とある元令嬢の選択

こうじ

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アメリア公爵令嬢②

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 それから1年後、アメリアは社交界デビューを果たす。

 デビューの場所となったのは王家主催のパーティーだった。

 王太子の婚約者としてアメリアは恥じない態度を取り王太子とのファーストダンスも上手く行った。

 はたから見れば相思相愛の仲に見える、実際この時はそうだった。

 しかし、社交界デビューは女同士の戦いの幕開けでもあった。

 お茶会等に呼ばれるようになったアメリアはそこで行われる他の令嬢達との一見笑顔で楽しむ様に見えてマウントの取り合いをするギスギスした空気が好きではなかった。

 次第にだがお茶会の誘いを少しずつだが断るようになった。

 断ると言っても勿論棘が無いように『忙しい』とやんわりとお断りの手紙を書いた。

 実際の話、この時のアメリアは忙しかったのだ。

 王妃教育も本格的にスタートしほぼ毎日城と自宅の往復の日々、自宅は自宅で家庭教師が待っていて自分の時間と言うのが全く無かった。

 そこにお茶会なんか入ったら倒れてしまう、アメリアにとっては同世代の友人を作るチャンスでもあったのだが泣く泣く諦める事にした。

 もしここでお茶会に参加していたら同世代の友人が出来ていたかもしれないし貴族社会から消える、なんて選択はしなかったかもしれない。

 更にこの時、アメリアを悩ます問題が起きた。

 王太子との仲である。

「最近、王太子様とはどうなんだ?」

 ある日の夕食、ロナウドから聞かれたアメリアは答えるのに躊躇した。

「えっと……、あの……、最近は王太子様とお話する時間が無くて……、王太子様はお友達との時間を優先したいみたいで……」

 この時のアメリアと王太子はすれ違いが始まったばかりだった。

 王太子はアメリアといるよりも友人達と遊びに行く様になっていた。

「そうか……、殿下にはもう少し王太子としての自覚を持っていただきたいな……」

「仕方がありません、そういう年頃ですから……」

「それはアメリアだって同じだろ? アメリアばかり我慢するのは不平等と言う物だ」

「そうですよね……、でも時間がないのは本当の話ですので」

「それもそうだな、国王にお話して時間を調節してもらおう」

 正直、父親の力を借りるのは申し訳無かったが、アメリアはまだ10歳である。

 素直に大人の力を頼る事にしたのだが残念ながら変化は無かった。

 これもアメリアが王家や貴族に不信感を抱く小さなきっかけになった。 
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