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そして銀の竜は星と踊る
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狩猟祭は、イーズが想像していたより盛大で、華やかだった。
招かれているのは主だった家臣たちだ。その妻たちも一緒に招待されている。男たちはそれぞれ自慢の狩猟犬を連れ、その優劣を競うが、女たちはうつくしく着飾って、その華美さを競っていた。貴婦人たちのために、花とテーブルとお茶とお菓子が用意されており、狩猟場にはのんびりとした雰囲気が漂っていた。
「……拍子抜けしちゃった」
「私もです」
イーズとシャールは、動きやすさを重視した簡素な服に着替えていた。片手に弓を提げ、緊張に身を引き締めている二人は、のびやかな会場に不釣合いだった。
「シグラッド兄さん、見てよ。この新しい弓と矢。特別製だから、今までのと飛距離が全然違うんだよ」
呆然としていると、甘ったるく甲高い声が聞こえた。ブレーデンだ。家臣たちに声をかけるシグラッドにまとわりつき、新しい弓を見せびらかしている。装飾の凝った弓だったが、バランスもよく、シャールが興味深そうにした。
「乗り気でないようだったのに。やる気満々だな、アルカ」
「こんなにのんびりしたものだと思ってなかったんだよ」
シグラッドがかじりかけの果物を渡してきた。イーズは躊躇してから、果物に口をつける。人々の好奇の視線が集中していた。人が食べたものに口をつけることは拘らないが、じろじろ見られるのが気になって、イーズは食べづらかった。
「それがアルカの弓か」
「国を旅立つときに、弓作りの名人さんが作ってくれたんだ」
イーズは弓を射るマネをした。地味だが、身体にあわせて作られているので、とても使いやすい。しかし、ブレーデンは怪訝そうにした。
「そんなので、飛ぶの?」
「あそこの木くらいまでは飛ぶ……かな」
イーズが少しはなれたところにある木を指差すと、口をへの字の曲げられた。競争心をかきたてられているらしい、敵意があらわれている。
「ブレーデンの新しい弓とアルカの弓、どっちが優秀か試してみるか」
皇帝の提案に、イーズは尻込みしたが、ブレーデンは乗り気だった。いいよ、と鼻息荒く返事をする。
「あの木の幹に円を描く。より正確に中央を射た方が勝ちだ」
「シグ、弓とか剣とか、私、苦手で。ニールゲンに来てからほとんど触ってないし」
「でも、今日のために、そこの護衛と練習していただろう。アルカは謙遜が過ぎるんだ。――さあ、立ち位置はここ。いいな」
「兄さん、勝ったら何くれる?」
「勝った方には、これをやる」
シグラッドは胸につけていたルビーの飾りピンを指差した。白い筋の入った珍しいルビーで、ブレーデンが目を輝かせる。
「僕からやる!」
家臣の一人が木の幹に円を描くと、ブレーデンがさっそく矢を一本取った。弓に番え、放つ。矢は中央よりやや下に命中し、周囲から拍手が湧いた。
「さあ、次はアルカの番だな」
シグラッドが楽しそうに、次を促す。ブレーデンはふふん、と笑いながら、自分の立っていた場所をイーズに譲った。会場の人々の視線が、ティルギスからやってきた少女に集中した。イーズは重い足取りで、決められた位置に立つ。弓を構えた。
「……」
視界の端に、クノルの姿を見つけた。勝負を微笑ましそうに眺めているが、目は笑っていない。イーズは唇を噛んだ。
「――やった! 僕の勝ちだ」
イーズの矢は、ブレーデンのさらに下に刺さった。ブレーデンは飛び上がって喜び、兄に褒賞であるルビーをねだる。イーズは負けちゃった、と残念そうにしながら、その場を退いた。
「ごめん、シャール。せっかく特訓してくれたのに。皆がいると、緊張しちゃって」
「いえ……それはかまわないのですけれど」
シャールは二本の矢が刺さった木を見やった。残念そうに、ではなく、不審そうに。
「わざと外しただろう」
怒りのこもった声に、イーズはびくっと背筋を震わせた。振り返ると、皇帝が表情を険しくして立っていた。
「最初に狙いを定めたとき、ちゃんと中央を捉えてたのに、それから少し下向けた」
「そんなことない……よ」
イーズは小さな声で否定したが、そのまま口ごもった。その通りだったからだ。宝石はいらなかったし、勝ってブレーデンにやっかみを買うくらいなら、負けた方がいいと思って、わざと外したのだ。
頭に、この間の悪趣味な贈り物のことがちらつく。真っ赤なバラバラの人形。目立つと危険だと、本能が警鐘を鳴らす。
「あの宝石、アルカにやろうと思って、せっかく用意してきたのに」
「ご……ごめん」
謝るが、当然、シグラッドの怒りは収まらなかった。ブレーデンに袖を引っ張られて去っていく皇帝を見送り、イーズはうなだれる。
「そのうち、機嫌を直されますよ」
シャールはしょんぼりしている主人の背に、そっと手を添えた。
やがて、角笛の合図と共に、狩りがはじまった。イーズは気まずさを感じながら、狩りをする男たちの中に混じった。シャールも一緒だ。女は二人だけなので、嫌でも注目を浴びた。
「君なんていても、足手まといじゃないの?」
ブレーデンが胸にルビーの飾りピンを留め、バカにしたように笑う。ブレーデンと同じ年頃の子供たちも薄ら笑いを浮かべていた。イーズは黙って革の手袋をはめ直す。大人たちは大人たちで固まり、同じ年頃の子供たちはブレーデンかシグラッドのところに群れている。居辛い雰囲気だった。
「さっきは残念でしたわね。もう少し上だったら、勝てましたのに」
甘い香りと共に、少女が一人、イーズのそばへやってきた。垂れぎみの大きな目が愛らしい少女だ。布地をふんだんに使ったピンク色のドレスを着ており、ほんのり赤みを帯びた肌によく似合っている。ニールゲン語が少しあやしく、この国の人間ではないようだった。
「あなた、ずいぶん気に入られているのね。そんな肌と目の色だってことは、異国の子でしょう? なのに、陛下のおそばにお仕えしていて、しかもブレーデン殿下と勝負させてもらえるなんて」
少女はにこにこと、無邪気に話しかけてくる。長い髪を帽子の中にしまい、男装し、片手に弓まで持っているティルギスの王女は、返答に窮した。小姓か何かと誤解されている。
「ね、陛下はどんな女の子が好きなのか、ご存知?」
「す、好き?」
「だって、将来夫になるかもしれない方が、どんな子が好みか、知っておきたいじゃない」
少女の指で紋章の彫られた指輪が光った。この少女が、前にクノルがいっていた隣国クリムトの王女なのだろう。二番目の妃候補だという、ローラ姫。
「あ――っていっても、本当にまだ先の話なのよ。今回はただのお客だから。でも、今からこんな子が旦那さんになったら幸せだなって、勝手に思っているの」
イーズの沈黙をどうとったのか、ローラは恥ずかしそうに告白した。シャールが言いにくそうに、誤解を解こうとしたが、イーズが制した。といっても、イーズも何か対策があって止めたわけではない。単にシグラッドの婚約者だと名乗る勇気がなかっただけだ。
「陛下はこういうブローチはお好きかしら? さっき、ブレーデン殿下にピンを下賜なされたでしょう? だから、これを差し上げようと思うのだけれど」
ローラはいそいそと、自分の胸からカメオのブローチを外す。ローラの腕に下がった籠から、甘い香りがただよった。狩猟祭では、男は狩りをし、女は狩りを見物しながら花を摘んだりする。籠には秋の花がいっぱいに集められていた。
「ニールゲンは、よい方たちばかりね。会う方会う方、皆、わたくしに花をくださいましたの。おかげでこんなにたくさん」
「き、気に入っていただけて、嬉しいです」
「陛下にもこんなに立派な花を頂いて。とっても綺麗。今日獲れた獲物はわたくしに下さるって約束もしてくださいましたの」
ローラはうっとりと、贈られた大輪の花に顔を寄せる。この狩猟祭で取れた獲物は、妻や恋人に贈られるのが慣わしだ。ついでにいえば、花も一輪は男が贈るのが慣わしだ。自ら弓を取り、狩りに参加しているイーズは、ますます窮地に追い込まれていく感じがした。
「陛下、受け取ってくださるかしら? どう思う? 一緒に渡しに行ってくださらない? 陛下の御前に出ると、緊張してしまって」
「え……っと」
王女にすがりつかれ、イーズは目を泳がせた。ぷっ、と吹き出す声が耳に届く。ブレーデンたちが腹を抱えていた。最初からずっと見ていたのだろう、イーズを指差し、肩を震わせて必死に笑いを堪えている。ローラはきょとんと、ブレーデンとイーズを見比べた。イーズは頬を赤くする。
「……の、すみません。少し、これから用があるので。失礼します。ごめんなさい」
「あっ」
イーズは帽子を深くかぶって、早足にその場をはなれた。げらげらと笑い声が響いて、耳に障る。何も悪いことはしていないのに、逃げるように去る自分が、惨めで恥ずかしかった。
招かれているのは主だった家臣たちだ。その妻たちも一緒に招待されている。男たちはそれぞれ自慢の狩猟犬を連れ、その優劣を競うが、女たちはうつくしく着飾って、その華美さを競っていた。貴婦人たちのために、花とテーブルとお茶とお菓子が用意されており、狩猟場にはのんびりとした雰囲気が漂っていた。
「……拍子抜けしちゃった」
「私もです」
イーズとシャールは、動きやすさを重視した簡素な服に着替えていた。片手に弓を提げ、緊張に身を引き締めている二人は、のびやかな会場に不釣合いだった。
「シグラッド兄さん、見てよ。この新しい弓と矢。特別製だから、今までのと飛距離が全然違うんだよ」
呆然としていると、甘ったるく甲高い声が聞こえた。ブレーデンだ。家臣たちに声をかけるシグラッドにまとわりつき、新しい弓を見せびらかしている。装飾の凝った弓だったが、バランスもよく、シャールが興味深そうにした。
「乗り気でないようだったのに。やる気満々だな、アルカ」
「こんなにのんびりしたものだと思ってなかったんだよ」
シグラッドがかじりかけの果物を渡してきた。イーズは躊躇してから、果物に口をつける。人々の好奇の視線が集中していた。人が食べたものに口をつけることは拘らないが、じろじろ見られるのが気になって、イーズは食べづらかった。
「それがアルカの弓か」
「国を旅立つときに、弓作りの名人さんが作ってくれたんだ」
イーズは弓を射るマネをした。地味だが、身体にあわせて作られているので、とても使いやすい。しかし、ブレーデンは怪訝そうにした。
「そんなので、飛ぶの?」
「あそこの木くらいまでは飛ぶ……かな」
イーズが少しはなれたところにある木を指差すと、口をへの字の曲げられた。競争心をかきたてられているらしい、敵意があらわれている。
「ブレーデンの新しい弓とアルカの弓、どっちが優秀か試してみるか」
皇帝の提案に、イーズは尻込みしたが、ブレーデンは乗り気だった。いいよ、と鼻息荒く返事をする。
「あの木の幹に円を描く。より正確に中央を射た方が勝ちだ」
「シグ、弓とか剣とか、私、苦手で。ニールゲンに来てからほとんど触ってないし」
「でも、今日のために、そこの護衛と練習していただろう。アルカは謙遜が過ぎるんだ。――さあ、立ち位置はここ。いいな」
「兄さん、勝ったら何くれる?」
「勝った方には、これをやる」
シグラッドは胸につけていたルビーの飾りピンを指差した。白い筋の入った珍しいルビーで、ブレーデンが目を輝かせる。
「僕からやる!」
家臣の一人が木の幹に円を描くと、ブレーデンがさっそく矢を一本取った。弓に番え、放つ。矢は中央よりやや下に命中し、周囲から拍手が湧いた。
「さあ、次はアルカの番だな」
シグラッドが楽しそうに、次を促す。ブレーデンはふふん、と笑いながら、自分の立っていた場所をイーズに譲った。会場の人々の視線が、ティルギスからやってきた少女に集中した。イーズは重い足取りで、決められた位置に立つ。弓を構えた。
「……」
視界の端に、クノルの姿を見つけた。勝負を微笑ましそうに眺めているが、目は笑っていない。イーズは唇を噛んだ。
「――やった! 僕の勝ちだ」
イーズの矢は、ブレーデンのさらに下に刺さった。ブレーデンは飛び上がって喜び、兄に褒賞であるルビーをねだる。イーズは負けちゃった、と残念そうにしながら、その場を退いた。
「ごめん、シャール。せっかく特訓してくれたのに。皆がいると、緊張しちゃって」
「いえ……それはかまわないのですけれど」
シャールは二本の矢が刺さった木を見やった。残念そうに、ではなく、不審そうに。
「わざと外しただろう」
怒りのこもった声に、イーズはびくっと背筋を震わせた。振り返ると、皇帝が表情を険しくして立っていた。
「最初に狙いを定めたとき、ちゃんと中央を捉えてたのに、それから少し下向けた」
「そんなことない……よ」
イーズは小さな声で否定したが、そのまま口ごもった。その通りだったからだ。宝石はいらなかったし、勝ってブレーデンにやっかみを買うくらいなら、負けた方がいいと思って、わざと外したのだ。
頭に、この間の悪趣味な贈り物のことがちらつく。真っ赤なバラバラの人形。目立つと危険だと、本能が警鐘を鳴らす。
「あの宝石、アルカにやろうと思って、せっかく用意してきたのに」
「ご……ごめん」
謝るが、当然、シグラッドの怒りは収まらなかった。ブレーデンに袖を引っ張られて去っていく皇帝を見送り、イーズはうなだれる。
「そのうち、機嫌を直されますよ」
シャールはしょんぼりしている主人の背に、そっと手を添えた。
やがて、角笛の合図と共に、狩りがはじまった。イーズは気まずさを感じながら、狩りをする男たちの中に混じった。シャールも一緒だ。女は二人だけなので、嫌でも注目を浴びた。
「君なんていても、足手まといじゃないの?」
ブレーデンが胸にルビーの飾りピンを留め、バカにしたように笑う。ブレーデンと同じ年頃の子供たちも薄ら笑いを浮かべていた。イーズは黙って革の手袋をはめ直す。大人たちは大人たちで固まり、同じ年頃の子供たちはブレーデンかシグラッドのところに群れている。居辛い雰囲気だった。
「さっきは残念でしたわね。もう少し上だったら、勝てましたのに」
甘い香りと共に、少女が一人、イーズのそばへやってきた。垂れぎみの大きな目が愛らしい少女だ。布地をふんだんに使ったピンク色のドレスを着ており、ほんのり赤みを帯びた肌によく似合っている。ニールゲン語が少しあやしく、この国の人間ではないようだった。
「あなた、ずいぶん気に入られているのね。そんな肌と目の色だってことは、異国の子でしょう? なのに、陛下のおそばにお仕えしていて、しかもブレーデン殿下と勝負させてもらえるなんて」
少女はにこにこと、無邪気に話しかけてくる。長い髪を帽子の中にしまい、男装し、片手に弓まで持っているティルギスの王女は、返答に窮した。小姓か何かと誤解されている。
「ね、陛下はどんな女の子が好きなのか、ご存知?」
「す、好き?」
「だって、将来夫になるかもしれない方が、どんな子が好みか、知っておきたいじゃない」
少女の指で紋章の彫られた指輪が光った。この少女が、前にクノルがいっていた隣国クリムトの王女なのだろう。二番目の妃候補だという、ローラ姫。
「あ――っていっても、本当にまだ先の話なのよ。今回はただのお客だから。でも、今からこんな子が旦那さんになったら幸せだなって、勝手に思っているの」
イーズの沈黙をどうとったのか、ローラは恥ずかしそうに告白した。シャールが言いにくそうに、誤解を解こうとしたが、イーズが制した。といっても、イーズも何か対策があって止めたわけではない。単にシグラッドの婚約者だと名乗る勇気がなかっただけだ。
「陛下はこういうブローチはお好きかしら? さっき、ブレーデン殿下にピンを下賜なされたでしょう? だから、これを差し上げようと思うのだけれど」
ローラはいそいそと、自分の胸からカメオのブローチを外す。ローラの腕に下がった籠から、甘い香りがただよった。狩猟祭では、男は狩りをし、女は狩りを見物しながら花を摘んだりする。籠には秋の花がいっぱいに集められていた。
「ニールゲンは、よい方たちばかりね。会う方会う方、皆、わたくしに花をくださいましたの。おかげでこんなにたくさん」
「き、気に入っていただけて、嬉しいです」
「陛下にもこんなに立派な花を頂いて。とっても綺麗。今日獲れた獲物はわたくしに下さるって約束もしてくださいましたの」
ローラはうっとりと、贈られた大輪の花に顔を寄せる。この狩猟祭で取れた獲物は、妻や恋人に贈られるのが慣わしだ。ついでにいえば、花も一輪は男が贈るのが慣わしだ。自ら弓を取り、狩りに参加しているイーズは、ますます窮地に追い込まれていく感じがした。
「陛下、受け取ってくださるかしら? どう思う? 一緒に渡しに行ってくださらない? 陛下の御前に出ると、緊張してしまって」
「え……っと」
王女にすがりつかれ、イーズは目を泳がせた。ぷっ、と吹き出す声が耳に届く。ブレーデンたちが腹を抱えていた。最初からずっと見ていたのだろう、イーズを指差し、肩を震わせて必死に笑いを堪えている。ローラはきょとんと、ブレーデンとイーズを見比べた。イーズは頬を赤くする。
「……の、すみません。少し、これから用があるので。失礼します。ごめんなさい」
「あっ」
イーズは帽子を深くかぶって、早足にその場をはなれた。げらげらと笑い声が響いて、耳に障る。何も悪いことはしていないのに、逃げるように去る自分が、惨めで恥ずかしかった。
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**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
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ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
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