合っていたが、それが他者に合うかは解らない。
ただ、投擲に関してはそこまで特別な技術では無く、訓練に関しては特に感覚で考えている訳では無い。
なので訓練方法自体は第三者から見て的外れに感じるような内容ではない。
「そ、そういえばティール君はリーシアさん達と一緒にグレーグリズリーを倒したって噂になってるけど、それって本当なの?」
その話題はセリナだけではなく、ライトとサールも知りたいと思っていた内容だった。
三人とってエリックととリーシアは歳が近く、冒険者歴もそこまで変わらない同期に近い仲だが、実力は完全に二人の方が上だと認めている。
そんな二人とティールが協力してグレーグリズリーを倒したという話は、ルーキー達にとってかなり大きな話題だった。
「いや、それはだなぁ……確かにグレーグリズリーを殺したのは俺だったけど、俺のところまでグレーグリズリーが向かってくる前に二人が結構ダメージを与えてたんだよ」
「つまり、いきなり現れたグレーグリズリーに対してティールは反射的に倒してしまったって訳か」
「そういう感じだな。一発目の攻撃は躱されたけど、確か二撃目で倒したと思う」
そこまで大した事ではないといった表情で語るティールだが、三人は遭遇したモンスターが手負いのグレーグリズリーであったとしても勝てるイメージが浮かばなかった。
すると以前三体のブラウンウルフに襲われていた三人組、ライトとサールにセリナと遭遇。
そして三人から一緒に依頼を受けないかと誘われ、ホーンラビットの討伐依頼を受ける事になる。
依頼受付を担当した女性はティールがソロで活動しているのを知っていたので、他のルーキーと一緒に依頼を受けると知って安心した表情になる。
(やっぱりソロで受けるのは珍しいのか。でも、ホーンラビット三体ぐらいなら別にソロで達成出来る依頼だと思うんだけどな)
確かにホーンラビットの討伐依頼であれば冒険者になったばかりのルーキーでも注意を怠らなければ、達成出来なくもない。
ただ、重要なのは標的と戦う前と後だ。
戦力を考えれば倒せるかもしれない。しかし標的と出会う前と出会った後にソロでは倒せないモンスターと遭遇する可能性は大いにある。
そしてパーティーを組んでいれば奇襲にも対応が出来る等々のメリットもあって、大抵の新人は同じくソロで活動している者や、まだ四人以上では無いパーティーに声を掛けて入れてもらう事が多い。
「えっ、それじゃあ殆ど休まずに依頼を受けてるのかい?」
「……一応そういう事になるな」
依頼の受理を終えた四人は早速森の中に入ってホーンラビットの捜索を始める。
そして遭遇するまでティールはライト達に近況を伝える。
「普通は依頼を受けた翌日は休むものだと思うけど」
「あぁ……そうかもしれないな。でも、俺の場合はスタミナがあるってのも理由だけど、一番は倒すのにそこまで体力を使わないからかな」
「投擲だね。あれから僕達も訓練してるよ」
ティールから手っ取り早く覚えられる攻撃方法、投擲を教えて貰った三人はその日の翌日から訓練を始めていた。
「結構肩が疲れるのよね、あれって。そこら辺も何かコツがあったりするの?」
一番前で斥候の役割を担うサールがしっかりと周囲を警戒しながらティールに質問する。
(肩が疲れない為のコツ……なんだろうな? そこらへんは考えずに投げて投げて投げまくってたからな)
何かアドバイスはないかと必死に今までの投擲歴を思い出し……一つ確かなことがあった。
「最初の頃と比べて投げる時にあまり力を入れてない気がする」
「……それって、あんまり速く投げれなくなるんじゃないの?」
「いや、そうでも無いと思う。何て言うか……その方が無駄なく投げられてる気がする。それに腕力に関しては身体強化のスキルか腕力強化系のスキルを使うか、投擲のスキルレベルを上げていけば自然と上がるし」
「それもそうね。投げる時に力を入れず……明確な課題になった。ありがとね」
「我流の知識だから正解かどうかは分からないけどな」
投擲の訓練方法に関しては完全に我流。
それはティールには合っていたが、それが他者に合うかは解らない。
ただ、投擲に関してはそこまで特別な技術では無く、訓練に関しては特に感覚で考えている訳では無い。
なので訓練方法自体は第三者から見て的外れに感じるような内容ではない。
「そ、そういえばティール君はリーシアさん達と一緒にグレーグリズリーを倒したって噂になってるけど、それって本当なの?」
その話題はセリナだけではなく、ライトとサールも知りたいと思っていた内容だった。
三人とってエリックととリーシアは歳が近く、冒険者歴もそこまで変わらない同期に近い仲だが、実力は完全に二人の方が上だと認めている。
そんな二人とティールが協力してグレーグリズリーを倒したという話は、ルーキー達にとってかなり大きな話題だった。
「いや、それはだなぁ……確かにグレーグリズリーを殺したのは俺だったけど、俺のところまでグレーグリズリーが向かってくる前に二人が結構ダメージを与えてたんだよ」
「つまり、いきなり現れたグレーグリズリーに対してティールは反射的に倒してしまったって訳か」
「そういう感じだな。一発目の攻撃は躱されたけど、確か二撃目で倒したと思う」
そこまで大した事ではないといった表情で語るティールだが、三人は遭遇したモンスターが手負いのグレーグリズリーであったとしても勝てるイメージが浮かばなかった。
83
お気に入りに追加
1,803
あなたにおすすめの小説
安全第一異世界生活
笑田
ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん)
異世界で出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて
婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の冒険生活目指します!!

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜
はくまい
ファンタジー
ひょんなことから異世界へと転生した少女、江西奏は、全く知らない場所で目が覚めた。
目の前には小さなお家と、周囲には森が広がっている。
家の中には一通の手紙。そこにはこの世界を救ってほしいということが書かれていた。
この世界は十人の魔女によって支配されていて、奏は最後に召喚されたのだが、宛先に奏の名前ではなく、別の人の名前が書かれていて……。
「人違いじゃないかー!」
……奏の叫びももう神には届かない。
家の外、柵の向こう側では聞いたこともないような獣の叫ぶ声も響く世界。
戻る手だてもないまま、奏はこの家の中で使えそうなものを探していく。
植物に愛された奏の異世界新生活が、始まろうとしていた。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる