あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

文字の大きさ
上 下
19 / 729

ハマってはいけない

しおりを挟む
「……それは、マジですか?」

「えぇ、その可能性が高いわね……でも、ティールがそれを俺意図して受け取ったのだし、自分で使っても良い筈よ」

「そう、ですか……まぁ、戦いで役に立つマジックアイテムなので嬉しいといえば嬉しいですけど」

「そうね。あなたは基本的に毎日無茶をしてるのだから、魔力の量が常人よりも多い。それに奪取≪スナッチ≫でモンスターから魔力を奪う事も可能だから使い勝手は良いでしょうね」

周囲にモンスターがいれば魔力の補給が可能なティールにとって、守護の指輪は非常に使い勝手が良いマジックアイテムであった。

「かなり貴重なマジックアイテムなのだから、無くさない様に気を付けなさいよ」

「勿論です」

「分かってるなら良いわ。それで、冒険者になったらその子に会いに行くの?」

「またその子の話に戻るんですか?」

ティールとしては助けた貴族の令嬢に対して、確かに綺麗で可愛く、違う人種だと思えるような相手という考えを持った。
ただ、その中に恋心は無い。

(確かに一目惚れしてもおかしく無いほど美少女だったかもしれないけど、俺はそういう目で見れなったし……これから先、五年後とかにあったら印象は変わるのか?)

五年も経てば更に容姿のレベルが上がってるだろうと思ったティールはなんとなく令嬢の未来の姿を想像した。
だが、それでもやはり一目惚れする自分が想像できない。

「あら、ティールはまだまだ若いのに恋をする気は無いの?」

「恋ってしようと思って出来るものじゃ無いじゃないですか。俺の初恋は見事に散ってますし……かといって同年代の人が増える訳でも無いからそういうのはまだ訪れないんじゃないですか?」

「……それもそうね。まだ冒険者になった訳では無いのだし……それなら、冒険者になったら各地を転々として良い子を見つけるの?」

「良い子を見つけるかどうかは置いといて、おそらく各地を転々とすると思います。あまり一か所に長い間留まるのも飽きてくると思うので」

リースから偶に今までどのような街に訪れたのかという話を聞くが、そのどれも訪ねてみたいと思える街ばかりだった。

「その方が良いわ。他の街とは違う何かがある街ならともかく、若い内は多くの場所を旅するのに限るわ。いっそ別の国に行ってみるのもアリね」

「別の国、ですか」

「そうよ。そうすればもっとたくさんの人達と出会えるし、良い出会いがあるかもしれないわよ」

その良い出会いがどんな出会いなのかは分からないが、ティールの頭の中はややピンク色になっていた。
ティールが生活している村が所属している国と少々仲が悪い国も存在するので、そういった国への入国は避けた方が良いかもしれないが、別の国へ旅するのはとても良い旅路だとリースは考えている。

「そういえば、もう完全にあの子のことは忘れたの?」

「あの子……あぁ、ミレットの事ですか。最近は本当に会わず喋らずなんで……もうなんとも思ってませんよ。それに、俺がレントより強くなっていると分かってもそれで、っていう話ですから」

「ん~~~~、確かにそれはそうなのだけど……ちょっと達観し過ぎじゃない?」

「そう言われましても……俺がミレットの事が好きだったのってもう七年から八年も前の話ですよ。それから本当に喋る事が無くなったので本当になんとも思って無いですよ。確かに子供だからこそ純粋に好きだって気持ちがあったのかもしれないですけど、今はもうなんともって感じです」

「子供だからこそって……まだまだ子供でしょ。でも冒険者になれば多くの女性と出会えるでしょうし、そこで良い子が見つかる可能性はあるでしょうね。でもティール、娼婦にドハマりしては駄目よ」

ティールはまだ子供と言える年齢なのだが、偶に立ち寄る冒険者達から多くの話を聞いているので、娼館や娼婦の存在は勿論知っていた。

そしてリースは冒険者として活動していた過去に、娼婦に入れ込んで散財してしまった同僚をそこそこ知っている。
なのでティールにはそのような末路を辿って欲しく無いと切実に思っている。

「は、はい。それは冒険者の人達にも何度も言われました」

「そう……それなら良いのよ。男だから溜まってしまうものはあるでしょうか、娼館を使うなとは言わないけれど、ハマってしまったらそこからは搾り取られるだけ搾り取られて最後はポイって捨てられるのよ」

「そ、それは……なんとも恐ろしいですね」

「恐ろしいのよ。彼女達の仕事を馬鹿にするわけでは無いけど、それでもその交渉術には身震いするわ」

そういう職業が世の男性の為に必要だと解っているのでリースは娼婦という存在を否定するつもりは無いが、それでも実在するモンスターのサキュバスという存在に似ていると常々思っている。
しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...