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マックスと一悶着があってから数か月後、ティールは変わらず村の中に居る時は投擲の訓練や筋トレ等を行い、村の外に出ている時はモンスターとバチバチ戦い続けていた。
だが何にも変化が無かったわけでは無く、ティールにとって中々に嬉しいスキルを手に入れた。
まずは鑑定という名のスキル。
文字通りモンスターや人、物を鑑定出来るスキルであり、ゴブリンメイジから奪うことで手に入れた。
そして二つ目のスキルは空間収納。偶々ゴブリンが持っていたスキルを鑑定した結果、リースから借りているアイテムバッグだという事が鑑定で判明した。
それを冒険者になる時そのまま使っても良かったのだが、そこでティールは妙案を思いつき、亜空間に物を収納するという力をアイテムバッグから奪った。
するとその結果……見事空間収納のスキルを入手する事に成功した。
これにはリースも驚き、ある提案をティールに伝え……その無いように物凄く賛同したティールは機会があれば試してみたいと強く思った。
そして最後に手に入れたスキル……それは錬金術だった。
手に入れたのは本当に偶然であり、なんとそのスキルを持っていたモンスターは……オークだった。
それを鑑定で分かったティールはどのような攻撃を繰り出してくるのか予測できず、かなり焦ったのだが……結果は単純に手に持っていた棍棒での攻撃。
どうやらオークは錬金術のスキルをどう扱えば良いか分かっておらず、宝の持ち腐れ状態のまま放置されていた。
錬金術に関してはリースも習得していたので習うことが出来、十二歳になるまでの間に多少なりともスキルレベルを上げて扱えるようになった。
そして現在、ティールはリースの部屋で紅茶を飲みながらゆったりと過ごしていた。
「……相変わらず美味しいですね」
「あら、少し前まであまり味が解らないって言ってたのに、いっちょ前に言うようになったわね」
「俺が紅茶の美味しさを解っていなかっただけですよ。今、その美味さが解ってるんですから、前からリースさんが淹れる紅茶は美味しかったんですよ」
「ふふ、褒め言葉はちゃんと受け取っておくわ。それにしても……随分と成長したわね?」
ティールの身長は現在百五十後半。年齢は今年十二の代であり、半分は大人扱いされる歳となる。
「そうですか? 確かに身長は伸びたと思いますけど」
「確かに身長は伸びたでしょうね。それに加えて筋肉も付いた……それに加えて、やっぱりちょっと老け顔よね」
「それはほっといてください」
ブサイクという容姿では無いが、それでもイケメンでは無く地味でスカした容姿のティールは実年齢より老けて見られることが多い。
「それを言うならリットだってちょっと老けてると思いますよ」
「そうねぇ。確かに同年代の子からすれば少し年上のお兄さんって感じに見えるかもしれないわね。でも、ティールの場合は……ちょっと違うわよね」
「違って結構です。俺とリットでは色々と違うんですから」
「そうね、確かに色々と違うわ……そういえば、そろそろあの時期ね」
「あの時期? ・・・・・・あぁ、なるほど。確かにその時期ですね」
季節は夏の終わりであり、この時期になるとリースの知り合いの未来の冒険者を育成する学校の教師が訪れ、見込みのある生徒に学園に通う推薦を与える。
「ティールは……学園に行かないのよね」
「はい。冒険者に必要な技術や情報はリースさんから教えて貰ったので、俺はそのまま冒険者になろうと思います」
冒険者になるための条件年齢などは無い。
なのであり得ないがゼロ歳からでも冒険者として登録することが出来る。
ただし、勿論本人の同意があってこその登録なので、言葉も話せない意思の疎通も出来ない赤ちゃんが同意する事など不可能。
「そっか……でも、学校に行かないと感じられない楽しさってのもあると思うよ。私は子供の時にあんな学校に通えたら良かったなって思ってたし」
「……それは、そうかもしれませんね。実際、俺も学校って言うのは楽しそうな場だなと思います。でも、そこに貴族の子息や令嬢もいるんですよね」
「うん、まぁ……そうだね。貴族っていうのは基本的に長男が家を継ぐから、次男は長男がもし無くなった時のスペアとして需要はあるけど、それ以降の子供達は微妙なところだから騎士になるための学校に通うか、それとも冒険者になるための学校に通うかの二択」
貴族の子息や令嬢として良い意味でのプライドを持っている生徒は平民の生徒からも好かれるが、そうでなく悪い意味で貴族としてのプライドを持っている者は多くの者から嫌われている。
だが平民は基本的に貴族に逆らうことが出来ない。
(そんな理不尽、俺に我慢出来るか? ……おそらく無理だろうな)
理不尽に降りかかる暴力等に対し、ティールは自分なら物理的に対処する。
出来る力がティールにはある。
「そんな貴族に対して、俺は仲良く出来る気は無いです」
「ふっふっふ、それは解ってるよ。ティールは結構エゴイストだもんね」
「エゴイストって……単に自分の意志を持って行動してるだけですよ」
「そうだね。君はそれで良いよ、それが正しい。ティールには……それを実現出来る力がある。でも、あまり無理はしちゃだめだよ」
「状況によります」
思っていたよりもティールの内側は熱いと再確認したリースは思わず苦笑いになる。
だが何にも変化が無かったわけでは無く、ティールにとって中々に嬉しいスキルを手に入れた。
まずは鑑定という名のスキル。
文字通りモンスターや人、物を鑑定出来るスキルであり、ゴブリンメイジから奪うことで手に入れた。
そして二つ目のスキルは空間収納。偶々ゴブリンが持っていたスキルを鑑定した結果、リースから借りているアイテムバッグだという事が鑑定で判明した。
それを冒険者になる時そのまま使っても良かったのだが、そこでティールは妙案を思いつき、亜空間に物を収納するという力をアイテムバッグから奪った。
するとその結果……見事空間収納のスキルを入手する事に成功した。
これにはリースも驚き、ある提案をティールに伝え……その無いように物凄く賛同したティールは機会があれば試してみたいと強く思った。
そして最後に手に入れたスキル……それは錬金術だった。
手に入れたのは本当に偶然であり、なんとそのスキルを持っていたモンスターは……オークだった。
それを鑑定で分かったティールはどのような攻撃を繰り出してくるのか予測できず、かなり焦ったのだが……結果は単純に手に持っていた棍棒での攻撃。
どうやらオークは錬金術のスキルをどう扱えば良いか分かっておらず、宝の持ち腐れ状態のまま放置されていた。
錬金術に関してはリースも習得していたので習うことが出来、十二歳になるまでの間に多少なりともスキルレベルを上げて扱えるようになった。
そして現在、ティールはリースの部屋で紅茶を飲みながらゆったりと過ごしていた。
「……相変わらず美味しいですね」
「あら、少し前まであまり味が解らないって言ってたのに、いっちょ前に言うようになったわね」
「俺が紅茶の美味しさを解っていなかっただけですよ。今、その美味さが解ってるんですから、前からリースさんが淹れる紅茶は美味しかったんですよ」
「ふふ、褒め言葉はちゃんと受け取っておくわ。それにしても……随分と成長したわね?」
ティールの身長は現在百五十後半。年齢は今年十二の代であり、半分は大人扱いされる歳となる。
「そうですか? 確かに身長は伸びたと思いますけど」
「確かに身長は伸びたでしょうね。それに加えて筋肉も付いた……それに加えて、やっぱりちょっと老け顔よね」
「それはほっといてください」
ブサイクという容姿では無いが、それでもイケメンでは無く地味でスカした容姿のティールは実年齢より老けて見られることが多い。
「それを言うならリットだってちょっと老けてると思いますよ」
「そうねぇ。確かに同年代の子からすれば少し年上のお兄さんって感じに見えるかもしれないわね。でも、ティールの場合は……ちょっと違うわよね」
「違って結構です。俺とリットでは色々と違うんですから」
「そうね、確かに色々と違うわ……そういえば、そろそろあの時期ね」
「あの時期? ・・・・・・あぁ、なるほど。確かにその時期ですね」
季節は夏の終わりであり、この時期になるとリースの知り合いの未来の冒険者を育成する学校の教師が訪れ、見込みのある生徒に学園に通う推薦を与える。
「ティールは……学園に行かないのよね」
「はい。冒険者に必要な技術や情報はリースさんから教えて貰ったので、俺はそのまま冒険者になろうと思います」
冒険者になるための条件年齢などは無い。
なのであり得ないがゼロ歳からでも冒険者として登録することが出来る。
ただし、勿論本人の同意があってこその登録なので、言葉も話せない意思の疎通も出来ない赤ちゃんが同意する事など不可能。
「そっか……でも、学校に行かないと感じられない楽しさってのもあると思うよ。私は子供の時にあんな学校に通えたら良かったなって思ってたし」
「……それは、そうかもしれませんね。実際、俺も学校って言うのは楽しそうな場だなと思います。でも、そこに貴族の子息や令嬢もいるんですよね」
「うん、まぁ……そうだね。貴族っていうのは基本的に長男が家を継ぐから、次男は長男がもし無くなった時のスペアとして需要はあるけど、それ以降の子供達は微妙なところだから騎士になるための学校に通うか、それとも冒険者になるための学校に通うかの二択」
貴族の子息や令嬢として良い意味でのプライドを持っている生徒は平民の生徒からも好かれるが、そうでなく悪い意味で貴族としてのプライドを持っている者は多くの者から嫌われている。
だが平民は基本的に貴族に逆らうことが出来ない。
(そんな理不尽、俺に我慢出来るか? ……おそらく無理だろうな)
理不尽に降りかかる暴力等に対し、ティールは自分なら物理的に対処する。
出来る力がティールにはある。
「そんな貴族に対して、俺は仲良く出来る気は無いです」
「ふっふっふ、それは解ってるよ。ティールは結構エゴイストだもんね」
「エゴイストって……単に自分の意志を持って行動してるだけですよ」
「そうだね。君はそれで良いよ、それが正しい。ティールには……それを実現出来る力がある。でも、あまり無理はしちゃだめだよ」
「状況によります」
思っていたよりもティールの内側は熱いと再確認したリースは思わず苦笑いになる。
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