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番外編
番外編 初夜
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結婚式が終わった。
アリアやリデイン子爵家はもちろん、中央のお偉いさん達、貧困層時代の仲の良かった職場の同僚や、ギルバード領の領民達にも盛大に祝福され、まさに夢のような幸せなひと時だった。
だが『時間』とはある種残酷で、過ぎてしまえば無くなってしまう。
だから私は記憶として留める為にその一つ一つの瞬間を目に焼き付けた。
絶対に忘れる事の無いように、死ぬまで、いや、死んでも尚忘れる事のないように。
今日のこの日の記憶が私にとっての一生の宝物だ。
そして、夜も更けて……ついにこの時がやってきてしまった……。
――結婚初夜。
この身を、いよいよ旦那様に捧げる時がきたのだ。
本当に、私なんかでいいのだろうか?と、この期に及んでまだそんな事を考えてしまう。
お風呂ではメイド3人掛かりによる入念な洗身を受け、私はその間ずっと恥ずかしかった。
いくら同性とはいえ、この歳になって身体中の隅々を見られ、他人に洗われるのは本当に勘弁して欲しい。
ちなみにミリは私の身体を洗いながらずっとニヤニヤしてたけど、一体なんだったのだろう……。ちょっと気持ち悪かった。
「奥様、下着はどう致しましょうか?一応、奥様のイメージに合ったものを3枚、こちらで用意いたしました」
と、脱衣所で並べられた3枚の下着の中から好きなやつを選ぶようにメイドに促された。
各それぞれのデザインを以下の通りだ。
至ってノーマルなデザイン性の白色に、若々しく爽やかなデザインの水色。それと、エレガントでちょっぴりエロティックな黒色。
さて、どうしようか……。
まず、最初に候補から外れたのは水色。私はもう若くないし、爽やか系は遠慮しておこう。
そうなってくると、迷うのは白か黒だが……。
「じゃあ、これにしようかしら……」
悩んだ末に白にした。
お風呂で身を清めた後はドレスを着せられた。
あの、前に旦那様から買ってもらった白い生地に水色の花柄模様が刺繍で施されたやつだ。
「では、奥様!頑張って下さいね!」
ぽん!と、軽く背中を叩かれ、振り向くとそれはミリで、その表情はまるで緊張する私へ『気合いを入れろ!』と、励ますような握り拳も作っていた。
「……うん」
私は今、天蓋付きのベッドの上で旦那様が訪れるのを待っているところだ。
一本の蝋燭の火がゆらゆらと揺れ動き、そのオレンジ色の灯火が暗闇の部屋を悶々と照らしている。
ドクドクと、自分の心臓の音が大きく響いているのがよく分かる。そして身体も小刻みに震えている。
当たり前だ。
私のこれまでの人生において身体を許した事があるのはジョンのみ。
一体いつぶりだろうか……。
不安や恐怖心が心の中を席巻する中、ちょっぴり期待感もその中には混じっており、そして高揚感も……。
そんな張り裂けそうな己の胸に手をやって一人待っていると、
――ガチャ……
ノックは無く、ただ扉が開く音と共に誰かが入ってきたのだけが分かった。
私は天蓋のレースカーテンに隠れるように身を丸くした。
「……エミリア」
「……はい」
声のする方へ恐る恐る顔を上げると、そこにはオレンジ色の明かりに照らされた銀髪に、青く輝く2つの双眸がこちらを見つめていた。
「……とても綺麗だ。エミリア……」
「……あ、ありがとうございます」
ベッドの上で硬直する私に旦那様がゆっくりと、近く寄ってくる。
「大丈夫だエミリア。君の事は大事にする。だから恐がらなくていい……」
「……はい」
こうして、私は旦那様の愛に溺れていった……。
旦那様から受けた愛はものすごく優く、それでいて甘く蕩けるようなものだった。
最初は恥ずかしさと緊張でガチガチだった私を旦那様は優しくリードしてくれた。
そんな旦那の温もりに溶かされ、とても優しく、それでいて刺激的な初夜を過ごしたのだった。
アリアやリデイン子爵家はもちろん、中央のお偉いさん達、貧困層時代の仲の良かった職場の同僚や、ギルバード領の領民達にも盛大に祝福され、まさに夢のような幸せなひと時だった。
だが『時間』とはある種残酷で、過ぎてしまえば無くなってしまう。
だから私は記憶として留める為にその一つ一つの瞬間を目に焼き付けた。
絶対に忘れる事の無いように、死ぬまで、いや、死んでも尚忘れる事のないように。
今日のこの日の記憶が私にとっての一生の宝物だ。
そして、夜も更けて……ついにこの時がやってきてしまった……。
――結婚初夜。
この身を、いよいよ旦那様に捧げる時がきたのだ。
本当に、私なんかでいいのだろうか?と、この期に及んでまだそんな事を考えてしまう。
お風呂ではメイド3人掛かりによる入念な洗身を受け、私はその間ずっと恥ずかしかった。
いくら同性とはいえ、この歳になって身体中の隅々を見られ、他人に洗われるのは本当に勘弁して欲しい。
ちなみにミリは私の身体を洗いながらずっとニヤニヤしてたけど、一体なんだったのだろう……。ちょっと気持ち悪かった。
「奥様、下着はどう致しましょうか?一応、奥様のイメージに合ったものを3枚、こちらで用意いたしました」
と、脱衣所で並べられた3枚の下着の中から好きなやつを選ぶようにメイドに促された。
各それぞれのデザインを以下の通りだ。
至ってノーマルなデザイン性の白色に、若々しく爽やかなデザインの水色。それと、エレガントでちょっぴりエロティックな黒色。
さて、どうしようか……。
まず、最初に候補から外れたのは水色。私はもう若くないし、爽やか系は遠慮しておこう。
そうなってくると、迷うのは白か黒だが……。
「じゃあ、これにしようかしら……」
悩んだ末に白にした。
お風呂で身を清めた後はドレスを着せられた。
あの、前に旦那様から買ってもらった白い生地に水色の花柄模様が刺繍で施されたやつだ。
「では、奥様!頑張って下さいね!」
ぽん!と、軽く背中を叩かれ、振り向くとそれはミリで、その表情はまるで緊張する私へ『気合いを入れろ!』と、励ますような握り拳も作っていた。
「……うん」
私は今、天蓋付きのベッドの上で旦那様が訪れるのを待っているところだ。
一本の蝋燭の火がゆらゆらと揺れ動き、そのオレンジ色の灯火が暗闇の部屋を悶々と照らしている。
ドクドクと、自分の心臓の音が大きく響いているのがよく分かる。そして身体も小刻みに震えている。
当たり前だ。
私のこれまでの人生において身体を許した事があるのはジョンのみ。
一体いつぶりだろうか……。
不安や恐怖心が心の中を席巻する中、ちょっぴり期待感もその中には混じっており、そして高揚感も……。
そんな張り裂けそうな己の胸に手をやって一人待っていると、
――ガチャ……
ノックは無く、ただ扉が開く音と共に誰かが入ってきたのだけが分かった。
私は天蓋のレースカーテンに隠れるように身を丸くした。
「……エミリア」
「……はい」
声のする方へ恐る恐る顔を上げると、そこにはオレンジ色の明かりに照らされた銀髪に、青く輝く2つの双眸がこちらを見つめていた。
「……とても綺麗だ。エミリア……」
「……あ、ありがとうございます」
ベッドの上で硬直する私に旦那様がゆっくりと、近く寄ってくる。
「大丈夫だエミリア。君の事は大事にする。だから恐がらなくていい……」
「……はい」
こうして、私は旦那様の愛に溺れていった……。
旦那様から受けた愛はものすごく優く、それでいて甘く蕩けるようなものだった。
最初は恥ずかしさと緊張でガチガチだった私を旦那様は優しくリードしてくれた。
そんな旦那の温もりに溶かされ、とても優しく、それでいて刺激的な初夜を過ごしたのだった。
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