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夢破れて・・・・・・

見えない壁

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 俺はギルドから宿舎へと戻ってきた。
「ここともお別れか・・・・・・。」
 このギルドに来てからずっと住み続けていた部屋だ。
 ギルドを辞めた以上、当然、この部屋からも出ていかなければならない。
 少ない荷物を袋に入れた。
「結局、この部屋から移動出来なかったな。」
 冒険者としてのランクが上がればそれなりの部屋に引っ越す事が出きる。
 レイラとマイカルはとっくの昔に引っ越ししている。
 このギルドに所属した頃は一緒に共同生活をしていた。
 そもそも俺がこのギルドに所属出来たのもレイラ達のおかげだ。
 養成学校に入った俺達は冒険者として基本的な事を勉強した。
 ただ、レイラ達はレアスキルなので特殊な訓練を受けた。
 だから、入学当時からクラスが違いなかなか会う機会が出来なかった。
 でも、会えば話はするし昔みたいに一緒に食事もした。
 この関係は変わらない物だと俺は思っていた。
 そして、1年間の学生生活は終わり、ギルド配属となった。
 レイラ達は色んなギルドからスカウトを受け、その中から国内トップクラスの冒険者が集まる金色の塔に入る事を決めた。
 で、レイラ達の推薦で俺も所属する事になった。
 きっとレイラ達の幼馴染みだったら、物になるかもしれない、と思って許可してくれたんだろう。
 俺も『きっと何か特殊な力が眠っていていずれ覚醒するだろう!』と淡い期待を持っていた。
 今、考えてみたら本当に馬鹿だと思う。
 結論から言えば俺はいたって普通の冒険者だった。
 地道にコツコツと頑張りCランクまで来た。
 冒険者ランクは一番下がEで、最高はSランク。
 Cランクは普通の冒険者で、冒険者の中でも一番多い。
 そこから上に上がるのはかなり大変で大体、Cランク止まりで冒険者を辞めてしまう者が多かった。
 最初、レイラ達とパーティーを組み活動していたが二人の力を目の当たりにした時はショックだった。
 レイラの歌巫女は唄う事で魔物を大人しくさせたり、味方を強化させる事が出きる。
 マイカルの黄金騎士は騎士職の中では最高ランクにある。
 当然だが、レイラ達には特別な仕事が割り振られる様になり、俺とパーティーを組む事も無くなった。
 俺も頑張って依頼をこなしてきたけどレイラ達が結果を出して誉め称えられているのを見ると俺だけ置いてけぼりを喰らった様な気がして胸が苦しくなった。
 自然とだがレイラ達と話す事も無くなり顔も合わす事も無くなった。
 そして、今回の黒龍退治だ。
 龍狩りはギルドにとって名誉な事であり、特に黒龍は龍の中でも上位クラスの強敵だ。
 そいつを打ち負かした事はギルドにとっても国にとっても特別な事だ。
 多分、国から褒章を与えられるだろうし国の重要な戦力になるだろう。
 もう俺の居場所は此処には無い。
 3年という短い間だったけど、夢を見させて貰った。
 ・・・・・・悪夢だったけどな。
 明日には多分、レイラ達は戻ってくるだろう。
 その前に俺は王都から出ていく事にしよう。
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