【完結】聖人君子で有名な王子に脅されている件

綿貫 ぶろみ

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一章

ガラスが!!

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 発情期が来ないことはお医者さんに何度も相談していた。来ないので助かっていることは事実だが、さすがに身体が悪いんじゃないかと心配になる。お医者さんは精神的に成熟していないか、心因的なものでは無いかと言われた。

 精神的に成熟はしているつもりだけど、それが勉強だとか言われたら俺は学校に行っていないので成熟していないのかもしれない。心因的なものでは?と言われてもあまりピンと来なかった。発情期が来ないことへの安心と不安の二律背反なのだから


 ケーキを食べた後、王子は「仕事があるので」と帰って行った。やっぱり忙しいのだなと若干同情する。いつも通りお店を開く予定だったが王子が圧をかけてきたので泣く泣く休業日にした。

 特にすることもないのでどうしようかと思った俺は部屋の掃除をすることにした。お店の方は常に綺麗にしていたが自分の部屋はあまり綺麗とは言えない。とはいえ、ほとんど部屋にいないので散らかっている訳では無いのだけれど。

 王子が泊まっていくことが増えたので客室の布団も洗濯に出す。布団に俺の匂いが着いていたのかもしれないと思い、いつもより多めに柔軟剤を入れた。

「おーい、ジョンだかダンだかいるか?」

 下の階から声が聞こえ階段から覗き込む。そこには、第三王子と騎士団がいた。王子が違うだけでつい数日前にも見た光景だ。

 しかしながら、疑われている俺は嘘をついたのがバレるのが怖いので出るつもりはない。

「おーい!いねぇのか?入るぞ」

 馬鹿め!しっかり鍵をかけているんだ!入れるわけがない!俺にかまってないで仕事しろ!

 王子が手を上げると周りの騎士が動き始めた。何をするのか見守る。

『ガシャーン!』

 騎士のひとりが斧を振ったかと思うと店にある1番大きな窓を叩き割った。高かったのに!日当たり良くしたくて頑張ってつけたのに!

「あ?んだよ、いるじゃねぇか。大人しく開けろよな」

 呆然としていた俺は隠れる間もなく見つかった。ミラ王子は「そんな顔しなくても直してやるからよ」と笑っていた。そういう問題じゃない気がする。

「じゃぁ、ダンちゃん。少しお話しよっか」

 許可もしていないのに休業日に無理やり上がり込んで椅子に腰をかけた。室内に散らばったガラスを騎士の人達が後ろでせっせと片付けている。

「まず、名前についてだけどジョンっていう名前でオメガの人は居なかったし、そもそもジョン・ルーシャって名前の人は見つからなかった。まぁ、ダンって名前のオメガもいなかったんだけど・・・」

 めっちゃ調べられてるじゃん!なんでそこまで・・・あぁ、ミラ王子はブラコンなんだった

「でも、兄貴の反応を見る限りダンが本名っぽいからダンで探すと1人だけいた。ダン・ベルサリオ   歳は現在19でバース性はベータ」

 ミラ王子は紅茶を一口飲んでから言った。
 
「で?本当のバース性は?」

 心臓がうるさく鳴り始めた。
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