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一章
兄弟喧嘩
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オメガは基本的には保護されるため、会うのはパーティーを入れて2回目だった。恐らく、パーティーの会場には他にも居たのだろうけど探す余裕なんてなかった。
そんな俺にピーター様は友達になろうと言ってくれた。ピーター様以外の友達は・・・え~と・・・昔一緒に居たお兄ちゃんと、行きつけの病院の先生と・・・え~と・・・え~と・・・
久しぶりに出来た友達に俺はにやにやが止まらなかった。しかし、カイル王子は何処か不服そうな表情を浮かべていた。
「話戻すけどよぉ、コイツは自分でベータっつったんだって!」
「ダンが?仮に言ったとしても嘘ですよ。ダンはオメガですから」
「・・・なんで、そこまでコイツに執着するんだよ!兄貴ならもっと顔も、性格も良いオメガいっぱいいんだろ」
ミラ王子はしょんぼりしていた。なかなかな事を言っているが俺もその通りだと思う。第一王子ともなればアルファもオメガも引く手数多だろう。田舎で暮らすほぼベータの俺を選ぶ理由がわからない。
「ダンじゃないとダメなんです」
「・・・んでだよ。だいたいコイツオメガだとしても、発情期来てないだろ。フェロモンの量が少なすぎるんだよ。所詮は出来そ」
「ミラ!」
カイル王子の声がビリビリと部屋に響き渡る。空気が緊縛するのを肌で感じた。
「それ以上僕の婚約者を侮辱することはこの国の王子たる僕が許しませんよ」
「う・・・悪かったよ・・・」
ミラ王子は更にしゅんとしていた。謝るのが本当は嫌なのだけど、「 お兄ちゃんに言われたから仕方なく」といった雰囲気が溢れ出ていた。
「もうー!ダメだよー!ミラきゅん!それ以上僕の友達を馬鹿にしたら怒っちゃうんだから!」
頬を膨らませるピーター様にミラ王子は「ごめん」と俺に謝った時より丁寧に謝っていた。2人とも侮辱とか馬鹿にされてると思ってたならもう少し早く止めてくれてもよかったんじゃないか・・・と思わなくもないが前と比べると止めてくれただけマシだろう
「とにかく、ダンと僕は番になりますし、いずれ結婚もします。誰がなんと言おうとです」
「でも・・・発情期来てねぇなら番にもなれないし、子供も出来ないじゃねぇかよ」
「そうなったらまた、別の方法を考えますよ」
自信満々にどうにかなると信じているカイル王子を見てミラ王子は大きくため息をついた。
「なんでそこまでして、コイツがいいんだよ」
ミラ王子がこちらに視線をやると、俺の心臓が分かりやすくうるさくなった。目を逸らすとミラ王子の横で美味しそうにお菓子を頬張るノエル様が目に入り少し和む。
「ダンは僕の運命なんで」
「は?」
「え?」
俺でも初耳の情報をカイル王子は当然のように言った。ずっと前から決まっていたかのように。ずっと前から知っていたかのように。
そんな俺にピーター様は友達になろうと言ってくれた。ピーター様以外の友達は・・・え~と・・・昔一緒に居たお兄ちゃんと、行きつけの病院の先生と・・・え~と・・・え~と・・・
久しぶりに出来た友達に俺はにやにやが止まらなかった。しかし、カイル王子は何処か不服そうな表情を浮かべていた。
「話戻すけどよぉ、コイツは自分でベータっつったんだって!」
「ダンが?仮に言ったとしても嘘ですよ。ダンはオメガですから」
「・・・なんで、そこまでコイツに執着するんだよ!兄貴ならもっと顔も、性格も良いオメガいっぱいいんだろ」
ミラ王子はしょんぼりしていた。なかなかな事を言っているが俺もその通りだと思う。第一王子ともなればアルファもオメガも引く手数多だろう。田舎で暮らすほぼベータの俺を選ぶ理由がわからない。
「ダンじゃないとダメなんです」
「・・・んでだよ。だいたいコイツオメガだとしても、発情期来てないだろ。フェロモンの量が少なすぎるんだよ。所詮は出来そ」
「ミラ!」
カイル王子の声がビリビリと部屋に響き渡る。空気が緊縛するのを肌で感じた。
「それ以上僕の婚約者を侮辱することはこの国の王子たる僕が許しませんよ」
「う・・・悪かったよ・・・」
ミラ王子は更にしゅんとしていた。謝るのが本当は嫌なのだけど、「 お兄ちゃんに言われたから仕方なく」といった雰囲気が溢れ出ていた。
「もうー!ダメだよー!ミラきゅん!それ以上僕の友達を馬鹿にしたら怒っちゃうんだから!」
頬を膨らませるピーター様にミラ王子は「ごめん」と俺に謝った時より丁寧に謝っていた。2人とも侮辱とか馬鹿にされてると思ってたならもう少し早く止めてくれてもよかったんじゃないか・・・と思わなくもないが前と比べると止めてくれただけマシだろう
「とにかく、ダンと僕は番になりますし、いずれ結婚もします。誰がなんと言おうとです」
「でも・・・発情期来てねぇなら番にもなれないし、子供も出来ないじゃねぇかよ」
「そうなったらまた、別の方法を考えますよ」
自信満々にどうにかなると信じているカイル王子を見てミラ王子は大きくため息をついた。
「なんでそこまでして、コイツがいいんだよ」
ミラ王子がこちらに視線をやると、俺の心臓が分かりやすくうるさくなった。目を逸らすとミラ王子の横で美味しそうにお菓子を頬張るノエル様が目に入り少し和む。
「ダンは僕の運命なんで」
「は?」
「え?」
俺でも初耳の情報をカイル王子は当然のように言った。ずっと前から決まっていたかのように。ずっと前から知っていたかのように。
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