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もし失敗していたら
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まだ日が昇っているうちにリースの元を訪れたティール。
「あら、ティールじゃない。どうかしたの? 怪我をしている様には思えないけど」
「ちょっとリースさんに見せたい物があるんです」
そう言いながらティールはリースから空間バックを持ち上げる。
その動作でティールが何を見せたいのか解ったリースは店の看板はクローズに変えて村人たちにバレない様に、こっそりと森の中へと入った。
「もしかして結構強いモンスターと出会っちゃったの?」
「……そうですね。初めてモンスターに対して恐怖を感じました」
「へぇーーーー……いったいどんなモンスターを倒しのか気になるわね」
ティールの口からモンスターに対して恐怖を感じたという言葉を初めて聞いた。
一番最初の武器は投擲であり、そこから徐々に使える武器を増やしていくティールは、今まで緊張感はあっても恐怖は感じていなかった。
冒険者として成功するためには強くならなければいけない。
その考えとティールが持つギフト、知性が今まで奪ってきたスキルでどのように戦うのが我流なりに作戦を立てて来た。
(でも、恐怖を感じておきながら返り血を一切浴びていないという事は一方的な戦いで勝ったはず。詠唱破棄を使えるティールなら少し格上の……Dランクのモンスターでも倒すのは不可能では無いわね)
丁度人もモンスターもいない場所に着いたティールは空間バッグの中からモンスターの死体を出す。
「おぉ~~~っ!!! グレーグリズリーじゃない。もしかしてこいつと遭遇したの?」
「はい、少々不注意でこいつに遭遇してしまいました。ただ、リースさんが教えてくれた方法で何とか倒すことが出来ました」
「私は教えた方法……あぁ、足を止めて顔を潰す方法ね。役に立って何よりね」
足を止めて急所を攻撃する。言うのは簡単だが、条件が合わなければ中々難しい方法である。
ティールが詠唱破棄を使えるお陰でまだまだ腕力が無い状態でも、グレーグリズリー程の力を持つモンスターを倒すことが出来た。
(拘束系の技と攻撃系の魔法を瞬時に発動できるティールだからこそ実戦で行える方法なんだけど……まさかグレーグリズリーを相手に成功するとはね)
ティールが使える拘束系の技の強度を知っているリースはグレーグリズリーならそれをぶち破ることが出来ると解っていた。
だが、それでも速攻で状況を把握できる訳では無い。
それ故にティールの攻撃はグレーグリズリーの顔面を捉えた。
「それで……血抜きは終わってるみたいね」
「それだけはやっておいた方が良いと思って。でも、解体をしてたらモンスターがたくさん集まってくるかと」
血抜きを行っている時間にでさえモンスターが寄って来た。
幸いにも倒したことがあるモンスターだったので時間も手間も掛けずに倒すことに成功したが、解体は血抜き以上に時間が掛かる。
「良い判断ね。それじゃ、一緒に解体しましょうか。お肉は持って帰って家族と一緒に食べなさい」
「ありがとうございます!!」
リースに指導を受けていることについては既に両親に伝えている。
ただし、モンスターと戦っていることについてはまだ話していないので、返り血には少し気を付けている。
(クリーンがあるかそこら辺は大丈夫だけど……最悪魔力が切れたら血も匂いも消せないからな)
ティールにどのような能力を持っていたとしても、まだ十にもなっていない子供がモンスターと戦うのはやはり親としては心配する。
なのでまだそこは両親と兄に話せていない。
「拘束とウッドバインドで足を止めて、ウィンドランスで止めを刺したってところかしら?」
「そうですね。恐怖は感じてましたけど、とっさに先生が教えてくれた内容が思い浮かんだんで、直ぐに試しました。そしたら上手いこといきました」
「そう……もし、それが失敗したらどう反撃するつもりだったの?」
グレーグリズリーの陥った状況を考えれば九割強の確率でティールの攻撃を防ぐのは不可能だが、偶然体を捻ってウィンドランスを躱すことが出来たかもしれない。
そして即座にウィンドランスかウッドランスを放ったとしても、片腕を犠牲にして耐える可能性だってある。
そこまでいけば拘束した鎖も引き千切られ、グレーグリズリーが自由に動ける。
そんな最悪な状況に対してどう反撃するかを考える。
「……おそらく、グレーグリズリーには遠距離攻撃の手段が無いと思います。もしかしたら自分と同じく投擲を行えるかもしれないけど、頭に血が上ってそういう行動は取れないかと。なので身体強化と脚力強化を使って逃げながら毒液と酸を使って徐々に体力を削るのが一番ですかね?」
「そうね。中々良い案……というより、ティールの手札を考えるとそれが一番の倒し方ね」
戦った場所の木々はボロボロになるだろうが、それでも毒液や酸を使えばグレーグリズリーが隙を生み出す可能性も増え、攻撃魔法を無駄なく使用出来る。
(ただ、そうなった場合は魔力量が心配だけどな)
手札を多く持つティールだが、それでも魔力が無くなればスキルを発動出来ない。
まだまだ格上には不安が残るティールだった。
「あら、ティールじゃない。どうかしたの? 怪我をしている様には思えないけど」
「ちょっとリースさんに見せたい物があるんです」
そう言いながらティールはリースから空間バックを持ち上げる。
その動作でティールが何を見せたいのか解ったリースは店の看板はクローズに変えて村人たちにバレない様に、こっそりと森の中へと入った。
「もしかして結構強いモンスターと出会っちゃったの?」
「……そうですね。初めてモンスターに対して恐怖を感じました」
「へぇーーーー……いったいどんなモンスターを倒しのか気になるわね」
ティールの口からモンスターに対して恐怖を感じたという言葉を初めて聞いた。
一番最初の武器は投擲であり、そこから徐々に使える武器を増やしていくティールは、今まで緊張感はあっても恐怖は感じていなかった。
冒険者として成功するためには強くならなければいけない。
その考えとティールが持つギフト、知性が今まで奪ってきたスキルでどのように戦うのが我流なりに作戦を立てて来た。
(でも、恐怖を感じておきながら返り血を一切浴びていないという事は一方的な戦いで勝ったはず。詠唱破棄を使えるティールなら少し格上の……Dランクのモンスターでも倒すのは不可能では無いわね)
丁度人もモンスターもいない場所に着いたティールは空間バッグの中からモンスターの死体を出す。
「おぉ~~~っ!!! グレーグリズリーじゃない。もしかしてこいつと遭遇したの?」
「はい、少々不注意でこいつに遭遇してしまいました。ただ、リースさんが教えてくれた方法で何とか倒すことが出来ました」
「私は教えた方法……あぁ、足を止めて顔を潰す方法ね。役に立って何よりね」
足を止めて急所を攻撃する。言うのは簡単だが、条件が合わなければ中々難しい方法である。
ティールが詠唱破棄を使えるお陰でまだまだ腕力が無い状態でも、グレーグリズリー程の力を持つモンスターを倒すことが出来た。
(拘束系の技と攻撃系の魔法を瞬時に発動できるティールだからこそ実戦で行える方法なんだけど……まさかグレーグリズリーを相手に成功するとはね)
ティールが使える拘束系の技の強度を知っているリースはグレーグリズリーならそれをぶち破ることが出来ると解っていた。
だが、それでも速攻で状況を把握できる訳では無い。
それ故にティールの攻撃はグレーグリズリーの顔面を捉えた。
「それで……血抜きは終わってるみたいね」
「それだけはやっておいた方が良いと思って。でも、解体をしてたらモンスターがたくさん集まってくるかと」
血抜きを行っている時間にでさえモンスターが寄って来た。
幸いにも倒したことがあるモンスターだったので時間も手間も掛けずに倒すことに成功したが、解体は血抜き以上に時間が掛かる。
「良い判断ね。それじゃ、一緒に解体しましょうか。お肉は持って帰って家族と一緒に食べなさい」
「ありがとうございます!!」
リースに指導を受けていることについては既に両親に伝えている。
ただし、モンスターと戦っていることについてはまだ話していないので、返り血には少し気を付けている。
(クリーンがあるかそこら辺は大丈夫だけど……最悪魔力が切れたら血も匂いも消せないからな)
ティールにどのような能力を持っていたとしても、まだ十にもなっていない子供がモンスターと戦うのはやはり親としては心配する。
なのでまだそこは両親と兄に話せていない。
「拘束とウッドバインドで足を止めて、ウィンドランスで止めを刺したってところかしら?」
「そうですね。恐怖は感じてましたけど、とっさに先生が教えてくれた内容が思い浮かんだんで、直ぐに試しました。そしたら上手いこといきました」
「そう……もし、それが失敗したらどう反撃するつもりだったの?」
グレーグリズリーの陥った状況を考えれば九割強の確率でティールの攻撃を防ぐのは不可能だが、偶然体を捻ってウィンドランスを躱すことが出来たかもしれない。
そして即座にウィンドランスかウッドランスを放ったとしても、片腕を犠牲にして耐える可能性だってある。
そこまでいけば拘束した鎖も引き千切られ、グレーグリズリーが自由に動ける。
そんな最悪な状況に対してどう反撃するかを考える。
「……おそらく、グレーグリズリーには遠距離攻撃の手段が無いと思います。もしかしたら自分と同じく投擲を行えるかもしれないけど、頭に血が上ってそういう行動は取れないかと。なので身体強化と脚力強化を使って逃げながら毒液と酸を使って徐々に体力を削るのが一番ですかね?」
「そうね。中々良い案……というより、ティールの手札を考えるとそれが一番の倒し方ね」
戦った場所の木々はボロボロになるだろうが、それでも毒液や酸を使えばグレーグリズリーが隙を生み出す可能性も増え、攻撃魔法を無駄なく使用出来る。
(ただ、そうなった場合は魔力量が心配だけどな)
手札を多く持つティールだが、それでも魔力が無くなればスキルを発動出来ない。
まだまだ格上には不安が残るティールだった。
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