活動報告

批評会報告『虚構推理』

批評会報告『虚構推理』　城平京

　今回課題本に選んだのは城平京の『虚構推理』である。城平京は『名探偵に薔薇を』（創元推理文庫）でデビューし、『虚構推理』で本格ミステリ大賞を受賞した。ロジック色の強い作風で、伝奇の要素が加わることもある。
　これを読んだ会員の感想を羅列しよう。
・『ぬらりひょんの孫』を思い出した。
・好みではないがやりたいことは分かる。
・最近の作家はマニア上がり。城平は一流の読者。
・作品が理論に追い付いていない。
・後期クイーン問題にも関わり。
・都市伝説とかのやつ、好みではない。
・恐怖描写がない。
・うすら寒い会話何とかしてくれ。
・書き方、キャラクターの造形、会話などが好きではない。
・必要以上の軽さ。
・ミステリの血管をつくようなやつは、典型的なミステリの舞台でやってほしい。
・落ちはいい。いい感じ。
・顔のない死体を置いただけなのは単純。
・複雑な条件を付けた方が良かったのでは。
・無意味な描写はやめてほしい。
・刑事の同期が殺されたのは作者の恣意。
・推理をもうちょっと細かくした方が良い。
・謎が小さい。
　また、超常現象が題材になることについてどう思うかを聞いたところ、以下の反応があった。
・推理法と舞台、どちらも特殊なのは珍しい。
・嫌いではない。
・書くのが難しそう。普通は舞台と推理のどちらかになりそう。
・推理のためだけの設定は良くない。
　次に解決方法が特殊であることについては以下のようなコメントがあった。
・面白いことを使うなら新規性が必要。
・素材はいい。
・「いい素材があっても、いい料理ができるとは限らない」
　個人的に、この作品は筑波のミス研ではあまり受けないだろうと予想していた。結果としてはその通りといった感触だった。
(H・T)