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一章
朝ごはん
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王子は結婚するとしたらローラ嬢となのだろう。世間知らずの俺のイメージだが、幼い頃から婚約者を決められていてお互いの家に遊びに行ったり、両家でご飯を食べたりするものだと思っていた。王族は違うのかも知れないけど
俺が王子のことを好きになる未来がいつか来るかもしれない。でも、そうなった時に王子に別に好きな人がいたら・・・?好きな人の番になって、好きな人に抱いてもらって、好きな人の子どもを孕む・・・王子のことを好きになればなるだけ惨めになる未来しかみえない。
あの後、少し他愛ない話をしてからフカフカの馬車に乗り帰路に着いた。家のガラスはピカピカになり、部屋に散らばった破片も全て回収されている。それどころか、部屋の掃除もされており家中ピカピカだった。
カイル王子に貰った服をクローゼットに仕舞い、洗濯した布団にダイブする。お日様のいい匂いに身体が包まれて幸せでいっぱいになる。
「今日は色んなことがあったなぁ」
自分の発した言葉に自分で共感する。もうこんな情報量の多い一日は体験したくない。そう思いながら眠りについた。
朝になり身体を起こす。疲れたこともあり、ぐっすり眠っていた。
「あ!起きましたか!ご飯できてますよ!」
数時間前に会ったカイル王子は当然のように俺の部屋にいた。
「こんな朝から何してるんですか?」
「いやぁ、せっかく鍵を貰ったので使おうと思ったんです」
王子は焼いたパンとベーコン、スクランブルエッグを作ってくれていた。一般市民の俺が朝から王子にご飯を作らせるなんて一体どんな生活なんだ・・・
パンにベーコンとスクランブルエッグを乗せて口に運ぶ。咀嚼すると口の中でガリッと音がした。
「あれ!殻入ってました・・・?取り除いたはずだったんですけど・・・」
「入ってましたけど、料理初めてですよね?そんなもんですよ」
「せっかく練習したのに・・・」
この人は一体どこに向かっているのだろうか・・・主夫にでもなるつもりか・・・?いや、それはそれで楽しそうだけど・・・
「ダンはいつも何してるんですか?」
「朝は山に入って材料取ったりして、その後はお店開けてます」
「え!山入るんですか!僕も行きたいです!」
王子があんまりキラキラした目で見てくるのでつい承諾してしまった。山に入っても何も楽しいことないと思うけどな・・・
さすがに王子がいつも着ている高そうな服を汚す訳にはいかないので俺の服を着せる。
「別に汚れてもいいですよ?」
「そういう訳にはいきません」
身長差があまり無いとはいえ王子の方が高いので俺の持ってる一番大きい服を貸す。山に入る時は裾が十分にあった方がいいが俺の服ではどうやら丈が足りないらしい。
「足が少し短いです」
「それ、わざと言ってます?」
仕方ないのでズボンだけはいつもの物のままで山に入ってもらうことにした。
「そういえば、カイル王子はなかなかの頻度で俺の家に遊びに来てますけど大丈夫なんですか?」
「え?何がですか?」
「・・・だから、その、仕事とかないんですか?」
「ありますけど、すぐに終わるんで大丈夫です」
アルファの王子に聞いた俺が馬鹿だったと後悔する。結構暇をしてるようだし、もっと仕事を与えろと念じておいく。
「それより、今日は何取るんですか?」
「数日前に山に入った時、さくらんぼがなってるのを見かけたんです。そろそろとってもいい頃合かなと思うので収穫します」
「了解です!」
俺は天然の食材を使って作るのが意外と好きだったりする。時期によっては全く収穫できなくて困ることもあるけれどそれも一つの楽しみだと思っている。二人で山に入るのなんて初めてで楽しいなぁ。そんなことを考えながらいそいそと進む王子の後ろ姿を見つめていた。
俺が王子のことを好きになる未来がいつか来るかもしれない。でも、そうなった時に王子に別に好きな人がいたら・・・?好きな人の番になって、好きな人に抱いてもらって、好きな人の子どもを孕む・・・王子のことを好きになればなるだけ惨めになる未来しかみえない。
あの後、少し他愛ない話をしてからフカフカの馬車に乗り帰路に着いた。家のガラスはピカピカになり、部屋に散らばった破片も全て回収されている。それどころか、部屋の掃除もされており家中ピカピカだった。
カイル王子に貰った服をクローゼットに仕舞い、洗濯した布団にダイブする。お日様のいい匂いに身体が包まれて幸せでいっぱいになる。
「今日は色んなことがあったなぁ」
自分の発した言葉に自分で共感する。もうこんな情報量の多い一日は体験したくない。そう思いながら眠りについた。
朝になり身体を起こす。疲れたこともあり、ぐっすり眠っていた。
「あ!起きましたか!ご飯できてますよ!」
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「いやぁ、せっかく鍵を貰ったので使おうと思ったんです」
王子は焼いたパンとベーコン、スクランブルエッグを作ってくれていた。一般市民の俺が朝から王子にご飯を作らせるなんて一体どんな生活なんだ・・・
パンにベーコンとスクランブルエッグを乗せて口に運ぶ。咀嚼すると口の中でガリッと音がした。
「あれ!殻入ってました・・・?取り除いたはずだったんですけど・・・」
「入ってましたけど、料理初めてですよね?そんなもんですよ」
「せっかく練習したのに・・・」
この人は一体どこに向かっているのだろうか・・・主夫にでもなるつもりか・・・?いや、それはそれで楽しそうだけど・・・
「ダンはいつも何してるんですか?」
「朝は山に入って材料取ったりして、その後はお店開けてます」
「え!山入るんですか!僕も行きたいです!」
王子があんまりキラキラした目で見てくるのでつい承諾してしまった。山に入っても何も楽しいことないと思うけどな・・・
さすがに王子がいつも着ている高そうな服を汚す訳にはいかないので俺の服を着せる。
「別に汚れてもいいですよ?」
「そういう訳にはいきません」
身長差があまり無いとはいえ王子の方が高いので俺の持ってる一番大きい服を貸す。山に入る時は裾が十分にあった方がいいが俺の服ではどうやら丈が足りないらしい。
「足が少し短いです」
「それ、わざと言ってます?」
仕方ないのでズボンだけはいつもの物のままで山に入ってもらうことにした。
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「え?何がですか?」
「・・・だから、その、仕事とかないんですか?」
「ありますけど、すぐに終わるんで大丈夫です」
アルファの王子に聞いた俺が馬鹿だったと後悔する。結構暇をしてるようだし、もっと仕事を与えろと念じておいく。
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「数日前に山に入った時、さくらんぼがなってるのを見かけたんです。そろそろとってもいい頃合かなと思うので収穫します」
「了解です!」
俺は天然の食材を使って作るのが意外と好きだったりする。時期によっては全く収穫できなくて困ることもあるけれどそれも一つの楽しみだと思っている。二人で山に入るのなんて初めてで楽しいなぁ。そんなことを考えながらいそいそと進む王子の後ろ姿を見つめていた。
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