元負け組冒険者のセカンドライフ

セカンドライフ

サマギアの事情

　サマギアさんは修復した空き家に住む事になった。
「一応、王命だから定期的に国に報告しなければならないんだがそれでもいいか？」
「別に構いませんけど。」
「王都は私の管轄外だから全然良いよ。」
　まぁ、寂れた村の出来事に国も興味は無いだろう。
「あ、でも家族には連絡した方が良いんじゃ無いですか？　確か、奥さんと娘さんがいるんですよね？」
「あぁ～、実はな別れたんだよ。」
「へっ！？　あんなに仲良かったのにっ！？」
「そう思っていたのは俺だけみたいだった。元妻は無職になった俺を切り捨ててとある貴族の後妻に入ったんだよ。娘も元妻が連れてったよ。」
　うわぁ･･････。
　俺はサマギアさんののろけ話を聞いていたから理想だったんだが･･････、現実て非情で残酷だ。
　まぁ、冒険者自体が不安定な仕事で稼ぎが無い時もある。
　金色の塔は最低限の生活は保証してくれているのでギルドの中では優良である。
　それもサマギアさんが前ギルドで苦労していた経験を活かした事らしい。
　･･････それも今後どうなるかはわからないが。
　ブラックにならない事を祈る、もう俺には関係ない話だからな。
「まぁ、結婚はもういいな。これからは独身生活を楽しむ事にするよ。」
　そう言って苦笑いをするサマギアさん。
　内心は傷ついているんだろうなぁ、と思う。
「でも確か娘さんてギルドに所属してませんでしたか？」
「あぁ、俺の知り合いのギルドに所属しているが貴族令嬢になったんだからギルドは辞めさせられるだろうなぁ。まぁ、娘が幸せになるんだったら俺は問題ないよ。」
「娘さんてランクは？」
「Ａランクだ。俺が言うのもなんだが俺の血を引いて冒険者としての素質があるみたいでな、Ｓランクも目前だ。」
「だとしたら勿体無い話ですよね。」
「でも、元妻は娘の冒険者活動には反対していたからな。」
　娘さんがどう思っているかが問題だよな。
　この問題、意外とすぐに解決する事になる。
　サマギアさんがこの村に来て１週間後、娘さんがやって来て、この村で暮らす事になる･･････。