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柊一さんはポリポリと頬を掻きながら言う。
「そっか、まだ早いか。緊張する期間が長いと可哀そうだから、早く終わらしちゃえって思ったんだけど」
それを聞いてなるほど、柊一さんは柊一さんなりに気をつかってくれたということが分かった。確かに、『〇日後に幽霊見に行きます!』って言われたら、当日までドキドキしちゃうよなあ。
いっそ今日すべて終わらせた方がすっきりするのかもしれない。女は度胸、だ。
私は決心して一度紅茶を飲むと、二人に言った。
「分かりました! 柊一さんの言うことも一理あるので、今日このまま行っちゃおうと思います。返事は早い方がいいですよね。行きましょう、今夜!」
それを聞いて、暁人さんは驚き、柊一さんはにっこり笑った。
「度胸があるね。じゃあ夕飯食べていかない? お腹いっぱいになってから行こうよ、まだ外も少し明るいしね。メニュー見せて~……ううん、僕こういうおしゃれすぎるご飯って好きじゃないんだよね。しょうがないかあ、ハンバーグセットにしよう」
のほほんと一人で夕飯を決めだしている。そんなマイペースな彼をおいて、暁人さんが心配そうに言ってきた。
「本当に大丈夫ですか? 無理なさらないで下さい、女性を遅くまで連れまわすのもどうかと思いますし。でももちろん、早く終わらせたい気持ちも分かりますが」
「暁人さんは凄く気づかいの人ですね……! 大丈夫、だと思います。一人じゃないですから」
「分かりました。では、柊一の言うように腹ごしらえをしてから行きましょう。さ、食べたいものどうぞ」
にこやかに暁人さんがメニューを手渡してくれる。ああ、なんていうんだっけこういう人……そう、包容力がある感じ。優しくて頼れる男性で、うっとりしてしまう。柊一さんの綺麗さは群を抜いているけれど、暁人さんだって普通にかっこいいしなあ。タイプが真逆の二人だ。
いや、改めてこんな人たちと行動を共にするって、信じられない。
違った意味で緊張してきた自分は、とりあえず柊一さんと同じハンバーグを選び、三人で少し早めのディナーを取ることになった。三人でゆっくり会話をしながら、和やかに食事会は進んでいった。
ちなみに、柊一さんは食べる姿も美しかったが、セットについていたライスを『おにぎりにしてもらませんか』と店員に注文しようとして暁人さんに止められていた。
ゆっくりとデザートまで堪能し、ちゃっかりおごってもらった後、私たちは暁人さんが運転する車に乗り込んだ。
時刻はいつの間にか19時になっていた。食事をしながらお互いを知るために会話を重ねていたので、あっという間に時間は過ぎていた。
話によると、二人は私より一つ年上の二十六歳ということだった。どうやら幼馴染らしく、かなり古い付き合いだそう。確かに息がぴったりだもんなあ、と感心した。
二人組で除霊を仕事にしているそうだが、依頼はひっきりなしに来ると言っていた。柊一さんがあのアパートに帰らない日が多いのは、調査で泊まり込みをしているからだそうだ。あとは、一人暮らしをしている暁人さんの元に泊まり込むことも多いらしい。
以前見かけた時、足を引きずっていたのは、やはり悪霊を食べた直後だったという。そこまで強くない悪霊だったから意識もあり、一人で帰宅出来たものの、体が思うように動かず、足を引きずって帰宅したんだとか。私はちょうどそのシーンを目撃していたのだ。
聞けば聞くほど特殊な人たちだ。今まで普通の世界でしか生きてこなかった自分が聞くには、あまりに刺激が強すぎる。
「でも、今日は泊まり込みこみはしないから安心してね」
隣で柊一さんが言った。
車を走らせること三十分と少し。穏やかな雑談をしながら、本日の行き先について聞いていた。先ほど柊一さんが『調査で泊まり込みになることもある』と言っていたので、もし今日もそうなればさすがに準備がないと焦っていたのだが、彼はあっさり否定した。
「そっか、まだ早いか。緊張する期間が長いと可哀そうだから、早く終わらしちゃえって思ったんだけど」
それを聞いてなるほど、柊一さんは柊一さんなりに気をつかってくれたということが分かった。確かに、『〇日後に幽霊見に行きます!』って言われたら、当日までドキドキしちゃうよなあ。
いっそ今日すべて終わらせた方がすっきりするのかもしれない。女は度胸、だ。
私は決心して一度紅茶を飲むと、二人に言った。
「分かりました! 柊一さんの言うことも一理あるので、今日このまま行っちゃおうと思います。返事は早い方がいいですよね。行きましょう、今夜!」
それを聞いて、暁人さんは驚き、柊一さんはにっこり笑った。
「度胸があるね。じゃあ夕飯食べていかない? お腹いっぱいになってから行こうよ、まだ外も少し明るいしね。メニュー見せて~……ううん、僕こういうおしゃれすぎるご飯って好きじゃないんだよね。しょうがないかあ、ハンバーグセットにしよう」
のほほんと一人で夕飯を決めだしている。そんなマイペースな彼をおいて、暁人さんが心配そうに言ってきた。
「本当に大丈夫ですか? 無理なさらないで下さい、女性を遅くまで連れまわすのもどうかと思いますし。でももちろん、早く終わらせたい気持ちも分かりますが」
「暁人さんは凄く気づかいの人ですね……! 大丈夫、だと思います。一人じゃないですから」
「分かりました。では、柊一の言うように腹ごしらえをしてから行きましょう。さ、食べたいものどうぞ」
にこやかに暁人さんがメニューを手渡してくれる。ああ、なんていうんだっけこういう人……そう、包容力がある感じ。優しくて頼れる男性で、うっとりしてしまう。柊一さんの綺麗さは群を抜いているけれど、暁人さんだって普通にかっこいいしなあ。タイプが真逆の二人だ。
いや、改めてこんな人たちと行動を共にするって、信じられない。
違った意味で緊張してきた自分は、とりあえず柊一さんと同じハンバーグを選び、三人で少し早めのディナーを取ることになった。三人でゆっくり会話をしながら、和やかに食事会は進んでいった。
ちなみに、柊一さんは食べる姿も美しかったが、セットについていたライスを『おにぎりにしてもらませんか』と店員に注文しようとして暁人さんに止められていた。
ゆっくりとデザートまで堪能し、ちゃっかりおごってもらった後、私たちは暁人さんが運転する車に乗り込んだ。
時刻はいつの間にか19時になっていた。食事をしながらお互いを知るために会話を重ねていたので、あっという間に時間は過ぎていた。
話によると、二人は私より一つ年上の二十六歳ということだった。どうやら幼馴染らしく、かなり古い付き合いだそう。確かに息がぴったりだもんなあ、と感心した。
二人組で除霊を仕事にしているそうだが、依頼はひっきりなしに来ると言っていた。柊一さんがあのアパートに帰らない日が多いのは、調査で泊まり込みをしているからだそうだ。あとは、一人暮らしをしている暁人さんの元に泊まり込むことも多いらしい。
以前見かけた時、足を引きずっていたのは、やはり悪霊を食べた直後だったという。そこまで強くない悪霊だったから意識もあり、一人で帰宅出来たものの、体が思うように動かず、足を引きずって帰宅したんだとか。私はちょうどそのシーンを目撃していたのだ。
聞けば聞くほど特殊な人たちだ。今まで普通の世界でしか生きてこなかった自分が聞くには、あまりに刺激が強すぎる。
「でも、今日は泊まり込みこみはしないから安心してね」
隣で柊一さんが言った。
車を走らせること三十分と少し。穏やかな雑談をしながら、本日の行き先について聞いていた。先ほど柊一さんが『調査で泊まり込みになることもある』と言っていたので、もし今日もそうなればさすがに準備がないと焦っていたのだが、彼はあっさり否定した。
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