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目がそちらに行ってしまう

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(あそこに行ったら良いんだよな)

受付嬢が働いている場所へとやって来たティールはその容姿に驚く。

(……す、凄い可愛い。俺より年上なのは間違いないだろうけど、何と言うか……うん、デカい)

目の前に存在する受付嬢の可愛さにティールは見惚れていた。
その容姿に加えてスタイルも良く、特に胸がデカい。

「あっ、もしかして冒険者登録を希望ですか?」

「は、はい。よろしくお願いします」

自身に見惚れていた事に気付いた受付嬢はティールに声を掛け、要件を尋ねる。
そして予想していた考えは当たり、直ぐに登録に必要な用紙を取り出す。

「こちらに記載てある内容をお書きください。えっと、字の読み書きは出来ますか?」

「はい、師匠に教わったので大丈夫です」

ティールはリースから冒険者と生きていく上で必要な能力は大抵教わっているので問題無く読み書きは行える。

(名前、出身地、使えるスキル、授かったギフト。それに経歴……元騎士とかが記載する内容か?)

奪取≪スナッチ≫と知性に関しては書かず、スキルに関しても奪取≪スナッチ≫で得たスキルは書かず、自身の力だけで手に入れたスキルだけを記入する。

「終わりました」

「はい、ありがとうございます。それでは冒険者の仕事等についてご説明いたしますね」

そこから受付嬢は冒険者の仕事内容や違反行為について、そしてランクによるサービスや上のランクに上がる為の評価基準等の説明を行う。

(うん、大体ジンさんやリースさんから教えて貰った内容と変わらないな)

しっかりと丁寧に説明をする受付嬢だが、ティールはその内容を全て知っていた。
なのでティールの意識は冒険者として覚えておかなければならない情報より、目の前の受付嬢の容姿やほぼほぼ男の目を惹くであろう超巨乳へと目が向いていた。

「……といった感じですが、何かご質問はありますか?」

「あっ、いえ。特には大丈夫です」

「そうですか。私からのお願いといいますか……冒険者になったからといって無理をして冒険をしようとしないでくださいね」

受付嬢はティールに自身の容姿やスタイルに目を向けられている事に気が付いていたが、そんな事は日常茶飯事なので特に気にしていない。
それどころかティールがまだ子供なので、可愛い反応だなとする思っている。

「ティール君ぐらいの年齢で冒険者になる子は多いけど、依頼中に死んでしまう子も多いの。だから、なるべく早く他の新人冒険者とパーティーを組んでね」

「……分かりました」

他の新人冒険者と一緒にパーティーを組む。それはティールとしては無理な願いであった。
そして今日のところは街の散策や宿探しに時間を使おうと思い、ティールは依頼を受けることなくギルドを出た。

SIDE 受付嬢 リーナ

「ふぅーーー……まだ幼いのに無理する必要は無いと思うんですけどねぇ」

ティールの冒険者登録を終えたリーナは背もたれに背中を預けて大きくため息をつく。
リーナがティールに伝えた内容は大袈裟なものでなく事実。

幼ければ幼い程に子供達は話で聞く様な英雄譚に憧れている。
確かにその様な英雄譚は実話として存在する。

だがその英雄たちも順風満帆に冒険者としての人生を歩んで行ったわけでは無い。
そういう苦労は英雄譚、冒険譚ではあまり語られない。

それ故に、冒険者になったばかりの子供達は自分もその英雄たちみたいになれると思い、その命を散らしていく。

「どうしたんだリーナ、あまり顔色が良く無いぞ」

「ゾルさん。えっと……なんで子供は、特に男の子はあんなに早く危ない場所に行きたがるのかなと思いまして」

「あぁ……なるほどね」

元冒険者であり、今はギルドの職員として働くゾルはその男の子達の気持ちが解かる。
ただ、遠目から先程冒険者登録を行ったティールに関しては少し違和感を抱いていた。

「確かに大抵のルーキーはギフトを持っていたとしてもあんまり大差いないからな。死ぬ奴はあっさり死んでいく。お前みたいな親切な受付嬢の話を碌に訊かずにな」

冒険者になろうとするルーキー達の中には最初に受付嬢が話す話を聞かない者もおり、そういった者達は後々になって苦労するパターンが多い。

「ただ、あの子供はお前の話をしっかりと聞いていた。それと……もしかしたら結構戦い慣れてるのかもな」

「えっ、でもまだ十二歳ですよ」

「十二歳でも俺みたいな元冒険者の人間に指示を受けているかもしれないだろ」

「そういえば師匠に文字の読み書きを教わったと言っていましたね」

リーナはティールとの会話内容をしっかりと覚えていた。しかしそれでもまだ心に不安は残っていた。

「戦い慣れてるって言っても、ギフト欄には何も戦闘系のスキルは書かれていないんですよ」

「でも、しっかりと戦闘系のスキルは自力で得ているみたいじゃないか。それっと、言っただろ。あの子は戦い慣れているって」

元冒険者であるゾルは気付いていた。戦う者ならば自然と染みついてしまうその血の匂いに。
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