50 / 52
一章
一章最終話 日常
しおりを挟む
街を練り歩き、ケーキ屋さんを巡る。見たことない果物を使ったケーキ屋、何層にもなっているカラフルなケーキなど見ても食べても楽しい一石二鳥なケーキ。ガトーショコラやショートケーキ等王道をいく物などを食べたり持ち帰り用に箱に入れてもらったりと大満足な旅となった
時間が経つのは早いもので王宮に戻る頃にはをあっという間に約束の時間になってしまった。
六時を前にした時、ドアが叩かれた。
「は、はい!」
思わず声が裏がえる。変に意識している奴みたいになってしまった。開けるとノエル様とミラ王子が立っていた。
「早く行こ!」
ノエル様に手を引かれてバルコニーに案内される。綺麗な星がいくつも見えた。冷たい風が心地よい。
「じゃ、俺たちはここでお役御免ってことで」
後からゆっくり着いてきたミラ王子がノエル様を連れて去って行った。俺はまた一人になり、落ち着かなかい気持ちで辺りを見回す。
「何キョロキョロしてるんですか?」
「ぎゃぁ!」
背後から声をかけられ変な声が出た。カイルはいつもと雰囲気が違う気がする。下ろしている髪をかきあげて、銀髪がよく映える紺色のスーツを身に纏っていた。
かたや俺は、ほぼいつもと変わらない服装で少し恥ずかしくなる。
「ダンに聞いて欲しいことがあります!」
「告白するよ!」って事前告知されているのに恥ずかしがらない人などいない。
「ダンといると気を張らなくてよくて、居心地が良くて安心できる。最初はそれだけの理由でしたけど、ダンの寂しそうな表情をみる度にもっと笑っていて欲しいって思うようになって・・・・え~と・・・・端的にいうなら、僕はダンのことが好きです。この世界で誰よりも愛しています。まだまだ未熟な僕ですが、良かったら恋人になってくれませんか!」
顔を赤くしながらも真っ直ぐに俺の目を見て話した。
「正直な所、俺は俺自身に魅力を感じてないしオメガとしても不完全だから、これから俺のせいでカイルが嫌味を言われたり、迷惑をかけることがあるかもしれないです。それでも、俺でも良かったら是非お願いします」
俺もそれに応えるために必死に言葉にした。カイルは俺を抱きしめてくれた。俺もカイルを力いっぱい抱きしめた。
「ダンがなんと言おうともう二度と別れるなんて言わせません。貴方のことを幸せにするのは僕一人でいい」
「ふふっ、じゃあ俺もカイルを幸せにします」
目の前が暗くなり、俺の口に柔らかいものが触れた。何が起きたのか分からなくてフリーズする。カイルの顔が少し離れてようやく理解する。
「い、今!き、ききき、キスしました?!」
「はい」
俺が顔を熱くして混乱しているのとは裏腹に、カイルは平然と答える。
やっぱり、婚約者とかいたんだし慣れてるのかな・・・・それは、ちょっと嫌かもしれない・・・
「慣れてるわけないじゃないですか。好きな人とキスして心臓が痛いほど鳴ってますよ」
でた!お得意の読心術!!これ、本当に怖い・・・・
「そんな可愛い顔してると、また口を塞ぎますよ」
「なっ!!!」
「ヒュ~お熱いね~」
野次を挟んだのはミラ王子だ。その横でノエル様が「ミラきゅん!シーだよ!」と怒っていた。
その光景を見てカイルと俺は声を合わせて笑っていた。
カイルがくれた優しさに、愛情になるべく応えられるように頑張る。俺もなるべく自分の気持ちに正直になる。もっと我儘でもいいって教えてくれたのは貴方だから
「カイル、愛していますよ」
俺がそう言うと一瞬静まり返り、カイルが鼻血を出して倒れたのはまた別の話である。
時間が経つのは早いもので王宮に戻る頃にはをあっという間に約束の時間になってしまった。
六時を前にした時、ドアが叩かれた。
「は、はい!」
思わず声が裏がえる。変に意識している奴みたいになってしまった。開けるとノエル様とミラ王子が立っていた。
「早く行こ!」
ノエル様に手を引かれてバルコニーに案内される。綺麗な星がいくつも見えた。冷たい風が心地よい。
「じゃ、俺たちはここでお役御免ってことで」
後からゆっくり着いてきたミラ王子がノエル様を連れて去って行った。俺はまた一人になり、落ち着かなかい気持ちで辺りを見回す。
「何キョロキョロしてるんですか?」
「ぎゃぁ!」
背後から声をかけられ変な声が出た。カイルはいつもと雰囲気が違う気がする。下ろしている髪をかきあげて、銀髪がよく映える紺色のスーツを身に纏っていた。
かたや俺は、ほぼいつもと変わらない服装で少し恥ずかしくなる。
「ダンに聞いて欲しいことがあります!」
「告白するよ!」って事前告知されているのに恥ずかしがらない人などいない。
「ダンといると気を張らなくてよくて、居心地が良くて安心できる。最初はそれだけの理由でしたけど、ダンの寂しそうな表情をみる度にもっと笑っていて欲しいって思うようになって・・・・え~と・・・・端的にいうなら、僕はダンのことが好きです。この世界で誰よりも愛しています。まだまだ未熟な僕ですが、良かったら恋人になってくれませんか!」
顔を赤くしながらも真っ直ぐに俺の目を見て話した。
「正直な所、俺は俺自身に魅力を感じてないしオメガとしても不完全だから、これから俺のせいでカイルが嫌味を言われたり、迷惑をかけることがあるかもしれないです。それでも、俺でも良かったら是非お願いします」
俺もそれに応えるために必死に言葉にした。カイルは俺を抱きしめてくれた。俺もカイルを力いっぱい抱きしめた。
「ダンがなんと言おうともう二度と別れるなんて言わせません。貴方のことを幸せにするのは僕一人でいい」
「ふふっ、じゃあ俺もカイルを幸せにします」
目の前が暗くなり、俺の口に柔らかいものが触れた。何が起きたのか分からなくてフリーズする。カイルの顔が少し離れてようやく理解する。
「い、今!き、ききき、キスしました?!」
「はい」
俺が顔を熱くして混乱しているのとは裏腹に、カイルは平然と答える。
やっぱり、婚約者とかいたんだし慣れてるのかな・・・・それは、ちょっと嫌かもしれない・・・
「慣れてるわけないじゃないですか。好きな人とキスして心臓が痛いほど鳴ってますよ」
でた!お得意の読心術!!これ、本当に怖い・・・・
「そんな可愛い顔してると、また口を塞ぎますよ」
「なっ!!!」
「ヒュ~お熱いね~」
野次を挟んだのはミラ王子だ。その横でノエル様が「ミラきゅん!シーだよ!」と怒っていた。
その光景を見てカイルと俺は声を合わせて笑っていた。
カイルがくれた優しさに、愛情になるべく応えられるように頑張る。俺もなるべく自分の気持ちに正直になる。もっと我儘でもいいって教えてくれたのは貴方だから
「カイル、愛していますよ」
俺がそう言うと一瞬静まり返り、カイルが鼻血を出して倒れたのはまた別の話である。
10
お気に入りに追加
800
あなたにおすすめの小説
籠中の鳥と陽色の君〜訳アリ王子の婚約お試し期間〜
むらくも
BL
婚約話から逃げ続けていた氷の国のα王子グラキエは、成年を機に年貢の納め時を迎えていた。
令嬢から逃げたい一心で失言の常習犯が選んだのは、太陽の国のΩ王子ラズリウ。
同性ならば互いに別行動が可能だろうと見込んでの事だったけれど、どうにもそうはいかなくて……?
本当はもっと、近くに居たい。
自由で居たいα王子×従順に振る舞うΩ王子の両片想いBL。
ふしだらオメガ王子の嫁入り
金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか?
お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。
この噛み痕は、無効。
ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋
α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。
いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。
千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。
そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。
その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。
「やっと見つけた」
男は誰もが見惚れる顔でそう言った。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
死に戻り騎士は、今こそ駆け落ち王子を護ります!
時雨
BL
「駆け落ちの供をしてほしい」
すべては真面目な王子エリアスの、この一言から始まった。
王子に”国を捨てても一緒になりたい人がいる”と打ち明けられた、護衛騎士ランベルト。
発表されたばかりの公爵家令嬢との婚約はなんだったのか!?混乱する騎士の気持ちなど関係ない。
国境へ向かう二人を追う影……騎士ランベルトは追手の剣に倒れた。
後悔と共に途切れた騎士の意識は、死亡した時から三年も前の騎士団の寮で目覚める。
――二人に追手を放った犯人は、一体誰だったのか?
容疑者が浮かんでは消える。そもそも犯人が三年先まで何もしてこない保証はない。
怪しいのは、王位を争う第一王子?裏切られた公爵令嬢?…正体不明の駆け落ち相手?
今度こそ王子エリアスを護るため、過去の記憶よりも積極的に王子に関わるランベルト。
急に距離を縮める騎士を、はじめは警戒するエリアス。ランベルトの昔と変わらぬ態度に、徐々にその警戒も解けていって…?
過去にない行動で変わっていく事象。動き出す影。
ランベルトは今度こそエリアスを護りきれるのか!?
負けず嫌いで頑固で堅実、第二王子(年下) × 面倒見の良い、気の長い一途騎士(年上)のお話です。
-------------------------------------------------------------------
主人公は頑な、王子も頑固なので、ゆるい気持ちで見守っていただけると幸いです。
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
王と正妃~アルファの夫に恋がしてみたいと言われたので、初恋をやり直してみることにした~
仁茂田もに
BL
「恋がしてみたいんだが」
アルファの夫から突然そう告げられたオメガのアレクシスはただひたすら困惑していた。
政略結婚して三十年近く――夫夫として関係を持って二十年以上が経つ。
その間、自分たちは国王と正妃として正しく義務を果たしてきた。
しかし、そこに必要以上の感情は含まれなかったはずだ。
何も期待せず、ただ妃としての役割を全うしようと思っていたアレクシスだったが、国王エドワードはその発言以来急激に距離を詰めてきて――。
一度、決定的にすれ違ってしまったふたりが二十年以上経って初恋をやり直そうとする話です。
昔若気の至りでやらかした王様×王様の昔のやらかしを別に怒ってない正妃(男)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる