【完結】猫さんはアイを求めています

戦闘準備

報告の後、城の中は慌ただしく動き出した。

何せこの城に敵軍がつくまで1時間もない。何故こんなに近づかれるまで報告が上がってこないのか、恨み言を言いたくはなるが、何せ1時間だ。
やれることはほとんどない。

国防軍を急いで準備させ、隣国が攻めてくるであろう方向に向かわせる。
合わせて、ここが戦場になることは免れないだろうとの判断により、城周辺の住民の避難、非戦闘員の避難を進めた。

俺は非戦闘員なので積極的に避難させられた。
フォスター様は、今でこそ宰相として机に向かう仕事が主だが、幼い頃から剣を習っていたらしい。そのため、戦場にいった。

ノーチェは、志願して戦場に参加した。

「俺の兄が関わってるんだろ。兄の不始末は俺がつけてくる」

と決意を秘めた瞳で訴えられ、止めることはできなかった。



俺はただただ、彼らが無事に帰ってくることを祈ることしかできない。

せっかく転生者なのに、「ちーと」というものを持っていない自分が悔しかった。
力があれば、彼らの役に立てるのに。

神様、力をください。

思わず祈ってしまうが、もちろんかなうはずもない。
フォスター様は信心深い。きっと神は彼を守ってくれる。
今まで神様なんて信じたこともないのに、そんなことを思う。

神を信じる人の気持ちが分かったような気がした。