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憧れの人
睡魔との戦い
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麗香さんが倒れたって聞いて、代わりに私が憑かれて。除霊に失敗して、入られて。結局私を攻撃してたのは影山さんで、でも彼の後ろには日比谷もいて……。
だめだ、頭がぐちゃぐちゃだ。
なんて慌ただしかったんだろう。私は夜は寝るようにみんな調整してくれていたのに、眠気がすごい。きっと九条さんも伊藤さんもほとんど寝ていないはずだ、全員疲労困憊。
ふうと息を吐いて目を閉じた。
怖かった。今までの中でも最高に。
こうも命の危機を感じたのは流石に初めてだったから仕方ない。でも同時に、どこか心の中が満たされているのを感じた。
私のために必死になってくれる人たちの存在、それから、自分がそんな人たちのために生きたいと強く思えた。この一年で、私はここまで変われた。
感謝してもしきれないんだ。
「みんなのおかげだ。ここに……きて、よかったなあ」
一気に押し寄せる眠気と戦いながら、私はそう囁いた。
ふと目が開いた時、一瞬ここがどこだかわからなかった。随分と熟睡してしまっていたらしい。
眠気との戦いは私の負けだったようだ。のそっと頭を起こしてみると、向かいのソファに九条さんが座っているのが視界に入った。はっとして勢いよく起き上がる。
「く、九条さん! すみません、私寝てましたね!?」
彼はソファに座ったまま、何かを考え込むようにぼんやりと窓の外を見ていた。そして私の声に反応し、ゆっくりとこちらを見る。
外は暗くなっている。時計を見てみれば、一時間ほど眠ってしまっていたようだ。
「ああ、おはようございます」
「起こしてくれればよかったのに! すみません、待っててくれたんですね」
慌てて起き上がってみると、体に毛布が掛かっていた。九条さんが掛けてくれたのか、と気づき、すこし胸が弾んでしまう。
私はそんな自分を隠すように、毛布を畳みながら言った。
「お待たせしてすみません、ほんと。気がついたら寝てしまってて」
「疲れが出たんでしょう、当然のことです」
「そんな、私はちゃんと眠らせてもらってたのに。九条さんたちこそ、まともに寝てないですよね? なのに私一人ぐうぐうと」
「危機が迫っていたあなたの心労は計り知れませんから。お疲れ様でした」
そう言って彼が微笑む。私も釣られて笑い返した。
帰りの支度をしようと思っていると、九条さんが無言で立ち上がり、そのままこちら側へ回り込んだ。そして、私の隣に腰掛ける。たったそれだけのことで、大きく胸が鳴った。わざわざ隣に座り直すなんて、どうしたんだろう。
彼は何も言わず、どこかまっすぐ前を見ていた。私は沈黙に耐えられず、こちらから口を開く。
「本当に解決してよかったです。九条さんたちにはどうお礼を言えばいいのか分かりません」
「お礼を言われるようなことは何もしていません」
「後味がいいとは言えないけど、私は助かったし、これで次の被害者が出ることもない。そこは素直に喜びたいんです。影山さんのこと、九条さんが気づいてくれたから」
「いいえ、彼をそそのかしていたのが日比谷本人だったことまで考えませんでした。すみません、あなたを危険な目にあわせた。もし、麗香が来てくれなかったらと思うと」
だめだ、頭がぐちゃぐちゃだ。
なんて慌ただしかったんだろう。私は夜は寝るようにみんな調整してくれていたのに、眠気がすごい。きっと九条さんも伊藤さんもほとんど寝ていないはずだ、全員疲労困憊。
ふうと息を吐いて目を閉じた。
怖かった。今までの中でも最高に。
こうも命の危機を感じたのは流石に初めてだったから仕方ない。でも同時に、どこか心の中が満たされているのを感じた。
私のために必死になってくれる人たちの存在、それから、自分がそんな人たちのために生きたいと強く思えた。この一年で、私はここまで変われた。
感謝してもしきれないんだ。
「みんなのおかげだ。ここに……きて、よかったなあ」
一気に押し寄せる眠気と戦いながら、私はそう囁いた。
ふと目が開いた時、一瞬ここがどこだかわからなかった。随分と熟睡してしまっていたらしい。
眠気との戦いは私の負けだったようだ。のそっと頭を起こしてみると、向かいのソファに九条さんが座っているのが視界に入った。はっとして勢いよく起き上がる。
「く、九条さん! すみません、私寝てましたね!?」
彼はソファに座ったまま、何かを考え込むようにぼんやりと窓の外を見ていた。そして私の声に反応し、ゆっくりとこちらを見る。
外は暗くなっている。時計を見てみれば、一時間ほど眠ってしまっていたようだ。
「ああ、おはようございます」
「起こしてくれればよかったのに! すみません、待っててくれたんですね」
慌てて起き上がってみると、体に毛布が掛かっていた。九条さんが掛けてくれたのか、と気づき、すこし胸が弾んでしまう。
私はそんな自分を隠すように、毛布を畳みながら言った。
「お待たせしてすみません、ほんと。気がついたら寝てしまってて」
「疲れが出たんでしょう、当然のことです」
「そんな、私はちゃんと眠らせてもらってたのに。九条さんたちこそ、まともに寝てないですよね? なのに私一人ぐうぐうと」
「危機が迫っていたあなたの心労は計り知れませんから。お疲れ様でした」
そう言って彼が微笑む。私も釣られて笑い返した。
帰りの支度をしようと思っていると、九条さんが無言で立ち上がり、そのままこちら側へ回り込んだ。そして、私の隣に腰掛ける。たったそれだけのことで、大きく胸が鳴った。わざわざ隣に座り直すなんて、どうしたんだろう。
彼は何も言わず、どこかまっすぐ前を見ていた。私は沈黙に耐えられず、こちらから口を開く。
「本当に解決してよかったです。九条さんたちにはどうお礼を言えばいいのか分かりません」
「お礼を言われるようなことは何もしていません」
「後味がいいとは言えないけど、私は助かったし、これで次の被害者が出ることもない。そこは素直に喜びたいんです。影山さんのこと、九条さんが気づいてくれたから」
「いいえ、彼をそそのかしていたのが日比谷本人だったことまで考えませんでした。すみません、あなたを危険な目にあわせた。もし、麗香が来てくれなかったらと思うと」
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