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ああ、恐ろしい。
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そんな私に気が付いたのか、玲が耳打ちしてくる。
「母親がいなくなった子供みたいな顔すんな」
「圭吾さんがお母さんだったらよかった」
「馬鹿かよ。ほら、行くぞ」
スリッパに履き替え、広々とした廊下を通る。玲の高級マンションも凄いと思ってたけど、さすが実家はレベルが違うなあ。迷子にならないようにせねば。
そのままダイニングと思われる場所に辿り着いた時、私と玲は一瞬足を止めた。そこには想像していない画があったからだ。
「ああ、玲、やっと来たの」
不愛想にそう言ったお義母さんの隣りに、見覚えのある顔があったからだ。
「あ、玲さーん。お邪魔してまーす!」
メロンを揺らしながら、彼女は笑った。
ぽかんとした。なぜ、なぜ楓さんがいるんだ?
ダイニングテーブルには、お義父さん、その向かいにお義母さん、そして隣にぴったり楓さんが座っていたのだ。家族で食事ということではなかったのか? もう婚約者でもない楓さんがどうしているのだろう。
玲は手で顔を覆ってため息を漏らした。
「なんで楓さんがいるんだ」
「あら、あなたの都合で勝手に婚約をなしにした彼女には、精一杯誠意を持って接してもらわなくては。そうでなくても、彼女は私と仲のいい友人のようなものですから」
「お母様、友人だなんて嬉しいです!」
「あなたは気が効くし家柄も問題ないし、玲の結婚相手にぴったりだったんですけどねえ」
二人は同時に私を見上げた。鋭い目が四つ、私を突き刺す。
ああ、そうですか、そう来ますか。私はピクピクと頬が引きつっていた。
結婚に反対されるのは分かり切っていたからいい。でも、これ見よがしに元婚約者を連れてきて顔合わせをするだなんて、あまりに悪意の塊ではないか? 玲が私を結婚相手に選んだ理由をここに来て痛感した。こりゃ普通の女なら耐えられない、泣いて帰ってしまうだろう。特に、玲の事を本当に好きで結婚した女ならば。
だが生憎、私が結婚したのは玲が好きだからではなく、三千万のためなのだ。この前のパーティーではちょっと落ち込んだ瞬間もあったけど、今回はそうはいかない。今日は周りの目もないし、玲から戦えとの許可が下りている。先日、玲から褒めてもらったことで、私は自信を手に入れたのだから。
こんな出迎え方、むしろ燃えるってもんよ!
「母さん、楓さんは今日は帰ってもら」
「いいよ、玲」
玲を手で止める。そして私は余裕綽々の笑顔をにっこり浮かべたのだ。
泣いたり困ったりすると思いましたかお義母さん? あなたの計算通りにはいきませんよ、このまま食事と行こうじゃないか。
「楓さん! もう一度会いたいと思っていたんです!」
「へ」
私は声を弾ませて言った。あっちは目を丸くしている。
「だって楓さんとっても可愛らしいし完璧な女性だろうから勉強させて頂きたくて。ああ、また会えたなんて嬉しいです。お義母さま、ありがとうございます!」
私の反応に、二人は分かりやすく目を泳がせた。そしてお義母さんは一度咳ばらいをすると、次にこういった。
「あなたにお義母さまと呼ばれるのは」
「あ! じゃあ何にしましょう、ママ派ですか? いっその事マミーとかにしますか?」
「は?」
「呼び方を指定してください。私はそれに従いますよ」
マミーは頬をぴくッとさせた。そして私から視線を逸らし、冷たい声で言った。
「まあ、とりあえずはお義母さまでもいいでしょう、いつまで使えるか分かりませんから」
「分かりました! ええ、いつでも呼び方変えてもいいですよ。変えてみたいときはおっしゃってくださいね」
私の元気いっぱいの対応を見て、隣の玲が小さく笑った。それをお義母さんは睨みつけている。ずっと黙っていたお義父さんが流れを切って声を上げた。
「とりあえずお前たちも座りなさい。この前はゆっくりお話できなかったからね、今日は玲たちと話そうと決めたじゃないか」
促され、玲はお義父さんの隣りに、そして私はその玲の隣りに腰かけた。正面に敵意に満ちた女二人の顔がある。ああ、恐ろしい。
「母親がいなくなった子供みたいな顔すんな」
「圭吾さんがお母さんだったらよかった」
「馬鹿かよ。ほら、行くぞ」
スリッパに履き替え、広々とした廊下を通る。玲の高級マンションも凄いと思ってたけど、さすが実家はレベルが違うなあ。迷子にならないようにせねば。
そのままダイニングと思われる場所に辿り着いた時、私と玲は一瞬足を止めた。そこには想像していない画があったからだ。
「ああ、玲、やっと来たの」
不愛想にそう言ったお義母さんの隣りに、見覚えのある顔があったからだ。
「あ、玲さーん。お邪魔してまーす!」
メロンを揺らしながら、彼女は笑った。
ぽかんとした。なぜ、なぜ楓さんがいるんだ?
ダイニングテーブルには、お義父さん、その向かいにお義母さん、そして隣にぴったり楓さんが座っていたのだ。家族で食事ということではなかったのか? もう婚約者でもない楓さんがどうしているのだろう。
玲は手で顔を覆ってため息を漏らした。
「なんで楓さんがいるんだ」
「あら、あなたの都合で勝手に婚約をなしにした彼女には、精一杯誠意を持って接してもらわなくては。そうでなくても、彼女は私と仲のいい友人のようなものですから」
「お母様、友人だなんて嬉しいです!」
「あなたは気が効くし家柄も問題ないし、玲の結婚相手にぴったりだったんですけどねえ」
二人は同時に私を見上げた。鋭い目が四つ、私を突き刺す。
ああ、そうですか、そう来ますか。私はピクピクと頬が引きつっていた。
結婚に反対されるのは分かり切っていたからいい。でも、これ見よがしに元婚約者を連れてきて顔合わせをするだなんて、あまりに悪意の塊ではないか? 玲が私を結婚相手に選んだ理由をここに来て痛感した。こりゃ普通の女なら耐えられない、泣いて帰ってしまうだろう。特に、玲の事を本当に好きで結婚した女ならば。
だが生憎、私が結婚したのは玲が好きだからではなく、三千万のためなのだ。この前のパーティーではちょっと落ち込んだ瞬間もあったけど、今回はそうはいかない。今日は周りの目もないし、玲から戦えとの許可が下りている。先日、玲から褒めてもらったことで、私は自信を手に入れたのだから。
こんな出迎え方、むしろ燃えるってもんよ!
「母さん、楓さんは今日は帰ってもら」
「いいよ、玲」
玲を手で止める。そして私は余裕綽々の笑顔をにっこり浮かべたのだ。
泣いたり困ったりすると思いましたかお義母さん? あなたの計算通りにはいきませんよ、このまま食事と行こうじゃないか。
「楓さん! もう一度会いたいと思っていたんです!」
「へ」
私は声を弾ませて言った。あっちは目を丸くしている。
「だって楓さんとっても可愛らしいし完璧な女性だろうから勉強させて頂きたくて。ああ、また会えたなんて嬉しいです。お義母さま、ありがとうございます!」
私の反応に、二人は分かりやすく目を泳がせた。そしてお義母さんは一度咳ばらいをすると、次にこういった。
「あなたにお義母さまと呼ばれるのは」
「あ! じゃあ何にしましょう、ママ派ですか? いっその事マミーとかにしますか?」
「は?」
「呼び方を指定してください。私はそれに従いますよ」
マミーは頬をぴくッとさせた。そして私から視線を逸らし、冷たい声で言った。
「まあ、とりあえずはお義母さまでもいいでしょう、いつまで使えるか分かりませんから」
「分かりました! ええ、いつでも呼び方変えてもいいですよ。変えてみたいときはおっしゃってくださいね」
私の元気いっぱいの対応を見て、隣の玲が小さく笑った。それをお義母さんは睨みつけている。ずっと黙っていたお義父さんが流れを切って声を上げた。
「とりあえずお前たちも座りなさい。この前はゆっくりお話できなかったからね、今日は玲たちと話そうと決めたじゃないか」
促され、玲はお義父さんの隣りに、そして私はその玲の隣りに腰かけた。正面に敵意に満ちた女二人の顔がある。ああ、恐ろしい。
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