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1章
②
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「お、おはよ…」
俺が部屋を出てから風花も後を追うように、すぐに自分の部屋から出てきた。
まだ白い肌は赤く染まったままだった。
ここで俺はあることに気づく。
時計の針が八時半を指していた。予鈴が鳴るのはホームルーム十分前の八時半。今頃は学校周辺で予鈴のチャイムが鳴り響いている頃だろう。
俺が通う学校まで徒歩15分。走って10分切るくらいだろうか。
つまり、今から行って遅刻するかしないかの瀬戸際だ。
「ごめん風花!俺遅刻するからもう行く!鍵はテーブルの上に置いておくから」
「いってらっしゃ~い」
眠そうな風花に見送られ、俺は家を飛び出した。
「くそっ…久しぶりの学校で時間配分間違ったか?」
急げ、急げ…っ! これはまずいことになった。新学期早々遅刻はなんとしてでも避けたい。
休むこともなく走っていると坂の上に建てられた俺の通う高校──日坂高校が見えてきた。
走っているため揺れている視界で腕時計の時間を確認する。
「…っ!」
俺が遅刻になるまでは残り三分…急げば間に合うはずだ。
「もう少しだ…!」
───そして数分後。
俺は机に突っ伏していた。
「で?新学期初日早々、遅刻した気分はどうだ?」
「…いいわけないだろ」
「それにしても和人が遅刻なんて珍しいな。なんかあったか?」
「色々とあったんだよ」
美少女に朝から誘惑(?)されたなんて言えるわけがない。
そんなことが発覚したらクラスの男子から何をされることか。
「じゃあこれ以上は聞かないでおく。まあ、これからは俺を見習って遅刻なんかしないことだな」
「去年、散々遅刻してきた倫也の一体どこを見習えと!?」
倫也とは去年から同じクラスだったが去年はよく遅刻していた。加えて遅刻理由はどれもしょうもないものばかりだった。
「それはほら…ポジティブなところとか?」
「それは反省してないって言うんだよ」
「失礼だな。俺だって反省して寝坊する度に目覚ましの個数を増やしているんだからな」
「じゃあお前の部屋は今頃目覚まし時計で埋め尽くされてるな」
こうして俺の新学期は最悪の形でスタートした。
俺が部屋を出てから風花も後を追うように、すぐに自分の部屋から出てきた。
まだ白い肌は赤く染まったままだった。
ここで俺はあることに気づく。
時計の針が八時半を指していた。予鈴が鳴るのはホームルーム十分前の八時半。今頃は学校周辺で予鈴のチャイムが鳴り響いている頃だろう。
俺が通う学校まで徒歩15分。走って10分切るくらいだろうか。
つまり、今から行って遅刻するかしないかの瀬戸際だ。
「ごめん風花!俺遅刻するからもう行く!鍵はテーブルの上に置いておくから」
「いってらっしゃ~い」
眠そうな風花に見送られ、俺は家を飛び出した。
「くそっ…久しぶりの学校で時間配分間違ったか?」
急げ、急げ…っ! これはまずいことになった。新学期早々遅刻はなんとしてでも避けたい。
休むこともなく走っていると坂の上に建てられた俺の通う高校──日坂高校が見えてきた。
走っているため揺れている視界で腕時計の時間を確認する。
「…っ!」
俺が遅刻になるまでは残り三分…急げば間に合うはずだ。
「もう少しだ…!」
───そして数分後。
俺は机に突っ伏していた。
「で?新学期初日早々、遅刻した気分はどうだ?」
「…いいわけないだろ」
「それにしても和人が遅刻なんて珍しいな。なんかあったか?」
「色々とあったんだよ」
美少女に朝から誘惑(?)されたなんて言えるわけがない。
そんなことが発覚したらクラスの男子から何をされることか。
「じゃあこれ以上は聞かないでおく。まあ、これからは俺を見習って遅刻なんかしないことだな」
「去年、散々遅刻してきた倫也の一体どこを見習えと!?」
倫也とは去年から同じクラスだったが去年はよく遅刻していた。加えて遅刻理由はどれもしょうもないものばかりだった。
「それはほら…ポジティブなところとか?」
「それは反省してないって言うんだよ」
「失礼だな。俺だって反省して寝坊する度に目覚ましの個数を増やしているんだからな」
「じゃあお前の部屋は今頃目覚まし時計で埋め尽くされてるな」
こうして俺の新学期は最悪の形でスタートした。
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