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一章
関係性
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王子を差し置いて俺がベッドを使うわけにもいかないので、カイルの近くで座って寝た。
「ダン!起きてください!そんな所で寝てたら身体が痛くなりますよ」
「ん・・・おはようございます」
「おはよう、ダン」
カイルは俺に優しく微笑んだ。なんだかその空気が照れくさくてつい目を逸らす。
メイドさんが2人分の朝食を持ってきてくれた。バターロールと色鮮やかなサラダが美味しそうにのせられている。
何も喉を通らなかったと言っていたので朝食を食べている姿を見て安心する。
「僕達恋人になった訳ですけどもう一度僕から改めてお付き合いの申し込みをさせて頂きたいです」
「え、いや大丈夫ですよ!」
「どうしてそんなこと言うんですか!あんなふわっとしたのじゃ決まらないじゃないですか!」
決まらないとかそういう問題なのか・・・・?別に恋人になったことに変わりはないんだし?わざわざそんな事しなくても・・・・
「今日の夜6時頃バルコニーに来てください。絶対ですよ!」
「分かりましたよ・・・」
カイルは一日休みを貰えたらしい。『街に買い物に行きましょう!』って言ってくれたけど流石に倒れるまで働いていた人を復帰早々連れ回す趣味はないので、部屋でゆっくりすることにした。
疲れているだろうと思い、カイルをベッドに寝かせて、俺は横にあった椅子に腰をかける。
カイルは不服そうだったけど・・・
「本当に行かなくていいんですか?せっかく初デートだと思って意気込んでいたのに・・・・」
「これからはいつでも行けるんですし別日にしましょう」
「約束ですよ」
緩みきった表情で嬉しそうに言う。
この人は本当に表情に出るな・・・・隠そうとは思わないのか・・・
「あ~早くダンが作ったご飯食べたいです。ダンの作ったお菓子が食べたいです」
「いつももっと美味しいものを食べてるでしょう」
「ダンは分かってないですね。ダンの作ったご飯は愛で溢れてるんですよ。食べると身体にじんわりと愛が染みていくのを感じるんですよ」
「ちょっと気持ち悪いですよ?」
「・・・・それだけ愛してるってことですよ」
「それを言ったらなんでも許されると思ってないですか?」
カイルは肯定も否定もせずに舌をぺろっと出した。明らかに自分の顔の良さを理解してる人の行動だ。悔しいけど可愛かった。
「ふざける元気があるなら早く寝て回復してください」
「夜にぐっすり寝たんで眠くないんです」
駄々をこねるカイルは子供みたいだった。
顔色は良くなっているが目の下には濃い隈があるのを見逃す俺では無い!
「僕が寝れるまで手繋いでてください」
「はいはい」
布団から出ているカイルの手を握った。
多分弟がいたらこんな感覚なんだろうなぁ。弟に甘くなるお兄ちゃんの気持ちが今なら分かる。まぁ、この人は弟じゃなくて恋人、なんだけど・・・・
1人でそんなことを考えては顔を熱くした。
「ダン!起きてください!そんな所で寝てたら身体が痛くなりますよ」
「ん・・・おはようございます」
「おはよう、ダン」
カイルは俺に優しく微笑んだ。なんだかその空気が照れくさくてつい目を逸らす。
メイドさんが2人分の朝食を持ってきてくれた。バターロールと色鮮やかなサラダが美味しそうにのせられている。
何も喉を通らなかったと言っていたので朝食を食べている姿を見て安心する。
「僕達恋人になった訳ですけどもう一度僕から改めてお付き合いの申し込みをさせて頂きたいです」
「え、いや大丈夫ですよ!」
「どうしてそんなこと言うんですか!あんなふわっとしたのじゃ決まらないじゃないですか!」
決まらないとかそういう問題なのか・・・・?別に恋人になったことに変わりはないんだし?わざわざそんな事しなくても・・・・
「今日の夜6時頃バルコニーに来てください。絶対ですよ!」
「分かりましたよ・・・」
カイルは一日休みを貰えたらしい。『街に買い物に行きましょう!』って言ってくれたけど流石に倒れるまで働いていた人を復帰早々連れ回す趣味はないので、部屋でゆっくりすることにした。
疲れているだろうと思い、カイルをベッドに寝かせて、俺は横にあった椅子に腰をかける。
カイルは不服そうだったけど・・・
「本当に行かなくていいんですか?せっかく初デートだと思って意気込んでいたのに・・・・」
「これからはいつでも行けるんですし別日にしましょう」
「約束ですよ」
緩みきった表情で嬉しそうに言う。
この人は本当に表情に出るな・・・・隠そうとは思わないのか・・・
「あ~早くダンが作ったご飯食べたいです。ダンの作ったお菓子が食べたいです」
「いつももっと美味しいものを食べてるでしょう」
「ダンは分かってないですね。ダンの作ったご飯は愛で溢れてるんですよ。食べると身体にじんわりと愛が染みていくのを感じるんですよ」
「ちょっと気持ち悪いですよ?」
「・・・・それだけ愛してるってことですよ」
「それを言ったらなんでも許されると思ってないですか?」
カイルは肯定も否定もせずに舌をぺろっと出した。明らかに自分の顔の良さを理解してる人の行動だ。悔しいけど可愛かった。
「ふざける元気があるなら早く寝て回復してください」
「夜にぐっすり寝たんで眠くないんです」
駄々をこねるカイルは子供みたいだった。
顔色は良くなっているが目の下には濃い隈があるのを見逃す俺では無い!
「僕が寝れるまで手繋いでてください」
「はいはい」
布団から出ているカイルの手を握った。
多分弟がいたらこんな感覚なんだろうなぁ。弟に甘くなるお兄ちゃんの気持ちが今なら分かる。まぁ、この人は弟じゃなくて恋人、なんだけど・・・・
1人でそんなことを考えては顔を熱くした。
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