35 / 724
何かの縁だ
しおりを挟む
「え、えっと……そ、それは冗談では無く、本当なのかい?」
「あ、あぁ。昨日ソーブルに初めてやって来たんだ」
冗談では無く事実。昨日初めてソーブルにやって来たのも、冒険者登録を昨日行ったのも嘘では無い。
ただ、ティールの実力と現ランクは完全に詐欺と言える。
「そ、そうなの……おっと、僕の名前はライトだ。ランクはFなんだ、よろしく」
「私はサールよ。ランクはライトと同じでFランク」
「わ、私はセリナです。二人と同じでFランクで、本日は助けて頂いて本当に有難うございます」
三人はティールより経歴は先輩であり、ランクは一つ上のFランク。
しかし勿論の事、実力がティールより上という訳では無い。
ただ、HランクからFランクに上がるには街の中で行える依頼を何回も受けてギルドからの評価を上げ、戦闘訓練をギルドが指定した回数分受ければ上がれる。
(……装備は貯めたお金で買ったか、譲って貰ったって感じの物ばかりだな)
ティールの眼から視て、ライト達が使っている装備は決して上等なものでは無い。
だが、ルーキーが装備するには丁度良い武器ではある。
「三人は今日、なんの依頼を受けてたんだ?」
「薬草採取の依頼を受けていたんだ。無事に薬草を採集する事は出来たんだが、帰り道にブラウンウルフの奇襲を受けてしまってね」
「そうか……まぁ、流石に三体同時の奇襲は運が悪いとしか言えないな」
昔のティールならいきなり三体のブラウンウルフに襲われたら若干パニックになってもおかしくは無い。
(ライト達はそこまで戦い慣れている訳でも無さそうだし、ブラウンウルフ相手ならどう立ち回って良いのか解らなくなっても仕方ないよな)
ここで会ったのも何かの縁だと思い、ティールはライト達にモンスターと戦うための対策を教える。
「ブラウンウルフ……いや、ブラウンウルフだけじゃないな。獣系のモンスターは咬みつきを行う事が多い、あとは引っかきか。そういうのを避けられるのが一番良いんだけど、それが出来ない場合や状況の時は小盾があると便利だ。バックラーとも言うのか?」
「バックラーを……それで、もしかしたら殴れば良いのかい?」
「そうだ。タイミングを合わせて殴る。ただ、それは本当にタイミングを見極められるようになってからで構わない。バックラーを持っているだけで防御出来る攻撃が増える。あとは……サールさんは弓の他に短剣でも使えたら便利かな」
視線を今度はサールに移し、ティールはアドバイスを続ける。
普段は少々気が強いサールだが、命を助けてくれた恩のあるティールの話を素直に聞く。
「普通に接近戦で使えるようになれば、それはそれでありだ。後は投擲すれば弓が無くなった時にもなんとか対応出来ると思う。まぁ、投擲といて扱うなら短剣も消耗品になるけど」
「……いや、十分のアドバイスよ。短剣ね……帰ったら少し試してみるわ」
そして次は自分にもアドバイスが貰えるのかと思いながら期待しているセリナに目線を移す。
「セリナさんは……腕力にはあまり自信が無い?」
「えっと、そうですね。一応回復がメインですので、あまり力の方は無いです。や、やっぱり腕力はあった方が良いですか?」
基本的に戦士タイプでも無いセリナは自分の腕力に全く自信が無い。
しかし今回仲間であり、友達でもあるサールが怪我を負ってしまったのは自分のせいでもあるので、伸ばせる力があるなら伸ばしたいと強い気持ちを持っている。
「そうだな。モンスターに接近された時の反撃用として、メイスを使えれば一番有効だと思う。ただ、一応打撃系の武器だからある程度の重さはある。それを難なく振り回せるようになる為に、やっぱり腕力は必要かと思います」
自身の腕力を鍛えるという選択が一番安上がりなのだが、アクセサリータイプのマジックアイテムならば装着者の腕力を向上させる指輪等も存在する。
だがそういったマジックアイテムの値段はある程度するので、今のライト達の懐では少々厳しいというのが現実。
そして最後にティールは自身が一番得意としている技術を三人に伝える。
「あ、あぁ。昨日ソーブルに初めてやって来たんだ」
冗談では無く事実。昨日初めてソーブルにやって来たのも、冒険者登録を昨日行ったのも嘘では無い。
ただ、ティールの実力と現ランクは完全に詐欺と言える。
「そ、そうなの……おっと、僕の名前はライトだ。ランクはFなんだ、よろしく」
「私はサールよ。ランクはライトと同じでFランク」
「わ、私はセリナです。二人と同じでFランクで、本日は助けて頂いて本当に有難うございます」
三人はティールより経歴は先輩であり、ランクは一つ上のFランク。
しかし勿論の事、実力がティールより上という訳では無い。
ただ、HランクからFランクに上がるには街の中で行える依頼を何回も受けてギルドからの評価を上げ、戦闘訓練をギルドが指定した回数分受ければ上がれる。
(……装備は貯めたお金で買ったか、譲って貰ったって感じの物ばかりだな)
ティールの眼から視て、ライト達が使っている装備は決して上等なものでは無い。
だが、ルーキーが装備するには丁度良い武器ではある。
「三人は今日、なんの依頼を受けてたんだ?」
「薬草採取の依頼を受けていたんだ。無事に薬草を採集する事は出来たんだが、帰り道にブラウンウルフの奇襲を受けてしまってね」
「そうか……まぁ、流石に三体同時の奇襲は運が悪いとしか言えないな」
昔のティールならいきなり三体のブラウンウルフに襲われたら若干パニックになってもおかしくは無い。
(ライト達はそこまで戦い慣れている訳でも無さそうだし、ブラウンウルフ相手ならどう立ち回って良いのか解らなくなっても仕方ないよな)
ここで会ったのも何かの縁だと思い、ティールはライト達にモンスターと戦うための対策を教える。
「ブラウンウルフ……いや、ブラウンウルフだけじゃないな。獣系のモンスターは咬みつきを行う事が多い、あとは引っかきか。そういうのを避けられるのが一番良いんだけど、それが出来ない場合や状況の時は小盾があると便利だ。バックラーとも言うのか?」
「バックラーを……それで、もしかしたら殴れば良いのかい?」
「そうだ。タイミングを合わせて殴る。ただ、それは本当にタイミングを見極められるようになってからで構わない。バックラーを持っているだけで防御出来る攻撃が増える。あとは……サールさんは弓の他に短剣でも使えたら便利かな」
視線を今度はサールに移し、ティールはアドバイスを続ける。
普段は少々気が強いサールだが、命を助けてくれた恩のあるティールの話を素直に聞く。
「普通に接近戦で使えるようになれば、それはそれでありだ。後は投擲すれば弓が無くなった時にもなんとか対応出来ると思う。まぁ、投擲といて扱うなら短剣も消耗品になるけど」
「……いや、十分のアドバイスよ。短剣ね……帰ったら少し試してみるわ」
そして次は自分にもアドバイスが貰えるのかと思いながら期待しているセリナに目線を移す。
「セリナさんは……腕力にはあまり自信が無い?」
「えっと、そうですね。一応回復がメインですので、あまり力の方は無いです。や、やっぱり腕力はあった方が良いですか?」
基本的に戦士タイプでも無いセリナは自分の腕力に全く自信が無い。
しかし今回仲間であり、友達でもあるサールが怪我を負ってしまったのは自分のせいでもあるので、伸ばせる力があるなら伸ばしたいと強い気持ちを持っている。
「そうだな。モンスターに接近された時の反撃用として、メイスを使えれば一番有効だと思う。ただ、一応打撃系の武器だからある程度の重さはある。それを難なく振り回せるようになる為に、やっぱり腕力は必要かと思います」
自身の腕力を鍛えるという選択が一番安上がりなのだが、アクセサリータイプのマジックアイテムならば装着者の腕力を向上させる指輪等も存在する。
だがそういったマジックアイテムの値段はある程度するので、今のライト達の懐では少々厳しいというのが現実。
そして最後にティールは自身が一番得意としている技術を三人に伝える。
108
お気に入りに追加
1,801
あなたにおすすめの小説

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。

転生して何故か聖女なった私は、婚約破棄されたうえに、聖女を解任される。「え?」 婚約者様。勝手に聖女を解任して大丈夫? 後は知りませんよ
幸之丞
ファンタジー
聖女のお仕事は、精霊のみなさまに助けてもらって国を守る結界を展開することです。
この世界に転生した聖女のエリーゼは、公爵家の子息と婚約しています。
精霊から愛されているエリーゼは、聖女としての能力も高く、国と結界を維持する組織にとって重要な立場にいます。
しかし、ある夜。エリーゼは、婚約破棄されます。
しかも婚約者様が、勝手に聖女の任を解いてしまうのです。
聖女の任を解かれたエリーゼは「ラッキー」と喜ぶのですが……
この国『ガイスト王国』は、どの様なことになるのでしょう。
――――――――――――――――
この物語を見つけていただきありがとうございます。
少しでも楽しんでいただければ、嬉しいです。
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました
みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。
異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

身体強化って、何気にチートじゃないですか!?
ルーグイウル
ファンタジー
病弱で寝たきりの少年「立原隆人」はある日他界する。そんな彼の意志に残ったのは『もっと強い体が欲しい』。
そんな彼の意志と強靭な魂は世界の壁を越え異世界へとたどり着く。でも目覚めたのは真っ暗なダンジョンの奥地で…?
これは異世界で新たな肉体を得た立原隆人-リュートがパワーレベリングして得たぶっ飛んだレベルとチートっぽいスキルをひっさげアヴァロンを王道ルートまっしぐら、テンプレート通りに謳歌する物語。
初投稿作品です。つたない文章だと思いますが温かい目で見ていただけたらと思います。

前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。

転生しても山あり谷あり!
tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」
兎にも角にも今世は
“おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!”
を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる